ワールドカップ 日本 ドイツに逆転勝利で勝ち点3 後半に2得点

サッカーのワールドカップカタール大会、世界ランキング24位でグループEの日本は23日の1次リーグの初戦、世界11位で西ドイツ時代も含めて過去4回の優勝を誇るドイツと対戦し、途中出場の堂安律選手と浅野拓磨選手のゴールで2対1で逆転勝ちしました。

日本は前回のワールドカップロシア大会に続く白星スタートで、過去6大会で初戦で勝ち点を獲得した3大会は、いずれも決勝トーナメントに進出しています。日本が入るグループEは、スペインはコスタリカとの初戦で7対0で快勝したため、日本は得失点差で2位となっていて日本は2戦目となる27日のコスタリカ戦に勝って、その後スペインがドイツに勝つか引き分けると、3戦目を待たずにグループEの2位以内が確定し2大会連続の決勝トーナメント進出が決まります。

※試合の詳細と各選手たちの談話はページの下部に※

前半、日本は序盤からドイツに細かくパスをつながれ再三ゴール前でピンチをまねき、ボール保持率で7割以上を握られる苦しい展開が続きました。

そして33分にゴールキーパーの権田修一選手によるファウルで与えたペナルティーキックをイルカイ・ギュンドアン選手に決められ先制されました。
1点を追う後半は、堂安選手や浅野選手、三笘薫選手といった攻撃的な選手を次々と投入して徐々に主導権を握り、30分にゴール前のこぼれ球を堂安選手が押し込んで同点に追いつきました。

さらに38分にはロングパスを受けた浅野選手がそのままドリブルで持ち込み右足でシュートを決めて勝ち越しました。
日本はこのあとドイツの反撃をかわし、2対1で勝って勝ち点3を獲得しました。前回のロシア大会に続く白星スタートとなります。日本は27日、1次リーグの第2戦で世界31位のコスタリカと対戦します。

日本対ドイツの試合データ

【観衆】4万2608人
【得点】ドイツ:前半33分 イルカイ・ギュンドアン
    日 本:後半30分 堂安律 38分 浅野拓磨
【シュート数】
    日 本:11
    ドイツ:26
【ボール支配率】
    日 本:24%
    ドイツ:65%

過去6大会「初戦で勝ち点」の3大会はいずれも決勝T進出

最初に決勝トーナメントに進んだのは2002年の日韓大会で、1次リーグの初戦でベルギーに2対2で引き分け、続く第2戦のロシア、第3戦のチュニジアに連勝して勝ち上がりました。

次は南アフリカ大会で、1次リーグのカメルーンとの初戦で本田圭佑選手がゴールを決めて1対0で勝ち、第2戦はオランダに敗れたものの第3戦でデンマークに3対1で快勝して2回目の決勝トーナメント進出を果たしました。

そして前回のロシア大会は、コロンビアに香川真司選手と大迫勇也選手のゴールで2対1で勝ったあと第2戦のセネガルと引き分け、第3戦ではポーランドに敗れたものの僅差で勝ち上がりました。決勝トーナメントに進出した過去3大会はいずれもベスト16に終わっていて、今大会、日本は初のベスト8進出を目指します。

決勝ゴール 浅野拓磨 4年前は大会直前にメンバー外に

浅野選手は三重県菰野町出身の28歳。抜群のスピードで相手のディフェンスの背後を突く動きに加え、スタミナを生かした前線からの守備にも定評があります。

メンバーに選ばれなかった4年前のことを問われると「本当にことばにできないような悔しさで今だから言えますがほかの選手に対して『活躍するな』とか、チームに対して『勝ち上がるな』とか思ってしまう自分もいた」と複雑だった当時の心境を明かしました。それでも「4年後はすぐに来る」と切り替えると、専属のトレーナーやシェフを雇ってそれまでは全て自己流で行ってきたトレーニングや食事を見直しました。

