鳥インフルエンザ 今シーズンの処分数 1000万羽超える

今シーズン、鳥インフルエンザで処分されるニワトリなどの数はすでに過去最多となっていますが、10日、新たに宮崎県の養鶏場で発生が確認され、1つのシーズンとして初めて、合わせて1000万羽を超えました。

鳥インフルエンザは今シーズン、去年10月28日に岡山県倉敷市と北海道厚真町で発生が確認されたあと、過去にないペースで相次ぎ、すでに2020年から2021年にかけてのおよそ987万羽を上回って過去最多となっています。

10日は、新たに宮崎県川南町の養鶏場で鳥インフルエンザの発生が確認され、農林水産省によりますと、処分されることになるニワトリなどの数は合わせておよそ1008万羽となり、1つのシーズンとして初めて1000万羽を超えました。

また、養鶏場などでの発生の数もすでに過去最多となっていて、今回のケースを合わせて23道県の57か所となっています。

鳥インフルエンザが異例のペースで相次ぐ理由について専門家は、感染した渡り鳥の飛来がこれまでで最も早い9月下旬に始まり、例を見ないほどウイルスが持ち込まれたなどとしていて、国内で定着している鳥にも感染が広がり、ウイルスが維持される状態が春まで続くおそれがあると指摘しています。

農林水産省は、消毒の実施やウイルスを運ぶ野生動物が入り込まないよう施設の補修を速やかに行うといった対策の徹底を養鶏農家などに呼びかけています。

農林水産省 大規模養鶏農家対象に調査

農林水産省は、鳥インフルエンザの感染拡大を受けて、大規模な養鶏農家を対象に感染が確認された際の対応計画を策定しているか、調査に乗り出しています。

農林水産省では、ニワトリを20万羽以上飼育する大規模な養鶏農家に対し、鳥インフルエンザが発生した場合に備えてニワトリの処分の依頼先をあらかじめ決めたり、必要な資材を用意したりするなどの対応計画を策定し、都道府県がその内容を確認するよう省令で定めています。

しかし、こうした計画の策定が進んでいなかったため、ニワトリの処分などに時間がかかっているケースもあることから、農林水産省は都道府県を通じて、養鶏農家が計画を策定しているかどうか調査に乗り出しているということです。

この調査は、書面による聞き取り形式で今月下旬まで行われるということで、農林水産省では調査の結果を踏まえ、今後の対応を検討することにしています。

養鶏会社では警戒強める 埼玉

鳥インフルエンザの感染が拡大する中、養鶏会社では消毒を徹底するなど警戒を強めています。

およそ27万羽のニワトリを飼育している埼玉県嵐山町の養鶏会社では、感染を防止するため、養鶏場に入る従業員の数を最低限に抑えたほか、出入りの際には靴を履き替えたり手や指の消毒を行ったりするなど対策を徹底しているということです。

さらに養鶏場の周りにもこまめに消毒用の石灰をまくようにしていて、敷地内の路面は真っ白になっていました。

この会社では、スーパーなどに向けて卵を出荷しているほか、マヨネーズなども製造しています。

鳥インフルエンザが発生すれば、すべてのニワトリを処分することになり、もとの飼育の規模に戻すには、1年以上かかるということで警戒を強めています。

セイメイファームの江森大也さんは「感染対策を注意深く行っていた養鶏場で鳥インフルエンザが出てしまったという話も聞いていて、どこまで対策をしても不安はあります。商品を買ってくれる人たちのためにも安定供給をしていきたい」と話していました。