千利休から数えて15代目 千玄室さん 100歳迎えて「献茶式」

茶道・裏千家の前の家元の千玄室さんが19日100歳を迎え、兵庫県西宮市の神社で恒例の献茶を行いました。

兵庫県西宮市の西宮神社では、千玄室さんの誕生日にあたる毎年4月19日に、千さんによる「献茶式」が行われています。

ちょうど100歳を迎えることしは、神戸市などの裏千家の関係者、およそ340人が参加しました。

千さんは濃茶を練り、続いて薄茶をたてたほか、雅楽が演奏される中、茶わんを神前まで運びました。

西宮神社によりますと、千さんは、19日絵馬に茶の湯文化を象徴する「和敬の心」ということばをみずから書き入れ、奉納したということです。
千さんは大正12年生まれで、昭和39年に初代の千利休から数えて15代目の裏千家の家元になりました。

平成14年に、家元は長男に譲りましたが、その後も茶の湯文化の普及に努めるとともに、旧日本軍の特攻隊員だった経験を踏まえ、国内外で平和活動に取り組んでいることでも知られています。

西宮神社での献茶は昭和42年に始まり、ことしで51回目になるということです。

西宮神社の吉井良昭宮司は「千玄室さんは驚くほど元気で、ことしも奉仕いただき、ありがたいことです。われわれも千さんの歴史を感じながら奉仕していて、来年以降も健康で献茶していただくことを願っています」と話していました。

千玄室さんに総理大臣顕彰

茶道 裏千家の前の家元で、100歳を迎えた千玄室さんは、半世紀以上にわたり、日本文化の精神を世界に広める取り組みに力を注いできたのに加え、旧日本軍の特攻隊員だった経験から、国際的な平和活動にも尽力してきました。

こうした功績をたたえるため、千さんに総理大臣顕彰が贈られることになり、20日に総理大臣官邸で顕彰式が行われました。

この中で、岸田総理大臣は「茶道を通じた国際文化交流や国際平和の発展に尽力し、平和外交の推進に多大に貢献するとともに、日々の研さんを重ね生涯現役を貫く姿勢は、すべての国民の模範とするところだ」と述べ、顕彰状と盾を手渡しました。

これに対し、千さんは「身に余る光栄であり、喜んでいる。ご厚情に感謝申し上げます」と応じました。

千玄室さん “本当にありがたい また努力し精進を”

顕彰式のあと、千玄室さんは「お茶という、日本文化を代表するものを海外に普及し、日本の心をお茶を通じて紹介したことに評価を頂戴しました。自分自身のやってきたことを振り返ると、長い間よくできたと思いますが、意地でやってきたおかげで、こういう顕彰をいただいて本当にありがたいことです。またしばらく努力し、精進します」と話していました。