浅野選手は「覚悟を持って4年間、今までやったことがなかったことを積み重ねてきた。それで体やプレーの感覚も変わってきたし、代表で起用されれば今まで以上に結果を残せる自信がある」と話していました。そして今回の大会に向けてはアジア最終予選から攻撃の中心の1人として活躍し直前には所属するクラブでケガがあったものの森保一監督の信頼は揺るがずワールドカップの代表入りの夢を叶えました。
途中出場から見事に決勝点を奪った浅野選手。試合後、自身のツイッターを更新し「この日、この瞬間のためだけに4年半前から準備してきた。悔しいこともうれしいこともムカつくこともすべてがきょう、この瞬間につながっている。応援してくれている方、本当にありがとうございます。批判してくれている方、感謝はしていないですがそれもきょうにつながっています。まだまだここから頑張ります。感謝」とつづっています。
ゴールの直後、味方の選手に囲まれて抱きしめられて、大勢のサポーターから地鳴りのような歓声を受け、得点の際に見せるいつもの「ジャガーポーズ」にはサッカー人生最大の屈辱を確かに晴らしたという誇らしさも加わっていたように感じました。

試合の最優秀選手はGK権田修一

ドイツを相手に逆転勝利を収めた日本。そこには先制されながらも気持ちを切らさず粘り強く体を張り続けた権田修一選手の堅守がありました。
この試合、日本代表はドイツのどとうの攻撃に苦しめられ、前半には権田選手が相手選手と接触してペナルティーキックを与えてしまいました。

「それまで酒井選手と伊東選手が相手をマークしていたが、あのシーンだけフリーで入る状況になった。最初は対応できたが、切り返されたたときに、相手に接触してペナルティーキックとなった。現実を受け止めて、次に向かおうと切り替えた」と話しました。
このペナルティーキックは決められたもののここからが権田選手の見せ場でした。ドイツに何度もシュートを打たれながら日本のゴールを守り抜きオフサイドかと思われたシーンでも体を張り続けました。

この試合、ドイツから受けたシュートは実に26本。世界屈指の猛攻を1点でしのぎきったことが、その後の日本の反撃につながりました。
歴史的な勝利に「みんなで1つのことを一生懸命やったらこのようなことができると証明できた。本当にうれしかった」と胸を張り「次のコスタリカ戦で勝ち点を積んで、1次リーグを突破したい」と先の戦いを見据えていました。

《試合経過》

日本代表メンバー 長友は4大会連続出場に

【GK】12権田修一
【DF】4 板倉 滉/5長友佑都/19酒井宏樹/22吉田麻也(C)
【MF】6 遠藤 航/11久保建英/14伊東純也/15鎌田大地/17田中 碧
【FW】25前田大然
これで長友選手は4大会連続12試合目の出場となり、FIFAによりますと日本選手としてはワールドカップで単独最多の出場になるということです。
=SUB=
【GK】1 川島永嗣/23シュミット ダニエル
【DF】2 山根視来/3谷口彰悟/16冨安健洋/26伊藤洋輝
【MF】7 柴崎 岳/8堂安 律/9三笘 薫/10南野拓実/13守田英正/24相馬勇紀
【FW】18浅野拓磨/20町野修斗/21上田綺世

試合前のインタビューに答えた森保監督は「さきほどミーティングでも話したがやるべき準備はしっかりできてきたと思う。選手たちには勇気を持って勇敢に戦い抜いてほしい。厳しい戦いを覚悟しつつ楽しんでほしいなと思う」と語りました。

