「スマホ結露」「ヒートショック」「水道管凍結」寒波で注意

日本の上空にこの冬一番の非常に強い寒気が流れ込んでいるため、生活への影響が懸念されています。

スマートフォンは、気温が低下すると、結露による故障を引き起こす可能性があり、帰宅直後に充電するときや、肩から斜め掛けしている場合は特に注意が必要です。

また、今回の冷え込みでは、高齢者などに急激な温度差による「ヒートショック」のリスクがあることから、自宅の風呂場やトイレなどでの対策が呼びかけられています。

さらに、水道管は、マイナス4度以下になると凍結しやすくなり、破損やひび割れにより漏水するケースがあるとして、事前の対策が呼びかけられています。

スマホの結露に注意 最悪の場合データ破損も

東京 渋谷区の携帯電話修理店では、結露による修理の依頼が冬は多いため注意を呼びかけています。

特に、帰宅した直後や、窓際などに置いていて、携帯電話が冷えた状態のまま充電すると、充電部分の熱との温度差で結露のリスクが高くなるということです。
また、スマートフォンの大型化でストラップを肩から斜め掛けしている場合は長時間、外気にさらしたあとに、暖かい室内に入ると結露が発生しやすく故障するケースも目立つということです。
結露してしまうと、水の不純物などの影響で内部の金属部分が腐食してしまい、誤作動を起こしたり、最悪の場合、データが破損されたりすることもあるということです。

対策としては急激な温度変化を避けることが重要で、外を出歩くときは携帯電話をポケットやかばんの中に入れるなどして、本体を冷やしすぎないように注意してほしいとしています。

そして、冷たい携帯電話をドライヤーで乾かしたり、暖房の近くに置いて、急激に温めてしまうと逆に結露を発生させることになるので、やめてほしいということです。
「スマホ修理王 渋谷店」の藤山敏彦店長は「何よりも代え難いのは端末に入っているデータなのでスマートフォンをいたわる使い方を心がけてもらいたい」と話していました。

高齢者などの「ヒートショック」に注意

この冬一番の強い寒気で、急激な温度差による「ヒートショック」のリスクがあることから、東京 北区の通所介護施設は高齢者に自宅の風呂場やトイレなどでの対策を呼びかけています。
急激な温度変化で心臓に負担がかかり死亡する危険性もある「ヒートショック」を防ごうと北区のデイサービス施設は、24日朝、自宅から施設に通う15人のお年寄りに、対策や注意点を説明しました。
この中で自宅での注意点として、リビングなどとの温度差を小さくするため入浴中以外はお風呂の扉を開けておくことや、トイレも使用中以外は開けておくことを呼びかけていました。

また、万が一に備えお風呂に入る際には家族にひとこえかけることが大事だと伝えていました。

さらに、入浴の際には浴槽にいきなり肩までつかるのではなく、半身浴で心臓に負担がかからないようにすることも大切だと説明していました。
「宝デイサービス十条」の徳永衣夏所長は「高齢者は特にヒートショックに注意が必要なので、家でもできる対策を共有しました。通所者の方が自宅に帰ってからも安全に過ごしてもらいたいと思います」と話していました。

82歳の女性は「トイレや洗面所のドアを開けておくことなどヒートショックの対策を教えていただき、勉強になりました。家に帰ってから実践したいと思います」と話していました。

「ヒートショック予報」“全国的に最も注意が必要”

日本気象協会と東京ガスは、各都道府県の地域ごとに危険度を示した「ヒートショック予報」という情報を出しています。

24日は北海道から東京、大阪、福岡、沖縄まで全国的に「警戒」や「気温差警戒」「冷え込み警戒」という最も注意が必要な予報が出ていて、こうした状況は珍しいということです。

「水道管凍結の対策を」水道局が呼びかけ

25日の最低気温がマイナス4度と予想されているさいたま市の水道局では、マイナス4度以下になると水道管が凍結しやすくなり、破損やひび割れにより漏水するケースがあるとして、SNSなどで事前の対策を呼びかけています。
具体的には、屋外の水道管は保温材やタオルで覆い、ビニール袋をかぶせて針金で固定することや、
メーターボックス内も発泡スチロールを入れた袋や古いタオルを入れることなどをあげています。
その上で、万が一、水道管が凍結した際は
▽水道管が破裂するおそれがあるため熱湯はかけずに
▽タオルをかぶせた上でぬるま湯をゆっくりかけたり
▽近くに電源があればヘアドライヤーで蛇口の付け根などを中心にあたたかい風をあてたりしてほしいとしています。

