COP27閉幕 “画期的合意” 被害の途上国支援の基金創設へ

エジプトで開かれていた気候変動対策の国連の会議、「COP27」は気候変動による被害を受ける途上国を支援するため、新たな基金を創設するとした成果文書を採択して20日、閉幕しました。国連の枠組みで各国が協調して被害への資金支援に取り組むことで合意するのは初めてです。

今月6日から開かれていた「COP27」は2週間にわたる交渉を経て会期を延長し、現地時間の20日、成果文書を採択して閉幕しました。

それによりますと最大の焦点となっていた気候変動による被害「損失と損害」に特化した資金支援について、特にぜい弱な途上国などを対象に新たな基金を創設することを決めました。

そのうえで、具体的な内容は来年のCOP28で検討するとしていて、▽国際金融機関や民間など幅広い資金源を活用することや▽既存の支援と連携し、補完することを目指すとしています。

基金の創設は、干ばつや洪水などの被害を受けてきた途上国側が長年求めてきたもので、さらなる経済的な負担を懸念して慎重な姿勢を続けてきた先進国側が歩み寄った形となりました。

国連の枠組みで各国が協調して被害への資金支援に取り組むことで合意するのは初めてで、「画期的な合意」と評価する声も出ています。

また、成果文書には世界の平均気温の上昇を1.5度までに抑える努力を追求するとした去年のCOP26の合意の内容が改めて盛り込まれ、その重要性を強調しました。

さらに各国が温室効果ガスの排出量を削減する努力を高めることが緊急に欠かせないとして、必要に応じて2030年までの削減目標を再検討し強化するとしていて、深刻さを増す気候変動への対策に各国が一致して取り組むことを求めています。

ロシアによるウクライナ侵攻で国際社会の分断が深まる中、気候変動という地球規模の課題に対しては各国は協調していく姿勢を示したことになります。