ドイツ代表メンバー 19歳ムシアラが先発

【GK】1マヌエル・ノイアー
【DF】2アントニオ・リュディガー/3ダービト・ラウム/15二クラス・ズーレ/23ニコ・シュロッターベック
【MF】6ヨシュア・キミッヒ/13トーマス・ミュラー/14ジャマル・ムシアラ/21イルカイ・ギュンドアン
【FW】7カイ・ハバーツ/10セルジュ・ニャブリ
ドイツのサッカー連盟は公式のホームページやツイッターで、試合前にドイツの選手たちがグラウンド上で手で口をふさいで映った集合写真とともに「人権問題は譲れない。腕章を着けないということは声を上げないということと同じだ。私たちは自分たちの立場を貫く」とするコメントを掲載し、改めて抗議の意志を示しました。
=SUB=
【GK】12ケビン・トラップ/22マーク アンドレ・テア シュテーゲン
【DF】4マティアス・ギンタ―/5 ティロ・ケーラー/16ルーカス・クロスターマン/
20クリスティアン・グンター/25アルメル・ベラ コチャップ
【MF】8レオン・ゴレツカ/11マリオ・ゲッツェ/17ユリアン・ブラント/18ヨナス・ホフマン/19リロイ・サネ
【FW】9ニクラス・フュルクルク/24カリム・アデイェミ/26ユスファ・ムココ

ヨーロッパ予選で4得点を挙げた、主力の1人でミッドフィルダーのリロイ・サネ選手が右ひざのけがの影響で欠場しました。

世界ランキングは日本の24位に対しドイツは11位。過去に日本はこれまでドイツと強化試合で2回対戦し、1敗1引き分け。2004年12月の試合では0対3で敗れ、2006年5月の対戦では2対2で引き分けています。

【試合開始】

日本時間午後10時、ドイツのキックオフで試合が始まりました。日本はブルーのユニホーム、ドイツは白と黒のユニホームです。

【前半5分】 日本がコーナーキック獲得も得点ならず

相手陣でボールを奪った日本は右サイドの伊東選手がクロスをあげますが、相手のディフェンダーに当たりコーナーキックとなりました。鎌田選手が蹴ったコーナーキックは相手選手にクリアされました。

【前半8分】 日本 前田がゴールネットを揺らすもオフサイド

日本は鎌田選手がボールを奪って右サイドの伊東選手にパス。中央に走り込んだ前田選手がクロスに合わせてゴールネットを揺らしましたが、オフサイドの判定で得点はなりませんでした。

【前半12分】 ドイツ 左サイド中心に日本に攻勢かける

この時間帯はドイツがボールを保持し、左サイド中心に攻撃を展開。しかし日本も組織的な守備でシュートは打たせていません。この時間までのボール支配率はドイツ70%:日本30%ほどとなっています。

【前半17分】 ドイツがCK獲得も得点ならず

ドイツはこの試合初めてのコーナーキック。キミッヒ選手が右サイドから蹴り、リュディガー選手が頭であわせましたが、シュートはゴール右側に外れました。

【前半20分】ドイツのミドルシュートは権田が好セーブ

ドイツのキミッヒ選手がペナルティーエリアの外から強烈なミドルシュートを打ちましたが、ゴールキーパーの権田選手が防ぎました。

【前半22分】日本 ショートコーナーからのクロスボールは枠外

日本がこの試合2本目のコーナーキックを獲得。ショートコーナーからのクロスボールに、最後は板倉選手が頭で狙いましたが枠を捉えられませんでした。

【前半28分】ドイツ ギュンドアンのシュートは権田がキャッチ

ドイツが右サイドから攻撃を組み立て最後は中央でギュンドアン選手がミドルシュートを打ちましたがゴールキーパーの権田選手がキャッチして防ぎました。この時間までのボール支配率はドイツ90%:日本10%ほどとなりドイツがボールを支配する時間が長くなっています。

【前半29分】ドイツの猛攻続く

ドイツが左サイドから攻撃。クロスボールをゴールキーパーの権田選手がはじいて防ぎ、そのこぼれ球をドイツのギュンドアン選手がシュートしましたが、日本の選手がクリアし得点は許しませんでした。

