九州新幹線の車両1両を輸送用に 鹿児島産初ガツオなど福岡へ

九州新幹線を活用した物流の実証実験に取り組んでいるJR九州は21日、車両1両をすべて輸送用にして、朝、水揚げされたばかりの鹿児島産の初ガツオなどを福岡へ運びました。

午前中、鹿児島市の鹿児島中央駅のホームには、初ガツオなどが入った200箱が搬入されました。

カツオはトカラ列島の近海で朝とれたもので、出発式で鹿児島県の塩田知事は「鹿児島が誇るカツオを早く届ける画期的な取り組みで、稼ぐ力の向上に寄与することを期待したい」とあいさつしました。

物流業界では来年4月から始まるトラックドライバーの時間外労働の規制強化で、人手不足による輸送量の減少が懸念されています。

こうした中、JR九州は鹿児島県と連携して新幹線を活用した物流網の整備を図る方針です。
新幹線の車両を活用したJR九州の輸送事業はこれまでも行われてきましたが、車両1両をそのまま輸送用として大量のものを運ぶのは今回が初めてです。

鹿児島を出発したカツオなどはおよそ1時間半後に福岡市に到着し、昼すぎには市内の商業施設の鮮魚コーナーで刺身などにして販売されました。
カツオのたたきと刺身を購入した女性は「私も乗ったことのない新幹線にカツオが先に乗ってきたんですね。今夜は生とたたきを両方いただきます」と話しました。

JR九州鉄道事業本部営業部の新山夏江課長代理は「実証実験が無事に安全に終わり安心しています。4トントラック1台分が新幹線に乗せられるようになると環境配慮につながると思います。今後、改善していくことでよりスムーズな物流になると思います」と話しました。

JR九州は今回の大量輸送について課題などを検証したうえで、本格的な運用に向けて検討を進めたいとしています。