日中首脳会談 関係改善へ緊密な意思疎通で一致も 具体化が課題

岸田総理大臣は17日夜、中国の習近平国家主席と対面ではおよそ3年ぶりとなる日中首脳会談を行い、日中関係の発展に向けて、首脳間も含めあらゆるレベルで緊密に意思疎通することで一致しました。
尖閣諸島をめぐる問題などの懸案が残る中、今後、関係改善を具体的に進められるかが課題となります。

岸田総理大臣は17日夜、訪問先のタイで中国の習近平国家主席とおよそ40分間、対面ではおよそ3年ぶりとなる日中首脳会談を行いました。

この中で、沖縄県の尖閣諸島を含む東シナ海情勢に加え、ことし8月に、中国が日本のEEZ=排他的経済水域を含む日本の近海に弾道ミサイルを発射したことなど日本周辺の軍事的活動に深刻な懸念を伝えるとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調しました。
一方で、そうした懸案があるなかでも率直な対話を重ねることが重要だと述べ、両首脳は日中関係の発展に向けて、首脳間も含めあらゆるレベルで緊密に意思疎通することで一致しました。

そして、閣僚間で対話を再開させるとして林外務大臣の中国訪問に向けて調整を進めていくことになりました。

このほか、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアによる核兵器の威嚇について核兵器を使用してはならず核戦争を行ってはならないという見解で一致しました。
岸田総理大臣は会談のあと記者団に対し「対面で話をすることが外交でいかに大事かを改めて感じている。『建設的かつ安定的な日中関係』を構築していく対話を進めていく良いスタートになった」と述べました。

一方、中国が尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返すなど多くの課題や懸案は残されたままで、今回の会談を契機に今後、関係改善を具体的に進められるかが課題となります。

東南アジア歴訪が続く岸田総理大臣は、18日はタイで開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に出席する予定です。

公明 山口代表「大きな一歩」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「3年ぶりに対面での会談が行われたこと自体、大きな一歩で、両国の関係を改善していくうえで重要な機会になった。それぞれの主張がぶつかり合うことも当然あるが、協力し合っていく課題もある。お互いに長い歴史関係を持ち、近接する位置にあるので、対話によって関係をコントロールしていく懸命な努力が重要だ。これから民間や政党間の交流にもぜひつなげていきたい」と述べました。

松野官房長官「習近平国家主席訪日のやり取りなし」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「きのう行われた日中首脳会談で習近平国家主席の訪日に関するやり取りはなかった」と述べました。

そのうえで「きのうの会談は『建設的かつ安定的な日中関係』を構築していくための対話を進めていくうえで、よいスタートとなった。首脳レベルを含めあらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていく」と述べました。