【前半31分】日本 権田がDFラウムを倒しPK与える

日本のゴールキーパー権田選手がドイツのラウム選手をゴール前で倒してしまいドイツにペナルティーキックが与えられました。

※GOAL※【前半33分】ドイツ PK決めて先制 日本0-1ドイツ

ドイツはギュンドアン選手がペナルティーキックをゴール正面に決め、先制しました。

【前半35分】日本 CK獲得も相手にはじかれる

日本が右からのコーナーキックを獲得。ボールは相手ディフェンダーにはじかれました。

【前半42分】ドイツ ミドルシュートは枠とらえられず

この時間もドイツが猛攻。中央でミュラー選手からのボールを受けたキミッヒ選手がミドルシュートを打ちましたが、枠をとらえられませんでした。

【前半45分】ドイツ ムシアラのシュートは外れる

日本はドイツの19歳、ムシアラ選手にペナルティーエリア内でシュートを打たれましたが、ゴールを大きく外れました。ここまでのシュートは日本1本、ドイツ11本となっています。

【前半アディショナルタイム】ドイツ ネット揺らすもオフサイド

前半のアディショナルタイムは4分の表示。前半終了間際、ドイツのハバーツ選手のシュートが日本のネットを揺らしましたが、VARによるビデオ判定も行われた結果、オフサイドと判定されゴールは認められませんでした。

【前半アディショナルタイム】日本 前田のシュートは枠捉えず

日本は長友選手が左サイドの深い位置からクロスボールをあげ、前田選手が頭であわせましたが、枠を捉えることはできませんでした。

【前半終了】日本 0-1 ドイツ

日本は0対1でドイツにリードされ前半が終了しました。

【ハーフタイム】シュート数は日本1本 ドイツ13本

前半の試合データの速報です。シュート数は日本の1本に対して、ドイツは13本。コーナーキックは、ドイツが1回だったのに対して日本は3回ありましたが、得点には結びつきませんでした。終始、押される展開でボール保持率はドイツが72パーセントでドイツが攻め込む時間が多く苦しい前半となりました。

【ハーフタイム】森保監督「プランどおり戦えている」

前半を終えて森保一監督は「粘り強く戦えている。PKは痛かったが我慢強く戦っていこうと伝えていたのでプランどおり戦えている。後半はチャンスの時に決めきれるように粘り強く戦ってほしい」と話しました。

【後半開始】日本 メンバー交代 スリーバックにシステム変更

日本は後半開始からMF久保建英選手からDF16冨安健洋選手と交代しました。日本は、後半開始とともにディフェンダーの冨安健洋選手が入ったことでディフェンスラインをスリーバックに変更しています。

【後半2分】ドイツ ニャブリのシュートが枠外れる

ドイツはペナルティーエリア付近でパスを受けたニャブリ選手が右足で強烈なシュートを打ちましたが、枠を外しました。

【後半5分】日本 鎌田のシュートは相手に当たり外れる

日本は鎌田選手がペナルティーエリア内でシュートを打ちましたが、相手にあたって枠を大きく外れました。

【後半12分】日本は2人交代 三笘と浅野を投入

日本は長友佑都選手に替えてミッドフィルダー三笘薫選手、前田大然選手に替えてフォワードの浅野拓磨選手を投入しました。

【後半13分】日本 入ったばかりの浅野のヘディングは外れる

日本は伊東選手の右からのクロスに浅野選手が頭で合わせましたが枠を捉えられませんでした。ここまでで3人の選手交代を行った日本が攻撃に転じる機会が増えてきました。

【後半21分】日本 浅野のシュートは相手選手に当たりCKに

日本は浅野選手がペナルティーエリア内でパスを受け、振り向きざまに左足でシュートを打ちましたが、相手選手に当たってコーナーキックとなりました。

【後半22分】日本 CKから板倉が頭で狙うも阻まれる

日本は左からのコーナーキックに板倉選手が頭で合わせましたが相手のディフェンダーにあたりました。

【後半22分】ドイツがギュンドアンとミュラーが交代

トーマス・ミュラーとイルカイ・ギュンドアンに替えてミッドフィルダーのレオン・ゴレツカ選手とヨナス・ホフマン選手を投入しました。

【後半26分】日本 権田が立て続けの“4連続セーブ”