市の水道局には、対策に関する問い合わせが23日だけで、およそ30件寄せられたということです。
さいたま市水道局営業課の服部敬真副参事は「自宅にあるタオルなどでもできるので、きょうのうちに対策をお願いしたい。非常に厳しい寒さとなりそうだが、もし水が出ないという場合も慌てずに対応してほしい」と話していました。

家庭用給湯器の凍結にも注意を

急激に気温が低下することで家庭用給湯器の配管が凍結し、使えなくなるおそれがあることから、東京ガスは注意を呼びかけています。

東京ガスによりますと、給湯器には凍結防止機能が搭載されていますが、給湯器に接続されている水道配管部分の凍結防止には効果がないとしています。

このため気温が大きく下がった場合などには凍結対策として
▽給湯器のリモコンの運転スイッチをオフにしたうえで
▽蛇口から少しずつ、1分間に400ミリリットル程度の水を流し続けることが有効だとしています。

そして、凍結してしまった場合は、気温が上がり自然にとけるまで待ってほしいとしています。

お湯や、ドライヤーなどで温風をあてると配管などが損傷するおそれがあるとして東京ガスは注意を呼びかけています。

着雪による停電にも注意を

今回の非常に強い寒波で、気象庁は着雪による停電にも注意を呼びかけています。専門家は条件が重なって送電線が激しく揺れる現象が起これば、まれに大規模な停電につながる可能性もあるとしています。

気象庁は降雪が予想より多くなった場合、電線への着雪などで停電が起こる可能性があり、食料や飲料水、暖を取る手段などを確保してほしいと呼びかけています。

電力中央研究所によりますと、送電線についた雪や氷が飛行機の翼のような形になることがあり、そこに強風が吹くと「ギャロッピング現象」という、通常の強風では起こらないような複雑で激しい揺れが継続するということです。送電線どうしが接触してショートし、まれに大規模な停電につながることがあるといい、2015年に長野県で38万戸が停電したケースでは、「ギャロッピング現象」が主な原因とみられています。

電力中央研究所の杉本聡一郎上席研究員は「送電設備の雪害に至る現象として、『ギャロッピング現象』以外にも、降雪時にたくさんの雪が電線を覆う形になる『重着雪』や、まれだが海由来の塩分を多量に含んだ雪による『塩雪害』と呼ばれる現象があることが分かっており注意が必要だ」と話しています。

ペットにも影響 獣医師「温度管理に気配りを」

気温の低下はペットにも影響を与えるため、獣医師は温度管理に気を配るとともに屋外の寝場所に毛布を追加するなどして対応してほしいと呼びかけています。

東京 西東京市で動物病院を営む東京都獣医師会の中川清志副会長は、ペットも寒さへの対応は必要で、特に高齢や基礎疾患がある場合は温度変化の影響をより受けやすいので注意が必要だとしています。

中川副会長は「寒いからといってもいつも履き慣れていない靴や服を着させたりすることはストレスになるかもしれないのでペットの様子をよく見て対応してほしい」と話していました。
そして、寒さやペットの種類などに応じて
▽室内で飼育している場合は暖房で調整したり
▽屋外の場合は寝る場所の毛布を一枚追加したりして対応してほしいとしています。

また、犬の散歩については、寒さが厳しくても犬にとっては習慣的なものでもあるので、ストレスをためないためにもなるべくふだんと変わらずすごすことも大事だということです。
一方、猫の場合は、冬場の室内の乾燥で膀胱炎になることもあるので水分の摂取に気を配ってほしいとしています。

さらに、ケージで飼育するハムスターなどは、寒い場所は避けて室内の暖かい場所にケージを移動することが大事だということです。

植物にも影響 園芸店「家の中に入れるなど対策を」

気温がぐっと下がると植物にも影響が出る可能性があることから、園芸店ではプランターの植物を家の中に入れたり庭の花に不織布をかぶせるといった対策を呼びかけています。
東京 練馬区の園芸店は、外気温が0度以下になると湿度によっては霜の影響で根の部分から腐るおそれがあるとして、屋外に出しているプランターなどの植物は家の中に入れてほしいと呼びかけています。
また、屋内に移動させることが難しい場合は
▽花の上から不織布や穴を開けたビニールなどをかぶせたり
▽土壌部分にヤシの繊維や、木の皮などのマルチング材を敷き詰めたりすることで、寒さから守ることができるということです。

一方、屋内の植物については
▽凍結した窓の近くなど外気温に近い場所や
▽暖房の風が直接当たる場所を避けて、こまめに霧吹きなどで葉の表面や土壌部分に水分を与えるなどの乾燥対策が必要だということです。
「オザキフラワーパーク」の佐藤海都さんは「サボテンなど多肉質な植物や海外の植物は寒さに弱い種類が多いので、室内で管理するなど早めに対策してほしいです」と話していました。