大阪・関西万博の開幕まで2年 パビリオンの建設など課題に

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、半年間にわたって開かれる、大阪・関西万博の開幕まで13日で2年です。資材価格の高騰などが影を落とす中、主催する博覧会協会として、これから本格化するパビリオンなどの建設を確実に進めることや、全国的な機運をいかに高めるかが課題となっています。

大阪・関西万博は、大阪 此花区の夢洲を会場に、2年後の2025年4月13日から半年間にわたって開かれ、世界中から2800万人余りの来場が見込まれています。

海外からは、153の国と地域が参加を表明していて、100を超えるパビリオンでは、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、気候変動など地球規模の課題の解決に向けた最新技術をはじめ、医療や暮らしの未来像などが展示されます。

また、移動の在り方を大きく変えると言われる「空飛ぶクルマ」が、会場と大阪市内や関西空港との間で運航される計画です。

一方で、今後始まるパビリオンなどの建設をめぐっては、資材価格の高騰やデザインの複雑さなどから、工事の入札が成立しないケースも相次いでいて、主催する博覧会協会は、建物の一部の仕様を見直したり、予定価格を引き上げたりするなど対応にあたっています。

また、民間のシンクタンクが全国を対象に行った調査では、万博に対する関心があると答えた人は3割ほどという結果も出ていて、主催する博覧会協会として、パビリオンなどの建設を確実に進めるとともに、全国的な機運を高めることも課題となっています。

大阪・関西万博とは

大阪・関西万博は、大阪 此花区の夢洲を会場に、2025年4月13日から184日間にわたって開かれます。

万博を貫くテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。

映画監督の河瀬直美さんや生物学者の福岡伸一さんなど8人のプロデューサーがそれぞれ、「いのち」をテーマにパビリオンを作ることになっています。

さらに国内の企業や自治体に加えて、海外から153の国や地域が参加し、合わせて100を超えるパビリオンが設置される予定です。

地元・関西の企業や研究機関は、再生医療など、強みを持つ分野で最新の技術や製品を紹介するほか、精密加工などの分野で高い技術を持つ大阪の町工場も出展する予定です。

会場と大阪市中心部や関西空港の間では、「空の移動革命」とも言われる空飛ぶクルマの運航が計画され、日本や欧米で開発された機体が上空を飛行する見通しです。

会場のシンボルは、木造の建築物としては世界最大級となる、1周2キロの「大屋根」。

周辺では、参加国の伝統や文化を紹介する「ナショナルデー」や、気候変動など地球規模の課題を取り上げる「テーマウィーク」にあわせ、さまざまなイベントが開かれます。

主催する博覧会協会では、国内と国外から2800万人余りの来場を見込んでいて、およそ2兆円の経済波及効果を試算しています。

課題は

大阪・関西万博の開催に向けてこれから準備が加速することになりますが、課題も少なくありません。

その1つがパビリオンなど施設の建設工事で相次ぐ入札の不成立です。

建設資材の高騰や技術的な課題によって、1回目の入札が成立しなかった施設は10件ありました。

このうち、生物学者の福岡伸一さんがプロデュースするパビリオンについて、主催する博覧会協会は屋根の資材を変更したり、管理棟を3階建てから平屋に変えるといった仕様の見直しで、2回目の入札で契約に至りました。

一方、5件は現在も入札が成立しておらず、このうち大型イベント会場の「大催事場」は、一部の仕様を見直して行った2回目の入札も成立せず、博覧会協会は工法を見直したうえで、3回目の入札の手続きを進めています。

また、物流業界や建設業界では、時間外労働の規制の強化に伴う、いわゆる「2024年問題」の影響で、人手不足が深刻化し、工事を予定どおりに完了できるか、懸念する声も聞かれます。

さらに、去年10月、韓国・ソウルの繁華街イテウォン(梨泰院)で多くの人が亡くなった群集事故などを受けて、警備体制の強化も必要になっています。

こうした警備費や物価の高騰なども踏まえ、博覧会協会では、現在800億円あまりと計画されている運営費の見直しを検討しています。

万博をめぐっては、国と地元自治体と経済界の3者で負担する会場の建設費が、すでに当初の計画より600億円増えて1850億円となった経緯があり、博覧会協会として費用をどう抑えるかも大きな課題となっています。