ワールドカップ 日本代表 森保監督らが帰国会見【詳しく】

サッカーのワールドカップカタール大会で、強豪のドイツとスペインを破って決勝トーナメントに進出し、ベスト16で大会を終えた日本代表が帰国し、森保一監督は記者会見で「優勝経験のある国を破ることができ、すばらしい経験ができた。”ドーハの悲劇”から”ドーハの歓喜”を味わうことができた」と大会を振り返りました。

(※記事後半で記者会見を詳しくお伝えしています)

サッカーの日本代表はいずれも優勝経験のあるドイツとスペインを破って1次リーグを突破し、決勝トーナメント1回戦では前回大会準優勝のクロアチアにペナルティーキック戦の末に敗れ、初のベスト8進出は逃しましたが、2大会連続のベスト16で大会を終えました。

森保監督と選手の多くは、7日午後5時すぎに成田空港に到着し、午後7時半すぎから森保監督とキャプテンを務めた吉田麻也選手、それに日本サッカー協会の田嶋幸三会長などが空港近くのホテルで記者会見に臨みました。

この中で森保監督は「選手は、個のよさと団結力を持って世界で戦えるところを示してくれた。優勝経験のある国を破ることができ、すばらしい経験ができた。”ドーハの悲劇”から”ドーハの歓喜”を味わうことができた」と大会を振り返りました。
そのうえで「目標とするベスト16の壁を破ること、『新しい景色』は見られなかったが、新しい時代の入り口となった。しかし、まだ入り口で、今後も国民の皆さんと共闘し、世界の壁を乗り越えてみんなで喜べるようになりたい」と述べました。
また、吉田選手は「今までで、いちばん短いワールドカップだったが、いちばん楽しかった。このチームは解散してしまうが、ここで歩みを止めてはいけない。次のワールドカップへと続く戦いに打ち勝たないといけない」と話しました。
そして、決勝トーナメント1回戦のクロアチアとの対戦で、ペナルティーキック戦のキッカーを選手の立候補で決めたことについて、森保監督は「選手に責任を負わせてしまったことについては私がすべて決めた方が選手にとってよかった部分もあるし、結果も違ったかもしれない。ただ、トレーニングもしてきたし、自信を持って、気持ちを持って蹴ってもらうことで判断した。口から心臓が飛び出るくらいの緊張とプレッシャーの中で勇気を持って蹴ってくれた選手をたたえたい」と話しました。
日本サッカー協会の田嶋会長は次の監督について問われると「前回、2018年のハリルホジッチ監督の交代から技術委員会で議論し、そのあと会長と数人で議論して理事会にかけるという新しい方法でやっている。なので私から名前が出ることはないし、反町技術委員長が進めてくれる」と述べ、明言を避けました。

《会見 詳細》

【記者会見出席者】
日本サッカー協会 田嶋幸三 会長
         反町康治 技術委員長
サッカー日本代表 森保一 監督
         吉田麻也 主将

森保監督「選手たちは『新しい時代』見せてくれた」

森保監督は「帰国を温かく迎えていただき、ありがとうございました。選手の活躍を通して国民の皆さんに夢や希望、日常の活力となる元気、勇気、根気をお伝えできればと、選手も頑張りました」と述べました。

そのうえで「『新しい景色』を見ることはできませんでしたが、選手たちは『新しい時代』を見せてくれました。これからも戦っていき、世界の壁を乗り越えていきたい」と話しました。

吉田主将「これまでのワールドカップでいちばん楽しかった」

吉田選手は「目指すところには届かなかったが、チーム一丸となって戦えたし、結果が出てないのにこういうこと言うのはどうなのかと思うが、これまでのワールドカップで、いちばん楽しかった」と大会を振り返りました。

そして「残念ながらこのチームはここで解散してしまうが、歩みを止めてはいけない。このあとも大きな大会があり、アジアカップでまずアジアの頂点に立ち、そのあとパリオリンピックや次のワールドカップへと続く戦いに打ち勝たないといけない」と話しました。

森保監督「空港で驚きを感じた」

森保監督は帰国時の成田空港でのファンの声援について「カタールで戦っていたので、こんなに日本の皆さんが喜んでいると思っていなかったので、空港で驚きを感じた。選手の勇気をもって戦う姿勢を喜んでいただいてうれしい。温かく出迎えていただき幸せな気分だ」と話しました。