日本はドイツに立て続けにシュートを打たれましたが、権田選手が好セーブを見せ追加点を許しませんでした。

【後半26分】日本 田中碧→MF堂安律

日本は、田中碧選手に替えてミッドフィルダーの堂安律選手を入れました。日本はこれで4人目の選手交代です。

【後半28分】日本 伊東のシュートは阻まれる

日本はゴール前のパスに走り込んだ伊東選手が胸でトラップして右足でシュートを打ちましたが阻まれました。さらにこぼれ球に反応した酒井選手がシュートを打ちましたが、枠の上へ外れました。

【後半30分】日本メンバー交代 DF酒井→MF南野

さらに日本はメンバー交代。ディフェンダーの酒井宏樹選手に替えてミッドフィルダーの南野拓実を入れました。日本はこれで5人目のメンバー交代です。

※GOAL※【後半30分】日本 堂安が同点ゴール 日本1-1ドイツ

攻勢をかける日本は三笘選手のパスを受けた南野選手がゴール左側から打ったシュートのこぼれ球を、途中出場の堂安選手が左足でシュートを決めて同点に追いつきました。

【後半34分】ドイツ ゲッツェとフュルクルク投入

ドイツはカイ・ハバーツ選手に替えてフォワードのニクラス・フュルクルク選手が、ジャマル・ムシアラ選手に替えてミッドフィルダーのマリオ・ゲッツェ選手が入りました。

※GOAL※【後半38分】浅野が勝ち越しゴール!日本2-1ドイツ

日本は板倉選手からのロングパスを、ドイツのペナルティーエリアのすぐ外で受けた浅野選手が右サイドからそのままゴール前に持ち込みました。浅野選手はディフェンダーのシュロッターベック選手と競り合う中、右足でシュートを決め、日本が2対1とリードしました。

【後半45分】18歳今回のドイツ代表メンバーで最年少ムココを投入

ドイツはセルジュ・ニャブリ選手に替えてフォワードのユスファ・ムココ選手を入れました。ムココ選手は今回のドイツ代表のメンバーで最年少の18歳です。ドイツはこれで5人目の選手交代です。

【後半アディショナルタイム】

後半のアディショナルタイムは7分です。日本のシュートは後半だけで10本を記録しています。

【後半アディショナルタイム】ドイツがFK獲得 GKノイアー前線へ

アディショナルタイムに入ってから6分が経過。ドイツが右サイドでフリーキックを獲得。ゴールキーパーのノイアー選手が日本のペナルティーエリア付近まで上がりました。ノイアー選手はゴール前に上がったボールに向かってヘディングを試みましたが、合わせることはできませんでした。
ドイツはこのあとの左サイドからのコーナーキックも権田選手のパンチングで阻まれました。

【試合終了】日本 2-1 ドイツ 日本がドイツに勝つのは初

日本は、2対1でドイツに逆転勝ちました。日本は0対1とリードされた後半に途中出場した堂安選手と浅野選手がゴールを決め逆転して勝利し、勝ち点3をあげました。

過去に日本はこれまでドイツと強化試合で2回対戦し1敗1引き分けで、日本がドイツに勝利したのはこれが初めてです。

《選手・監督談話》

【森保監督】
「選手たちがチームで一丸となっていい準備をして粘り強く戦ったことで勝利につながった。ドーハに多くのサポーターがかけつけてくれて後押しをしてくれた。一喜一憂せずきょう終わったことを反省して次の試合の勝利に向けて戦いたい」と話しました。

【後半途中出場し決勝ゴール 浅野拓磨】
「自分がピッチに立てば100%プレーする。それだけを意識していた。チャンスがあればシュートを打つというのはずっと決めていた。それが最後の結果につながったかなと思う。みんなで勝ち取ったゴール、そして勝利だ」と振り返りました。そして、次のコスタリカ戦に向けて「きょうは全員で勝ち点3をしっかり喜んで、もうあしたから切り替えて次のゲームに向けて準備していきたい」と意気込みを話しました。
【後半途中出場し同点ゴール 堂安律】
「俺が決める、俺しかいないという強い気持ちでピッチに入った。これで一喜一憂せず、強い気持ちで一丸となって戦いたい」と話しました。

