ボージョレ・ヌーボー到着 2倍超の値段も!? その訳は

ワイン好きが心待ちにする時期がことしも近づいてきました。ただ、例年とは値段も量も異なるようです。

来月、販売が解禁されるフランス産のワインの新酒、ボージョレ・ヌーボーを積んだことし最初の航空便が19日朝、羽田空港に到着しました。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で輸送費が上昇しているうえ、円安の影響も重なり店頭価格は去年より大幅に値上がりする見通しです。

ことしもフランス ブルゴーニュから

ボージョレ・ヌーボーは、フランス・ブルゴーニュ地方のボージョレ地区でその年に収穫されたぶどうで造るワインの新酒で、ことしは来月17日に販売が解禁されます。

19日は、およそ3200本のボトルを積んだことし最初の航空便が羽田空港に到着し、税関の職員の検査を受けたあと、輸入元の会社に引き渡されました。
ことしのボージョレ・ヌーボー、例年と違うのが値段です。

輸入元のサントリーによりますと、ウクライナ侵攻の影響でロシア上空の空輸ルートが制限されて遠回りとなり輸送費が上昇しているうえ、円安の影響も重なり、これまでで最も高くなる見通しだということです。

気になる店頭価格は、サントリーでは、▽750ミリリットル入りでは税抜きで3500円と、去年よりおよそ1000円値上りする見通しに。

また、ワイン大手のメルシャンでも、赤ワインの場合、税込みで4310円と去年の2120円からおよそ2倍に値上がりする見通しです。
ボージョレ・ヌーボーは19日から順次、国内各地の空港に到着しますが、受注が伸び悩んでいることからこの会社の輸入量は去年のおよそ3割にとどまる見通しだとしています。

輸入元のサントリーの吉雄敬子ワインカンパニー社長は「太陽の恵みを感じられるような味わいが特徴です。価格は上昇するが、解禁日にぜひ家族や友人と楽しんでほしい」と話していました。

“手ごろな”ハーフボトルの入荷増やす

ボージョレ・ヌーボーの大幅な値上がりを受けて、ワイン販売店の中には購入費用を抑える客が増えると見込んで「ハーフボトル」の入荷を増やすところも出ています。

東京 渋谷区にあるワイン販売店ではおよそ2100種類のワインを取りそろえていて、例年、ボージョレ・ヌーボーも解禁に合わせて販売しています。

ことしは価格が1.4倍から2倍程度に値上がりし客の反応が読みづらいとして、店では販売する銘柄を去年の12種類から4種類に減らすことにしました。
また、購入費用を抑えるために手ごろなサイズを求める客が増えると見込んで例年、多く販売している750ミリリットル入りの入荷を減らし、375ミリリットル入りの「ハーフボトル」の本数を2倍に増やしたということです。

この店ではことし8月からオンラインでの予約を始めていますが、値上がりの影響もあって現時点では、去年より予約が少なくなっているということです。

販売店の堺健志郎ワインマネージャーは「手ごろな価格で気軽に楽しめるのがボージョレのいいところなので値上げは痛手で、残念です。ただ、品質は高いと生産者から聞いているので、楽しみにしているお客様にアピールしていきたい」と話していました。

瓶ではない“缶ヌーボー”も

茨城県ひたちなか市の酒の販売店では、今月初めからボージョレ・ヌーボーの購入の予約を受け付けていますが、例年よりも予約は少なくなっているということです。

このため、店では少しでも購入しやすいものを準備しようと缶に入った250ミリリットルの少量サイズのボージョレ・ヌーボーを取りそろえることにしています。

この店を運営している会社の渡辺豪成常務は「1年の中で一番ワインを買ってもらえる日がボージョレ・ヌーボーの解禁日ですが、ことしは状況が違うので少しでも楽しんでもらえるよう工夫しながら販売していきたい」と話していました。

“チャンス”ととらえる国産ワイナリー

茨城県牛久市にあるワイナリーではボージョレ・ヌーボーなどの値上がりで、今後、国産のワインへの関心が高まっていくのではないかと期待を寄せています。

牛久市でワイナリーを営む角井智行さんは、地元産のぶどうにこだわったワインづくりをしていてボージョレ・ヌーボーの販売が解禁される来月中旬にはことしの新酒を販売する予定です。
醸造場に併設している店舗では、11種類のワインを2000円から4000円程度の価格帯で販売していますがボージョレ・ヌーボーなどの値上がりで角井さんは今後、消費者の国産ワインへの関心が高まっていくのではないかと期待を寄せています。

ワイナリーの角井智行代表は「私たちのワインが相対的に手に取りやすくなっている。茨城のワインを知っていただくチャンスだと思っているので、家族や仲間たちとぜひ飲んでいただきたい」と話していました。