拉致被害者5人の帰国から20年 拉致問題解決を切望する思い強く

北朝鮮に拉致された被害者のうち5人が帰国して15日で20年です。この間、5人はそれぞれの道を歩み、拉致によって奪われた24年の歳月を取り戻してきましたが、ほかの被害者の帰国がいまだ実現していないことに危機感は募るばかりで、一日も早い解決を切望する思いはこれまで以上に強くなっています。

1978年に北朝鮮に拉致された蓮池薫さん・祐木子さん夫妻と、地村保志さん・富貴恵さん夫妻、それに曽我ひとみさんの5人は、北朝鮮が拉致を認めた20年前の日朝首脳会談のあと、2002年の10月15日に帰国を果たしました。

この間、5人はそれぞれの道を歩み、拉致によって奪われた24年の歳月を着実に取り戻してきましたが、政府が認定しているだけでも12人に上る、ほかの拉致被害者の帰国がいまだ実現していないことに強い危機感を抱いています。
このうち曽我ひとみさんは、一緒に拉致された母親・ミヨシさんの消息が分かっておらず、先月、講演を行った際には「ことしの冬は乗り越えられただろうか、ちゃんと食べられる環境にいるのだろうかと、胸が締めつけられる日々です」と焦る気持ちを明かしました。
蓮池薫さんは、新潟産業大学の准教授として教壇に立ちながら、今も各地を回って、安否が分かっていない被害者の早期帰国と世論の支援を訴え、福井県の小浜市役所を6年前に定年退職した地村保志さんも、解決への協力を求める署名活動を続けています。

拉致問題は最初の事件の発生から先月で45年がたち、横田めぐみさんの父親の滋さんなど被害者との再会を果たせずに亡くなる家族が相次ぐ中、帰国した5人の間では一日も早い解決を切望する思いがこれまで以上に強くなっています。