「アイヌ語」研究成果まとめた英語のハンドブック 初めて出版

日本の先住民族、アイヌの人たちが使う言語「アイヌ語」のこれまでの研究成果をまとめた英語のハンドブックが出版されました。執筆した研究者は英語でこうした本が出版されるのは初めてだとしていて、アイヌ語に関する知見を世界に発信したいとしています。

アイヌの人たちが使うアイヌ語は、日本語だけでなく世界中の言語とのつながりが、ほとんどみつかっていない珍しい言語として知られていますが、研究論文の多くは日本語で書かれ、英語の文献が数少ないのが現状です。

国立国語研究所はアイヌ語研究のすそ野を海外にも広げようと、アイヌ語についての研究を網羅した英語版のハンドブックを7年がかりで編さんし、このほど、ドイツの出版社から出版されました。

本は、東京理科大学のアンナ・ブガエワ准教授ら17人の研究者が執筆し、アイヌ語の文法構造や歴史、それに各地域に伝わる昔話などの口承文学や方言までこれまでの研究成果がおよそ700ページにわたって解説されています。

ブガエワ准教授は、アイヌ語という言語について体系的に解説した本が英語で出版されるのは初めてだとしていて、「アイヌ語に関わる情報を総合的に集めたいわば図鑑です。言語学に貢献するとともに日本には日本語だけではなくアイヌ語もあるということを世界に発信して関心を高めていきたい」と話しています。