18歳・19歳の新成人 脱毛エステの相談が急増 国民生活センター

成人年齢が18歳に引き下げられて今月で半年です。若者の消費者被害の拡大が懸念される中、新たに成人となった18歳や19歳からの脱毛エステに関する相談が去年の同じ時期の7倍に急増していることが国民生活センターのまとめで分かりました。

ことし4月、成人年齢が引き下げられ、18歳になれば、親の同意がなくても契約ができるようになった一方、親などの同意を得ずに結んだ契約を原則、あとから取り消せる「未成年者取消権」は使えなくなりました。

若者の消費者被害の拡大が懸念されていましたが、国民生活センターによりますと、新たに成人となった18歳と19歳から全国の消費生活センターなどに寄せられた相談は、ことし4月から9月にかけて合わせて4218件で、去年の同じ時期に比べ急増はしていないということです。

ただ、内容別にみると「脱毛エステ」に関する相談が最も多く、合わせて541件と、去年の同じ時期に比べおよそ7倍に急増していて「広告に掲載されていた施術を希望したのに高額なプランを勧められ、契約してしまった」とか「体験のつもりが強引に契約を迫られた」などの相談が寄せられているということです。

国民生活センター相談情報部相談第2課の飯田周作課長補佐は、脱毛エステ相談の急増について「成人年齢の引き下げに加え、男性の利用が増えていることなどが背景にあると考えられる」と指摘したうえで「投資など『もうけ話』に関するトラブルの相談も多く、社会経験が不十分な若者は悪質な勧誘のターゲットになりやすい。契約には責任が伴うことを十分理解したうえで慎重に行ってほしい」と呼びかけています。

福岡市の大学では実際の相談もとにした啓発動画を制作

福岡市の大学では18歳や19歳からの契約をめぐるトラブルや詐欺被害の相談が増えているとして、学生たちとともに実際の相談内容をもとにした啓発動画の制作に取り組んでいます。

福岡市にある福岡大学のキャンパス内で無料で相談を受け付けている法律事務所によりますと、契約をめぐるトラブルや詐欺被害の相談件数は、4月から先月末までの半年間で11件と、すでに昨年度1年間の2倍以上に増え、18歳や19歳からの相談が目立つということです。

大学では、被害やトラブルの防止につなげようと、実際に相談があった例をもとに啓発用の動画の制作を進めています。

取り上げているのは脱毛エステの契約をめぐるトラブルやマルチ商法の勧誘などで、出演する学生を募ってやり取りを再現しているほか、注意すべき点について弁護士の解説を盛り込み、年内にも学生向けに公開する予定だということです。

制作に参加した19歳の女子学生は「社会経験がないぶん狙われやすい立場にあるので、いつ被害者になってもおかしくない。ひと事ではなく身近に起こることだと感じています」と話していました。

学生の相談に対応している西亜沙美弁護士は「18歳や19歳は高校を卒業して親元を離れ初めてアルバイトをする年齢層で、契約にどういうリスクがあるのかよくわからない状態だと思う。少しでもおかしいと思ったら周囲の人に相談してから契約を結ぶようにしてほしい」と話しています。