【キャプテン 吉田麻也】
「きのう、サウジアラビアが1点のビハインドから逆転したので『自分たちも』という気持ちで戦った」としたうえで「まだ1勝しただけ。次が大事なのでしっかり準備をしたい」と次を見据えました。

【「ブラボーブラボーブラボー」 長友佑都】
開口一番「ブラボーブラボーブラボー」と声をあげて喜びをあらわにしました。後半の展開について「出ている時も出ていない時も常に一緒に戦っていたし、ベンチも含めてみんな心が1つになったから勝てた。たくさんの人が応援してくれた。歴史的瞬間だ」と話しました。

【大会直前の脳しんとうから復帰 遠藤 航】
ドイツ代表を破ったことについては「この試合に懸けていた。あとのことを考えず、この試合で勝ち点3をとりたいと思っていたので非常にうれしい。後半はファイブバック気味にすることによって、うしろはマンツーマンで守ることができたし、前のプレスもしっかりはまったと思う。システムを変えても臨機応変にやれる僕らの良さを証明できた」と喜びをかみしめていました。

【右サイドで先発 伊東 純也】
「前半は守備の形がうまくはまらず、難しい試合になったが、後半からアグレッシブに前からプレッシャーをかけて、そこからチャンスが生まれて逆転できた。自分として良くない点が多かったので、次はもっといいプレーができるよう頑張りたい。初戦をとったのは大きいがこれからが大事だと思う」と気を引き締めていました。

【途中出場から同点ゴールにつながるプレー 三笘 薫】
「まだコンディションは100ではないが、次の試合に向けてあげていきたい。得点も狙っていきたいがチームために自分のできることをやっていきたい」と話していました。

【右サイドで粘り強い守り 酒井宏樹】
「26人で勝ち取った」としたうえで後半の修正について「相手の攻撃のしかたが特殊だったので、人と人をみるように役割を発揮した。目の前の相手に1人1人が勝つだけだったので優位に立てた」と話しました。また自身のプレーについて「ディフェンダーとして1失点は修正しないといけない。2点とった攻撃陣に感謝したい」話しました。

【21歳 先発メンバーでは最年少 久保建英】
まず「信じられない」とドイツに勝った試合をひと言で振り返りました。そのうえで「行けると思った時に失点してきつかったが、後半からチームとして一丸となって戦えた。ドイツやワールドカップの圧力あったが1点で耐えてよかった。歴史的瞬間だと思う」と話していました。

ドイツ代表監督「効率的に得点できずミスをしてしまったのかも」

日本に敗れた試合について「われわれにとって非常に残念な結果だ。ボール支配率が高かったにもかかわらず、得点の機会を逃した。効率的に得点できずミスをしてしまったのかもしれない」と振り返りました。また、試合前に選手たちがグラウンド上で手で口をふさいで映った集合写真を撮ったことについては「FIFAが発言しないので、われわれはメッセージを送りたいと思った」と説明しました。

さらに差別反対を訴えるためのキャプテンマークの着用を巡る動きなど、試合以外の問題が結果に影響したのか問われると「そうは思っていない。試合の前にも、日本のチームは非常に強く、すばらしい選手がいて、戦略的だと言った。彼らは強さを発揮した。それを言い訳にするつもりはない」と話していました。

