気温上昇1.5度に抑えても“今世紀末までに約半数の氷河消滅”

世界の氷河に対する地球温暖化の影響について、平均気温の上昇を「パリ協定」で各国が努力すると定めた1.5度に抑えられたとしても、およそ半数の氷河が今世紀末までに消滅するというシミュレーション結果を、アメリカなどの研究チームが発表しました。

この研究結果は、アメリカのカーネギーメロン大学などの研究チームが、今月5日に科学雑誌の「サイエンス」に発表しました。

研究チームは、世界中の氷河、合わせて21万余りがどのくらいとけるか、温暖化により上昇する世界の平均気温を変えてシミュレーションを行いました。

その結果、気温の上昇を2015年のパリ協定で各国が努力すると定めた「1.5度」に抑えられたとしても、およそ49%の氷河が今世紀末までにとけて消滅することがわかったということです。

さらに気温上昇を4度と仮定した場合、およそ83%の氷河が消滅し、これはおよそ15センチの海面上昇に相当すると試算しています。

近年、世界各地で気温の上昇が原因とみられる氷河の崩落や洪水が報告されていて、研究グループは「多数の氷河が消滅するのを避けるにはもう遅いが、気温上昇を抑える取り組みは将来、失われる氷河の数を減らすのに有効だ」としています。