円安影響 日本で暮らす外国人 家族への送金が“減る”事態に

記録的な円安の影響で、日本で暮らす外国人が母国に現金を送金する際、これまでより金額が減ってしまう事態が生じています。母国で暮らす家族に1円でも多く仕送りをしたいという外国の人たちは、頭を抱えています。

大阪 ミナミで海外への送金サービスを行っている会社では、金額に応じた手数料を支払うことで、世界のほとんどの国に送金することができます。

25日の朝も送金を希望する客が訪れていて、このうち、ことし6月にパキスタンから留学で来日した24歳の男性は、母国の家族に10万円を送っていました。

しかし、記録的な円安の影響で、男性がパキスタンの通貨、ルピーで送金すると、家族が受け取れる金額が、これまでより減ってしまう事態が生じています。
▼9月末に送金した際は、1円当たり1.63ルピーほどでしたが、
円安が進み、
▼10月25日は、およそ1.45ルピーまで落ち込んだということです。

男性
「非常に低いレートです。食事代などもかかるので、上がってほしい」
毎月数万円ずつフィリピンの家族に送金している女性
「兄の妻の透析の費用を援助するため送金していますが、日本での暮らしもあるので、金額を増やすのは難しいです。円安はしかたないが、早く戻ってほしいです」
送金サービスの会社によりますと、円は、取り扱うほぼすべての通貨に対してレートが下がっていて、訪れる客の数は1年前と比べて2割から3割ほど減っているということです。

さらに、客の中には円安の影響で母国への帰国を考えていると話す人もいるということです。
送金サービス会社のナレンドラ・バスネットさん
「これまでで最もひどい円安の状況です。レートが上がるのを待つ人もいますが、仕送りなどで送らざるをえない人もいます。家計をサポートしている人にとっては、非常につらいですね、今の時期は」

発泡スチロール製品の会社“需要回復せず 販売価格だけ上がる”

急激な円安に加えて原油価格の高止まりの影響を受け、発泡スチロール製品をつくる大阪の中小企業からは、コロナの影響で需要が回復しない中、販売価格だけが上がる、今までにない状況だといった声があがっています。

大阪 中央区に本社を置く「トーホー工業」は、箱などの発泡スチロール製品を年間およそ1億個、製造しています。
発泡スチロールの原料は、石油からつくる直径およそ3ミリのビーズで、このビーズの仕入れ先は海外から原材料を購入しています。

このため急激な円安に加えて原油価格の高止まりの影響が出ていて、原料のビーズの仕入れ価格は、価格の上昇が始まった去年5月と比べて2倍になったということです。
トーホー工業 柴田貢会長
「原料そのものも、ガスも仕入れないといけない。それも為替の影響を全部受けています」

さらに、機械の燃料の重油や電気料金も値上がりしています。
発泡スチロール1箱当たりの現在の製造コストは去年1月と比べて50%増えたということで、これまでに1箱の販売価格を30%引き上げざるをえませんでした。
会社では、生産性を上げながら、外国人観光客の回復による新たな需要に活路を見いだしたいと考えています。

柴田会長
「コロナの影響で発泡スチロールの需要が回復しない中、販売価格だけが上がる、今までにない状況です。製造コストが膨らんでいて、販売価格を上げなければ、事業の継続は難しくなっています。国の経済政策そのものを変えないと、円安の状況は戻らないのではないかと思います」