日本にとって縁の深い相手に見事な逆転勝利

「日本サッカーの父」と呼ばれたドイツ人のデットマール・クラマーさんは1964年の東京オリンピックで初めての外国人コーチとして基礎的な技術を徹底して指導し、日本を代表するストライカー、釜本邦茂さんなどを育てたほか「リーグ戦の創設」など、強化に向けた提言も行い、日本サッカーリーグの発足につなげました。そして、クラマーさんが指導した選手たちが1968年のメキシコオリンピックで躍動し、銅メダルを獲得。日本サッカーの強化の基盤を作りました。
その後もドイツから多くの指導者が来日して日本サッカーの発展に力を注ぎ森保監督は22日に行われた公式会見の中で「クラマーさんをはじめ、すばらしい指導者がドイツから日本に来て日本サッカーの発展に大きな貢献をしてくれた。皆さんに感謝したい」と話しました。そして「日本にとってドイツは常に目標とし、手本となる存在だった。ドイツのことを学びながら日本の良さを持って世界に追いつけ、追い越せでやっている」と尊敬にとどまるのではなく肩を並べる強さまで日本を押し上げようという意気込みを述べていました。

今回の日本代表のメンバー26人のうち、ドイツ1部リーグに7人、2部に1人の合わせて8人がドイツの国内リーグに所属していて各国のリーグの在籍人数で比較するともっとも多い数です。

今シーズン13試合で7ゴール、3アシストをマークする大活躍を見せている司令塔の鎌田大地選手や2シーズン続けて1対1での局面「デュエル」の勝利数が最多だったボランチの遠藤航選手などドイツ1部でも目立った結果を残す選手も増えてきています。ドイツ代表のハンジ・フリック監督も鎌田選手と遠藤選手の名前を挙げて「それぞれの選手が技術と戦略の面でよく訓練されている」と警戒していました。

ドイツの背中を追いかけてきた日本、世界屈指の強豪を相手に培ってきた力を宣言どおりに示した歴史的な勝利となりました。

愛知では競馬場でPV=パブリックビューイング

夜遅くの試合にもかかわらず、愛知県弥富市の名古屋競馬場には日本代表を応援しようと100人を超える人たちが訪れました。
ふだんパドックの馬の様子などを映し出す大型のビジョンで試合が放送され、後半から出場した堂安律選手が同点ゴールを決めると、会場にいた人たちはみな立ち上がっていました。

さらに三重県菰野町出身の浅野拓磨選手が逆転ゴールを決めた瞬間、盛り上がりは最高潮に達し、ファン同士がハイタッチを交わすなど喜びを分かち合っていました。

三重県出身で中京大学のサッカー部に所属する20歳の学生は「浅野選手は同じ三重県の出身なので親近感が沸きますし、ゴールを決めてくれて本当にうれしいし誇りです。ドイツに勝ったのは大きいですが決勝トーナメントが決まったわけではないので、次も頑張ってほしい」と興奮した様子で話していました。

同じく中京大学のサッカー部でJ3のチームへの入団が決まっている22歳の大学生は「勝ったことが信じられないくらいうれしいです。興奮しています。決勝トーナメントに進出してほしいし自分もそういう舞台に立てるようになりたいです」と話していました。

試合終了直後 渋谷駅前には「DJポリス」なども出動し警戒に

東京・渋谷駅前では、日本が勝利を決めた直後の午前0時ごろ、付近の飲食店などで観戦していたサポーターたちがスクランブル交差点周辺に集まり出して激しく混み合い、警視庁が警戒に当たりました。
中には、走って道路に飛び出したり、交差点の中心に集まって大声を出したりするサポーターもいたため、警視庁の機動隊員や「DJポリス」が危険な行為はやめるよう呼びかけていました。

午前1時過ぎには混雑もなくなり、機動隊の部隊配置も解除されました。警視庁によりますと、大きなトラブルなどはなかったということです。

地元カタールのメディアも速報

英字紙「ザ・ペニンスラ」は日本の勝利について、隣国のサウジアラビアが22日優勝候補のアルゼンチンに勝利したことを受け「今大会2度目の大番狂わせだ」と驚きを持って伝えています。そのうえで「試合の大部分をドイツが握っていたが、終盤になって日本が最高のプレーをした。ドイツに勝ち、アジアの巨人が見事に復活した」と伝え、日本の活躍ぶりを評価していました。

