タイヤが雪で空回り “スタック”はなぜ起きる 最新の研究は

19日、北陸自動車道では複数の車が坂道を上れなくなり、一部区間が4時間あまりにわたって通行止めとなりました。

毎年、大雪の際に相次ぐ車の立往生、原因の1つが雪にタイヤがはまって空転する「スタック」です。

停車や発進で雪の路面に“くぼみ”ができ、それに後続車が次々にはまると次第に深くなって進めなくなり、立往生する車が発生すると考えられることが福井大学と新潟大学の研究グループが行った実験で分かりました。

※記事の最後には、立往生に備えて車に積んでおくと良いものなどを紹介しています。

近年相次ぐ 立往生

近年の大雪ではスタックが原因の車の立往生が相次いでいて、2018年2月には福井県の国道で1500台が立往生して解消までに60時間以上かかったほか、2021年1月にも北陸自動車道などで大型車が身動きがとれなくなり大規模な立往生が起きました。
福井大学と新潟大学の研究グループが2021年1月、実際に立往生が発生した福井県内の国道で調査を行ったところ押し固められた雪の路面に深さ10センチ程のくぼみがいくつも確認されました。

スタックはなぜ起きる

グループが路面の状況を再現し2トントラックを使って実験したところ、停車している状態では車の重みに加えて、気温に比べてタイヤの温度が高いために雪が溶かされ、およそ20分で4センチ程、70分で8センチ程のすべりやすいくぼみができました。

また、タイヤを空転させた実験では、わずか3回まわっただけでくぼみの深さは7センチに達しました。実験では、深さが6センチを超えるとトラックはくぼみを乗り越えられなくなりました。
こうした実験から、研究グループでは
▽1. 信号待ちや渋滞などで停車した車が最初に小さなくぼみを作り、
▽2. 後続の車両が次々とはまって停車や発進を繰り返すことでくぼみがさらに深まり、
▽3. 最終的に乗り越えられない車がスタックを起こして立往生につながったと考えられるとしています。

“スタックしたらタイヤの前の除雪を”

福井大学の藤本明宏准教授は「実験から道路に積もった雪が5センチ以上になるとスタックしやすいということもわかってきた。予防的な通行止めや早期の除雪はとても有効だ。雪道でタイヤが空転した場合、アクセルを踏むとくぼみを深めてしまうのでタイヤの前の雪を取り除くなど焦らずに対応してほしい」と話しています。

車に備えておきたい対策グッズ

それでもスタックをしてしまった場合に備えて、車に積んでおくとよいものを紹介します。
▽防寒のためのカイロ・毛布
▽ペットボトルの水
▽軍手(作業用の手袋)
▽懐中電灯
▽携帯用トイレ
▽ようかん:糖分が多くエネルギーが取りやすい上に、水分も適度に含まれている
▽スコップ:立往生したときの雪かきに必需品

マフラー周辺の除雪も 一酸化炭素中毒に注意

マフラーが雪に埋まってしまうと、排気ガスが車の下にたまり、あっという間に車内に入って、一酸化炭素中毒を及ぼします。

一酸化炭素は色もにおいもないため、気付かずに吸ってしまい、命を落とす人が少なくありません。

寒さのため、やむをえずエンジンをかける場合は、こまめにマフラー周辺を除雪することが必要です。

身動きがとれなくなってしまったら

情報がなく、車も身動きが取れない場合は、
▽国土交通省の「道路緊急ダイヤル」#9910に電話してください。

目の前で事故が起きるなど状況が急激に悪化している場合は警察にも連絡してください。
▽JAF(日本自動車連盟)のロードサービス#8139もあります。