若田光一さん搭乗 民間宇宙船「クルードラゴン」打ち上げ成功

日本人宇宙飛行士の若田光一さんらが搭乗する民間の宇宙船は、日本時間の6日午前1時すぎにアメリカ・フロリダ州から打ち上げられ、およそ12分後に国際宇宙ステーションに向けた予定の軌道にのり打ち上げは成功しました。

●新しい動きから順に時系列でお伝えしています。

【日本時間6日01:15頃】「非常にスムーズな打ち上げでした」

若田さんは宇宙船がロケットから分離されたあと、日本時間の6日午前1時15分ごろ、NASAがインターネット配信している映像を通して日本語で意気込みなどを語り、「非常にスムーズな打ち上げでした。打ち上げを支援していただいたみなさん、応援に駆けつけてくれたみなさんありがとうございました。この調子で、チームワークをもってがんばります」と話していました。

【日本時間6日01:10すぎ】ロケットから分離、打ち上げ成功

若田さんらが搭乗する民間の宇宙船「クルードラゴン」の5号機は、日本時間の6日午前1時10分すぎにロケットから分離され、打ち上げは成功しました。

宇宙船「クルードラゴン」5号機は、打ち上げからおよそ29時間かけて、日本時間の7日午前6時前に国際宇宙ステーションに到着する予定です。

【日本時間6日01:00】ケネディ宇宙センターから打ち上げ

日本時間の6日午前1時、宇宙船を搭載した「ファルコン9」ロケットのエンジンが点火され、国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられました。

宇宙船は打ち上げからおよそ12分後にロケットから分離される予定で、打ち上げの成否が判明します。

【日本時間6日00:00頃】宇宙船のハッチ閉まる

若田さんら4人の宇宙飛行士が乗り組んだ民間の宇宙船「クルードラゴン」の5号機は、日本時間の6日午前1時の打ち上げに向けて、宇宙船のハッチが閉められました。

【日本時間5日22:00すぎ】宇宙船のハッチから船内に乗り込み

日本時間の5日午後10時過ぎ、ケネディ宇宙センターの発射台に車で到着した若田さんら4人の宇宙飛行士は、ロケットの先端に搭載されている宇宙船までエレベーターで移動しました。

そして、発射台の壁に記念のサインを書き、宇宙船のハッチから船内に入りました。

【日本時間5日22:00頃】発射台に向けて出発

若田さんは日本時間の5日午後10時前に宇宙服を着用して建物から姿を見せ、集まった関係者と言葉を交わし記念撮影に笑顔で応じました。

そして、同じ宇宙船に搭乗するアメリカやロシアの3人の宇宙飛行士とともに移動用の車に乗り込み、発射台に向けて出発しました。

このあと、若田さんとほかの3人の飛行士は宇宙船に乗り組み、通信機器の確認を行うなどして日本時間の6日午前1時の打ち上げまで船内で待機することになっています。

【日本時間5日21:00すぎ】「ぐっすり睡眠、体調ばっちり」

国際宇宙ステーションへの打ち上げをおよそ4時間後に控えた日本時間の5日午後9時過ぎ、若田さんは自身のツイッターを更新し、「昨晩はぐっすり睡眠が取れ、体調もばっちりです。間もなく宇宙服を着用し、打ち上げ発射台へと向かいます」と投稿しました。

ISSで月や火星の探査を見据えた実験行う計画

若田光一さんは今回の宇宙飛行でおよそ半年間、ISS=国際宇宙ステーションに滞在し、今後の月や火星の探査を見据えた実験などを行う計画です。

このうち、月や火星を探査する「探査車」の設計に生かす目的で行われるのが、車の潤滑剤などに使う液体の宇宙での動きを調べる実験です。

日本の実験棟「きぼう」に設置されている月や火星の重力を作り出せる装置を使ってデータを取得します。

また、宇宙ステーションなどの有人宇宙施設で火災が発生した場合に備えて、さまざまな材料が無重力状態でどのように燃えるのか調べる実験を行い、今後の宇宙探査に役立てる計画です。

このほか、若田さんはおよそ半年間の滞在期間中、宇宙飛行士の飲み水となる再生水の新たな管理法の開発や、「きぼう」のロボットアームで超小型衛星を宇宙空間に放出する任務などに取り組むことになっています。

日本人最多 5回目の宇宙飛行に臨む若田光一さん

日本人宇宙飛行士として最多となる5回目の宇宙飛行に臨む若田光一さんは現在のさいたま市出身の59歳。

九州大学大学院を修了したあと航空会社のエンジニアとして勤務し、1992年(平成4年)に宇宙飛行士に選ばれました。

1996年(平成8年)にスペースシャトルで初めての宇宙飛行を行い、4年後の2000年(平成12年)には2回目の宇宙飛行でロボットアームを操作して国際宇宙ステーションの建設作業に参加しました。

そして、2009年(平成21年)の3回目の宇宙飛行では、日本人として初めておよそ4か月半にわたり宇宙ステーションでの長期滞在を行いました。

2013年(平成25年)から翌年にかけての4回目の宇宙飛行では、ロシアの宇宙船「ソユーズ」に搭乗して宇宙に向かい、日本人で初めて宇宙ステーションの「船長」を務めました。

さらに、若田さんは国際宇宙ステーションに長期滞在する各国の宇宙飛行士を管理するNASA=アメリカ航空宇宙局の部門長を務めるなど、日本人宇宙飛行士の活動をリードしてきています。

若田さんとともに搭乗する3人の宇宙飛行士は

アメリカの民間宇宙船「クルードラゴン」5号機には、若田光一さんのほか、いずれも初めての宇宙飛行となるアメリカ人飛行士2人とロシア人飛行士1人が搭乗します。

このうち、宇宙船の船長を務めるニコール・マン宇宙飛行士(45)は、戦闘機のパイロットから2013年にNASAの宇宙飛行士に選ばれ、アメリカ先住民の女性として初めての宇宙飛行に臨みます。

ジョシュ・カサダ宇宙飛行士(49)は、アメリカ海軍のテストパイロットとして、4000時間以上の飛行経験があり、2013年にNASAの宇宙飛行士に選ばれました。

アンナ・キキナ宇宙飛行士(38)は、2012年にロシアの宇宙飛行士に選ばれ、ロシア人として初めてアメリカの民間宇宙船「クルードラゴン」に搭乗します。

ロシア人宇宙飛行士も搭乗 宇宙開発の国際協力 今後は

若田光一さんが搭乗するアメリカの民間宇宙船の今回の打ち上げでは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、これまで国際協力で進められてきた宇宙開発の今後のあり方にも注目が集まっています。

ウクライナへの軍事侵攻は国際協力で進められてきた宇宙開発にも影響を与えていて、ロシアはことし7月、具体的な時期は未定としながらも、国際宇宙ステーション計画から離脱する意向を示しています。

こうした中で打ち上げられるアメリカの民間宇宙船「クルードラゴン」5号機には、初めてロシア人の宇宙飛行士が搭乗し、若田さんやアメリカ人飛行士2人とともに宇宙ステーションに向かいます。

9月29日の記者会見で若田さんは現在の国際情勢について、「さまざまな状況があることは理解しているが、世界各国の協力の維持は有人宇宙活動の発展のために不可欠であり、その中で私たち宇宙飛行士ができることは協力して運用し、成果をきちんと出していくことに尽きる」と述べています。

一方で、若田さんが今回の長期滞在中に行う任務のなかには、アメリカを中心に進められる今後の月や火星の探査を見据えた実験などが含まれていて、新たな国際協力の枠組みによる宇宙探査計画にも注目が集まっています。