ドイツメディア「ドイツ代表の大失敗」

ドイツのメディアは、ドイツが日本に敗れたことについて「ドイツ代表の大失敗」などと大きく伝えています。
このうちスポーツ専門誌の「スポーツビルト」は、23日の電子版に「ドイツ代表大失敗のスタート」というタイトルの試合の記事と、頭を抱える代表選手の写真を掲載し「信じられない。ドイツ代表の大失敗は、1次リーグで敗退した前回大会を思い起こさせる」などと、厳しいトーンで伝えています。

また、ドイツの公共放送ZDFは、23日「ドイツにとって、まずいスタート」というタイトルで、ドイツが日本に敗れたことを伝え、このなかで「ドイツ代表は日本代表を圧倒したものの多くのチャンスを逃した。前回大会の初戦でメキシコに1対0で敗れたように恥をさらした」と指摘しています。

スペインメディア “大きな驚き”

1次リーグで日本と同じグループに属し、来月1日に日本と対戦するスペインでも、地元メディアは日本の勝利を大きな驚きとともに伝えています。

大手スポーツ紙「マルカ」の英語版は、23日「日本がドイツを驚かせた。ワールドカップでのもう一つのサプライズ」と見出しをつけ、前日にサウジアラビアがアルゼンチンに勝利したことを引き合いに出し「優勝候補の一角のドイツが初戦で日本に敗れた」と試合結果を大きく伝えています。

また、スペインの全国紙「ABC」は、23日の電子版の記事で、試合の終盤に、いずれも途中出場だった堂安選手と浅野選手が得点を決めたことについて「日本は、袖の中にカードを隠し持つマジシャンのようだった。スピードと本能、信念の一撃でドイツの守りを破った」と伝えています。

ドイツでは“まさかの敗戦”に落胆の声

ドイツの首都ベルリン中心部にあるスポーツバーでは、23日、およそ50人のサッカーファンがドイツ代表と日本代表の試合を見守りました。前半、ドイツ代表が先制した場面では、大きな歓声が上がり多くの人が喜んでいました。

しかし後半になって同点に追いつかれると店の中は静まりかえり、さらに逆転されると、頭を抱えて悔しがる人もいました。

会場の人たちは試合終了までドイツ代表に「前へ、前へ」とか「がんばれ、がんばれ」と必死の声援を送りましたが、追いつくことが出来ず、多くの人は落胆や驚きの表情を浮かべ店をあとにしていました。試合を見た人は「本当に残念です。ドイツが2対0で勝つはずでした」とか、「日本はラッキーで勝っただけです」などと話していました。

一方で「ドイツ代表は多くのチャンスを逃しましたが日本はチャンスをものにしました。日本のゴールキーパーはよかったですし、ドイツ一部リーグのフランクフルトでプレーする鎌田選手もすばらしかったです」と日本代表のプレーをたたえる人もいました。

岸田首相「予選突破という大きな目標に前進を」

岸田総理大臣は24日朝、総理大臣官邸で記者団に対し「私もテレビで観戦したが、すばらしい勝利だった。日本中が大いにわいたのではないか。ぜひ次のコスタリカ戦に向けて弾みをつけ、予選突破という大きな目標に前進してほしい。チーム力、個々の力、さらには監督の采配、そうしたものが発揮された、すばらしい試合だ」と述べました。

日本 得失点差で2位 決勝トーナメント進出は

サッカーワールドカップカタール大会、グループEの日本はスペインとともに1次リーグの初戦に勝利し勝ち点3を挙げました。

ただ、スペインはコスタリカとの初戦で7対0で快勝したため日本は得失点差で2位決勝トーナメント進出となっています。

日本は2戦目となる27日のコスタリカ戦に勝って、その後スペインがドイツに勝つか引き分けると、3戦目を待たずにグループEの2位以内が確定し、2大会連続の決勝トーナメント進出が決まります。