“超深海” 世界最深で泳ぐ魚の撮影に成功 東京海洋大など

東京海洋大学や西オーストラリア大学などの国際研究グループが、伊豆・小笠原海溝の水深8336メートルの深海で、泳ぐ魚の姿の撮影に成功しました。
グループによりますと、これまでに最も深い場所で確認された魚になるということで、専門家は「魚がすむことができる限界に近い深さだと考えられる」としています。

撮影に成功したのは西オーストラリア大学のアラン・ジェイミソン教授や東京海洋大学などのグループで、調査航海にはNHKの自然番組「ダーウィンが来た!」の取材班も参加しました。

去年8月15日、カメラなどを搭載した観測装置を使って伊豆・小笠原海溝の海底付近、水深8336メートルで撮影を行ったところ、魚が泳いでいる姿を撮影することに成功したということです。
映像から、この魚は全身が乳白色で体長はおよそ30センチ「スネイルフィッシュ」と呼ばれる深海魚の仲間とみられるということです。

ヒレは、半透明で体は柔らかいゼラチン質で覆われているとみられます。

グループによりますと、これまで生きた魚が確認された最も深い水深はマリアナ海溝の水深8178メートルでしたが、今回はそれよりも158メートル深いということです。

脊椎動物である魚類は、水圧の影響のため8200メートルから8400メートル程度より水深が深くなると生存が難しくなると考えられています。
国際研究グループの日本側のリーダーで、東京海洋大学の北里洋博士は「水深8000メートルを超える超深海で世界最深の魚が発見されたのはすごいことだ。極限の環境下でどういう生理現象で生きていけるのかを考える材料を手にすることができた。今、知られている体の仕組みからすると魚がすむ限界に近い場所だと考えられる」と話しています。