ブレイキン全日本 男子はShigekixが3連覇 女子はAYUMIが2連覇

来年のパリオリンピックの新競技、ブレイキンの日本一を決める「全日本ブレイキン選手権」の決勝が行われ、男子はダンサーネームShigekixの、半井重幸選手が3連覇を果たし、女子は39歳のAYUMI、福島あゆみ選手が2連覇を果たしました。
(記事の後半で、来年のパリオリンピックへ向けた3つの注目ポイントも解説します)

ブレイキンはDJがかける音楽に合わせて1対1の対戦形式で交互にダンスを披露する競技で来年のパリオリンピックで初めて実施されます。

今回の全日本選手権は、技術と表現、独創性の3つの項目をジャッジが評価して勝敗が決まり、19日は東京の代々木第二体育館で決勝が行われました。

このうち男子はShigekixと去年のこの大会3位のSHADE、岡田修平選手の対戦となりました。

SHADEが独創性の高い技を次々と繰り出したのに対し、Shigekixは回転技の「パワームーブ」からピタリと体を止める持ち味の「フリーズ」を決め、音楽に合わせた巧みなダンスを見せました。

最後まで躍動感あふれるダンスを見せたShigekixが大会3連覇を果たし、世界トップレベルの日本のエースとしての力を示しました。

一方、女子の決勝はAYUMIとAMI、湯浅亜実選手の世界選手権を制した実績のある2人の対戦となりました。

AMIがキレのある動きから持ち味の流れるようなダンスを見せたのに対し、AYUMIは細かい足さばきを見せる「フットワーク」で対抗して見せました。

オリジナルの技で会場を魅了したAYUMIが実力者どうしの戦いを制し、大会2連覇を果たしました。

Shigekix「また強くなったなと思う」

大会3連覇を果たしたShigekixは「この経験を経てまた強くなったなと思う。プレッシャーも感じていて、ほかのダンサーもレベルが高かったが『優勝するしかねえな』と自分に言い聞かせていた。決勝は気分が乗っていて一番楽しく踊れた。パリオリンピックへ向けて全力で突き進んでいきたいが、オリンピックとカルチャーの両面でブレイキンを象徴する存在になれればと思う」と話していました。

AYUMI「やりきろうということしか考えてない」

大会2連覇を達成した39歳のAYUMIは「本当にうれしい。対戦相手のAMIとは何回も戦っていて一緒に切磋琢磨(せっさたくま)して戦えるのはうれしいし、リスペクトしている。自分自身のミスやうまくいかないことにおびえていたが、最近はそれを克服できて、『やりきろう』ということしか考えていなかった。ブレイキンは、すてきなカルチャーでありスポーツなので、いろいろな人に知ってもらって応援してもらえたらうれしい」と話していました。

男子2位のSHADE「気持ちよく踊れた」

2位だったダンサーネームSHADEの33歳、岡田修平選手は「前回大会の3位から順位を1つ上げられてよかった。準備してきたものが洗練されて出せたのかなと感じている。ずっと群馬でダンスをしているが、地元の子に夢を与えられるようになってきたと感じている。長くブレイキンに携わって、いろんなことを経験して今の表現がある。きょうはそれが出せて気持ちよく踊れた」と話していました。

男子3位のNORI「悔しかった」

3位のNORI、36歳の菊地教稔選手は「初めての全日本選手権は悔しかった。オリンピックの競技になって、これまではこんなにメディアが集まることはなかったし、ブレイキンを点数で評価することに違和感がある人もたくさんいると思う。その違和感を持っている人も挑戦するきっかけになればと思い、この大会に出てきた」と話していました。

女子2位AMI「やりたいこと全部できた」

2位だったダンサーネームAMIの湯浅亜実選手は「自分のやりたいことは全部できたし、出しきれた。初めてブレイキンを見た人もいたと思うが、いろいろなスタイルがあると伝わってくれたらいい。結果というよりは、この2日間で感じたこと、ステージに立たないと感じられないことを、次につなげていきたい」と話していました。

女子3位のAYANE「踏ん張れてうれしい」

また3位のAYANE半井彩弥選手は「準決勝で負けたが、この数年、表彰台に立てず悔しい思いが続いたので、3位決定戦であと一歩、踏ん張れたことがうれしい。ダンスは正解がないので、そのおもしろさが伝わったらと思う。反省点もあったので、負けないようなダンサーでいられるように頑張りたい」と話していました。

【注目ポイント解説】パリオリンピックへ しれつな代表争い

男女ともに世界トップレベルの選手がしのぎを削るブレイキンですが、新競技として実施される来年のパリオリンピックに出場できるのは最大で男女2人ずつと、しれつな代表争いが続きます。

今回の全日本戦選手権は、その成績によって新年度の強化指定選手が選ばれることになっていました。これに選ばれると国際大会への派遣対象となり、国際大会で好成績を残すことがパリオリンピックの代表になるためには必要となります。

今後の選考レースで代表に選ばれるための方法は3つあります。

1つ目は、ことし9月にベルギーで行われる世界選手権で優勝し、金メダルを獲得することです。
日本ダンススポーツ連盟によりますと、この世界選手権に日本からは男女2人ずつ出場できる見込みですが、出場選手をどのように選ぶかなど詳細はまだ決まっていないということです。

2つ目は、同じく9月に行われるアジア大会です。
この大会の男女の優勝者にも、アジア代表としてパリオリンピックの出場権が与えられることになっています。ただ例外があり、直前の世界選手権で日本選手が優勝した場合は、アジア大会では日本選手は出場権を獲得できません。

そして、3つ目は来年行われる予選シリーズです。
IOC=国際オリンピック委員会がパリオリンピックの前の3月から6月にかけて開催するとしているアーバンスポーツの予選シリーズの詳細はまだ発表されていませんが、日本からは男女ともに最大で3人が出場できる予定で、ここでは男女7人ずつが出場権を獲得できます。この予選シリーズに出場するためのポイントが獲得できる国際大会が、今月24日から北九州市で開催されます。

パリオリンピックの出場権をかけた世界トップレベルの選手たちによる選考レースの行方も注目です。