各地で平年大きく上回る積雪 除雪中の被害相次ぐ 安全確保を

冬型の気圧配置の影響で、北日本から西日本の日本海側を中心に断続的に雪が降っています。各地で平年を大きく上回る積雪となっていて、引き続き交通への影響に十分注意が必要です。

一連の大雪では除雪中の事故や落雪による被害が相次いでいて、作業は2人以上で行うなど安全を確保してください。

気象庁によりますと、冬型の気圧配置の影響で25日も北日本から西日本の日本海側を中心に雪が降り、今月17日からの大雪で、積雪が平年の3倍以上に達しているところもあります。

午後6時の各地の積雪は
▽山形県西川町大井沢で1メートル58センチ
▽北海道の遠軽町白滝で1メートル21センチ
▽新潟県の魚沼市守門で1メートル20センチ
▽鳥取県の大山で1メートル1センチ
▽岐阜県白川村で64センチ
▽群馬県みなかみ町で42センチなどとなっています。

除雪中の事故相次ぐ 安全確保を

雪のピークは越えましたが、冬型の気圧配置は続くため、このあとも日本海側の山沿いを中心に雪が降り、断続的に強まるところもある見込みです。

気象庁は、引き続き積雪や路面の凍結による交通への影響に十分注意するよう呼びかけています。

一連の大雪で、雪下ろしなど除雪作業中の事故で亡くなる人が相次いでいます。

雪下ろしの際は、低い屋根でも安全帯を装着して体と建物を命綱で結び転落の防止を徹底するほか、作業は2人以上で行うなど安全を確保してください。

軒下は雪や「つらら」が落ちてくるおそれがあり、近づかないようにしてください。

積雪の多い地域では雪崩にも注意が必要です。

愛媛 久万高原町 災害派遣の自衛隊が現地入り

愛媛県久万高原町では、大雪の影響で一部の集落の住民と連絡が取れなくなっていましたが、県の要請で災害派遣された自衛隊が現地入りした結果、けが人や体調を崩している人はいないことが確認されました。

久万高原町では23日、統計を取り始めてから最も多い76センチの積雪が観測され、県道に積もった雪の中で近くに住む60代の男性が倒れているのが見つかり死亡が確認されたほか、24日、崖の下の雪の中で近くに住む90代の女性が倒れて亡くなっているのが見つかりました。

町内では一時、およそ3000戸が停電し、愛媛県は24日、自衛隊に災害派遣を要請して、高齢者の避難などに支援を求めるとともに、町は町内の3か所に避難所を開設しています。

町によりますと、石鎚山のふもとにある面河地区の若山という集落の一部の住民と、大雪の影響で連絡が取れなくなっていましたが、自衛隊が集落の道路を除雪するなどして現地入りした結果、けが人や体調を崩している人はいないことが確認されました。

集落の住民は「生活道路なので自分たちで雪かきしようと思ったが、できなかった。隊員の姿を見たときは、心強く感じた」と話していました。

四国電力送配電によりますと、町内では25日午後5時すぎの時点でおよそ60戸で停電が続いていて、町は電力会社と協力して、すべての停電の復旧を急ぐことにしています。

専門家「除雪作業は2人以上で」

各地で積雪が増える中、相次いでいるのが除雪作業が原因の事故です。

過去の調査では、特に屋根からの雪下ろしに伴って転落する事故が多くなっていて、専門家は作業は2人以上で行うほか、命綱を正しく使用するなど対策を徹底してほしいと呼びかけています。

長岡技術科学大学の上村靖司教授が過去の雪の事故を分析した結果、およそ6割が雪下ろしなどに伴って屋根やハシゴなどから転落した事故だったということです。

雪下ろしをする際の注意点です。

□作業は2人以上で行う

□ヘルメット、命綱を着用する

□はしごはしっかり固定する

□軒先からの落雪に気をつける

□緊急用に携帯電話を持つ

□見えない用水路に気をつける

さらに具体的な対策について上村教授に聞きました。

命綱は “3点セット” で!

まず命綱の使い方です。

上村教授は体に装着する安全帯とロープ、「アンカー」と呼ばれる建物側の金具の3点を揃えることが必要だとしています。

安全帯はホームセンターなどで購入できるほか、ロープは登山用のものが望ましいとしています。

ロープをアンカーに固定する際は、張った状態で屋根からはみ出さない長さに調節するようにしてください。

はしごの上り下りにもリスク

はしごでの上り下りやはしごに乗ったままの作業で転落する事故も多く、注意が必要です。

こうした事故を防ぐため、上村教授は、はしごに乗ったままの作業は絶対に避けてほしいとしたうえで、はしごの下の部分をしっかり雪に埋めて固定し、はしごと屋根との接触部分はロープで結ぶか雪に押し込んで横にずれないようにすることが大切だとしています。

雪下ろしは内から外に

屋根の上での作業では、「屋根の端」に立たないようにすることが大切だといいます。

屋根からせり出した「雪ぴ」などの影響で、どこまでが屋根かわからなくなるためです。

雪下ろしの際は、体は常に屋根の真ん中側に置いて道具を屋根の外側に向けるようにして行うことで、事故のリスクを減らせるといいます。

上村教授は「屋根の雪下ろしは高所作業で安全対策が必要だが、対策をとっている人が少ない。今できることで最大の工夫をして安全を確保ほしい」と話しています。