障害のある人もリラックスして楽しめるようサポート行う舞台

障害のある人などがリラックスした環境で舞台を楽しめるように、照明を明るくしたりあらすじを解説したりするなどのサポートを行う公演が17日、都内で行われました。

「リラックス・パフォーマンス」と銘打ったこの取り組みは、17日東京・渋谷区で行われた、俳優の吉田鋼太郎さんが演出を手がけ、小栗旬さんが主演を務めるシェークスピアの劇「ジョン王」の公演で取り入れられました。

会場には、盲導犬を連れた人や車いすの利用者なども訪れ、受付では手話通訳のスタッフが配置されたほか、上演前に担当者があらすじを説明し、効果音など一部の演出についても不安に感じないよう事前に伝えていました。

そして公演中は、客席の照明を通常より明るくし、途中の出入りも自由にしたほか、字幕を表示するタブレットや音声ガイドなども導入され、訪れた人たちはおよそ3時間の公演を熱心に見入っていました。
主催者によりますと、こうしたサポートは海外では実績があるものの、国内の大規模な演劇では珍しいということで、公演を見た人たちからアンケートを実施し、今後も導入を検討していきたいとしています。

知的障害のある18歳の息子と訪れた母親は「途中で声を出したり、立ち上がったりしたらと不安もありましたが、初めて本格的なお芝居を見て、予想以上に楽しんでいました。こうした公演が広がってほしいです」と話していました。
舞台に出演した吉田鋼太郎さんは「演じている側としてはほとんど変わりなかったです。いい試みですし、どんどんやっていったほうがいいと思います」と話していました。

サポート行う会社「文化芸術こそ誰でも楽しめるように」

今回の公演で協力した、字幕や音声ガイドの制作などを手がける会社によりますと、障害のある人や子どもなど劇場での鑑賞に不安がある人へのサポートは国内ではまだ実績が少ないといいます。

今回の公演では、希望する人には事前に台本を貸し出し、セリフの内容やあらすじ、それに登場人物の動きなどを確認してもらう取り組みも行われました。

また、車いす席を増やし、1人で訪れることが難しい人には渋谷駅からの送迎も実施されたということで、会場には視覚障害や聴覚障害など、さまざまな障害のある人たちの姿が見られました。

会社の代表を務める山上庄子さんは「見たい公演があっても、字幕や音声ガイドがなかったり公演中に出入りできなかったりして来られないという声はよく聞きます。文化芸術こそ誰でも楽しめるように開かれたものであってほしいと思うので、実績を重ねながら広がっていってほしいです」と話していました。