元自衛隊員の女性への複数セクハラ確認 防衛省が謝罪 処分へ

防衛省は、所属していた陸上自衛隊の部隊で体を触られるなどの被害にあったと訴えている元隊員の女性について、複数のセクハラ行為が確認できたとして謝罪しました。今後、関係者の処分を行うとしています。

元陸上自衛官の五ノ井里奈さん(23)は、ことし6月まで所属していた福島県内の部隊でセクハラの被害を受けたとして、8月、防衛省に調査と関係者の処分などを求めました。

防衛省がおよそ100人に聞き取りを行った結果、複数のセクハラ行為が確認できたことを29日、明らかにしました。
それによりますと、部隊では、公然の場での性的な発言や体の接触などが日常的に行われ、複数の女性隊員がセクハラの被害を受けていたということです。

五ノ井さんに対しては、おととし秋から去年8月にかけて、訓練などの際に隊員が体を触ったり押し倒したりするなどの行為があったとしたうえで、被害の訴えを聞いた中隊長が上司に報告しなかったとしています。

防衛省は調査をさらに進めたうえで、関係者を処分するとしています。
陸上自衛隊トップの吉田圭秀陸上幕僚長は「長く苦痛を受けられている五ノ井さんに対し、陸上自衛隊を代表して深く謝罪申し上げます。ハラスメントは許されない行為であるとの認識のもと、根絶を図ります」と陳謝しました。

防衛省は、ハラスメントの実態を調べるためすべての組織を対象に特別防衛監察を進めていて、対策を行うことにしています。

五ノ井さん「根本的に改善してほしい」

五ノ井さんは29日夕方、都内で防衛省人事教育局の町田一仁局長らと面会し、調査結果について報告を受けました。

この中で町田局長は「防衛省として長く苦痛を受けられた五ノ井さまに対し、深く謝罪を申し上げます。大変申し訳ありませんでした」と陳謝しました。

これに対し五ノ井さんは、「今こうやって認められたというのは本当に遅いと思っています。防衛省の方の謝罪はもちろんですが、セクハラをした人たちも直接謝罪してほしい」と述べました。

そのうえで、「私のような被害を受ける人は今後出てほしくないが、出た場合には組織をあげて必ず解決するという気持ちを持って対応してほしい。幹部にも教育をしっかりして、このようなことが二度とないよう根本的に改善してほしい」と述べ、再発防止に向けた対策などを強く求めました。