“クワイエットアワー” 少しずつ広がる取り組み

「クワイエットアワー」ということば、ご存じでしょうか。

音や光に敏感な感覚過敏という症状がある人が過ごしやすいよう店舗や施設の音や照明を調整する時間のことです。

いま、ドラッグストアやレジャー施設などで、苦手な状況がある人も利用しやすい時間を作ろうという取り組みが少しずつ広がっています。

毎週1時間ドラッグストアで

このうちドラッグストア、「ツルハドラッグ」の一部の店舗では、毎週土曜日、開店する9時から1時間、BGMを止めたり、照明を暗くしたりしています。
2019年に札幌市の店舗からスタートし、いまでは宮城県や新潟県などあわせて23の店舗で行われています。

取り組みを知った人から本社に電話が来ることもあり、去年の暮れにも「音や光が苦手な娘が仙台市で1人暮らしをしている。実施している店舗の場所を知りたい」などという電話があったということです。

休園日を活用した“静かな動物園”

また愛知県豊橋市の豊橋総合動植物公園では、2020年から毎週月曜日の休園日を活用して、障害などで人混みが苦手な人たちに園を利用してもらう取り組みをしています。

きっかけは利用者から「自閉症の家族が人混みが苦手で楽しむことが難しい。何かいい方法はないか」と相談を受けたことでした。
休園日なら静かな環境で動物を見ることができると考え、利用者を登録制にして、申請があれば園を開くことに。令和3年度には53人が登録し、のべ102人が利用しました。

園には「楽しく家族で過ごすことができました」といった声が寄せられているということです。

“音のない水族館”

北海道小樽市のおたる水族館も去年2回、館内にBGMなどを流さない「音のない水族館」というイベントを実施しました。

イルカのショーではマイクを使わず、演技の説明を大きなボードにまとめて掲げ、来場した人がわかるよう工夫したということです。

今月も11日に「音のない水族館」を開催する予定です。

また商店街でも、各店に協力を呼びかけて週に1回ほどクワイエットアワーを実施しているところもあります。苦手な状況がある人の不安を取り除き、利用しやすい時間を作ろうという取り組みが少しずつ広がっています。