森保監督「個の能力を上げることが日本の強化に」

森保監督は「今後は、選手それぞれが個の能力を上げることが日本の強化につながると思うので、選手たちにはより高いレベル、ワールドカップ基準を持って常に成長してほしいと伝えた。それに加えてチームの団結力、一体感も持ち続けてほしいと伝えた」と話しました。

吉田主将「国を背負って戦えるのは本当に誇り高い仕事」

吉田選手は若い選手たちに向けて「20代で自分の国を背負って仕事ができることはめったにない。自分の好きなサッカーで国を背負って戦えるのは本当に誇り高い仕事だと思っている。日本代表の選手たちの注目度が高まっているので、たくさんメディアに出て、露出を増やして、人気を加速させよう」と伝えたことを時折笑顔を交えながら話しました。

森保監督「“ドーハの悲劇”から“ドーハの歓喜”」

森保監督は「選手・スタッフと最高の準備で全力を尽くせた。国民とサポーターとチームが一体となって、ワールドカップで優勝経験のある国を破ることができて、すばらしい経験ができた。“ドーハの悲劇”から“ドーハの歓喜”を味わった」と話しました。

森保監督「PK戦 選手 勇気を持ったことたたえたい」

森保監督は決勝トーナメント1回戦のクロアチアとの対戦で、ペナルティーキック戦のキッカーを選手の立候補で決めたことについて「これまでと同じような形を取ることにした。選手に責任を負わせてしまったことは私がすべて決めた方が選手にとってよかった部分もあるし、結果も違ったかもしれない。ただ、トレーニングもしてきたし、自信を持って気持ちを持って蹴ってもらうことで判断した。蹴ってくれた選手は本当に勇気のある決断をしてくれた。口から心臓が飛び出るくらいの緊張とプレッシャーの中で勇気を持ったことをたたえたい」と話しました。

吉田主将 PK戦の選手選考法「間違っているとは思わない」

吉田選手は決勝トーナメント1回戦、クロアチアとの対戦で、ペナルティーキック戦のキッカーを選手の立候補で決めたことについて「オリンピックでは同じやり方でニュージーランドに勝っている。全部、結果論だと思っている。負けたから、そこがフォーカスされているがニュージーランド戦の時はそういう声はなかったし、このやり方が間違っているとは思わない」と述べました。

吉田主将 長友・川島に「本当にブラボーな役割」

吉田選手は、今大会でのベテラン、長友佑都選手と川島永嗣選手の存在について問われると「2人とも芯の強い男だなと思ったし、常にいい影響を与えてくれた。サッカーはチームスポーツなのでバランスが必要だが、川島選手がいると引き締まるし、長友選手がボール回しにいると盛り上がる。若い選手はそういう姿を見て『長く日本代表でやるには』という考え方を身につけ、日本代表で仕事をする意味や覚悟を学んでいくと思う。本当にブラボーな役割だった」と話しました。

W杯カタール大会で印象的な場面は…

ワールドカップカタール大会で印象的だった場面についての質問に対し、吉田選手は「2試合目のコスタリカ戦のハーフタイムで監督がぶち切れたところが、いちばん印象的でした」と苦笑いしながら話しました。
これに続いて森保監督は「どうリアクションしていいのか」と少し困ったような表情で答えると「最後のクロアチア戦が終わったあと、選手たちの思いが出ていたシーンが思い出される。悔しい思いをする選手、涙している選手を見た。目標を達成できなかったことを目の当たりにした選手たちのリアクションは忘れられない。私自身も強い覚悟を持って挑んだつもりだが、選手たちの表情を見ていると、より強い覚悟を持って世界に挑まないといけないなと思ったし、選手たちができると思ってその場にいて悔しさを表していたと思うので、日本のサッカーが必ずベスト16の壁を破っていけるという気持ちにさせていただいた」と話しました。

田嶋会長 次期代表監督「私から名前が出ることはない」

日本サッカー協会の田嶋会長は次の監督について問われると「前回2018年のハリルホジッチ監督の交代から技術委員会で議論し、そのあと会長と数人で議論して理事会にかけるという新しい方法でやっている。なので私から名前が出ることはないし、反町技術委員長が進めてくれる」と述べ、明言を避けました。