「¥」円か元か 購入価格“20倍”も 国センが注意呼びかけ

¥1680=3万2916円。

え?とある通販サイトで、中国の人民元が、まるで日本円かのように、表記されていました。

「まさか」「だまされた」

「¥」マークを巡ってトラブルが相次いでいます。
(デジタルでだまされない取材班 秋山度)

SNS広告

ことし1月、40代の女性はSNSに表示されたある広告に目がとまりました。

広告は、文字を美しく書く技法「カリグラフィー」のガイドブックを紹介するもので、そこから、ガイドブックを販売している通販サイトにアクセスしました。
「¥1,680」と表示されたガイドブックを購入しようと、クレジットカードで決済を申し込みます。

通販サイトからは、受注確認のメールが届き、そこにも「¥1,680」と記載されていました。

¥1680=3万2916円

ところが、クレジットカード会社から届いた決済のお知らせメールを見てみると。

決済された金額は、なんと、「3万2916円」になっていました。

1680円のおよそ20倍でした。

女性は再び通販サイトを確認。

すると、購入ページとは別の「サポート」のページに「通貨は中国人民元円です」と書かれていることに気がつきました。
「?!?!?!」

実は、このローマ字の「Y」に2本の横線が入った「¥」という記号、日本円のほか、中国人民元でも使われています。

女性は、クレジットカード会社に決済のキャンセルを申し出ましたが、「キャンセルはできない。請求はいったん保留にする」などと回答され、女性は、消費生活センターに相談しました。

相談が相次ぐ

同じ通販サイトの利用者からの相談は、ことし1月上旬以降、全国の消費生活センターなどに相次いでいました。

国民生活センターによりますと今月13日までに相談は100件ほど。

その多くが女性と同じように「¥」の表示を日本円だと思い込んでいたという相談でした。

消費者が誤解する仕組みが

国民生活センターが実際に通販サイトを調べてみると、消費者が誤解しやすい実態が分かりました。

まず、通販サイトは、プライバシーポリシーなど一部のページは英語で表記されていたものの、トップページをはじめほとんどが日本語で表示されていました。
また、中国人民元を表す「CNY」という表記はありましたが、それは、「注文概要・クーポン入力」と小さく書かれたボタンを押さなければ見えませんでした。

国民生活センターは、「消費者が著しく誤解するサイトだ」としています。

連絡先はメールだけ

また、サイトには、法律で通販業者に義務づけられている住所や電話番号の表示はなく、メールアドレスだけが唯一の連絡先となっていました。

国民生活センターが、そのメールアドレスに問い合わせのメールを送りましたが返信はないと言うことです。

対策は

この通販サイトは4月19日時点では、「利用ができない」などと英語で表示され、商品を購入することはできない状態です。

国民生活センターでは、日本円と中国人民元で、全く同じ通貨記号が使われ、今後も同様のサイトが登場することも懸念されることから、「申し込みをする前にサイトをすみずみまで確認する」「連絡がつかなくなるケースもあることから業者の氏名や住所、電話番号が記載しているか確認することが必要」などと、注意を呼びかけています。