NASA “地球を防衛” 小惑星に探査機をぶつける初めての実験

小惑星が地球に衝突するのを未然に防ぐ技術を開発しようと、NASA=アメリカ航空宇宙局は26日、地球から遠く離れた小惑星に探査機をぶつける初めての実験を行いました。NASAは今後、小惑星の軌道が変わったか分析することにしています。

「DART」と名付けられた実験は、去年11月に打ち上げられた重さおよそ570キロの探査機を、地球からおよそ1100万キロ離れたところにある小惑星に衝突させ、その衝撃で軌道が変化するか確かめる初めての試みです。

NASAは26日、計画どおり、探査機がターゲットとなる直径160メートルほどの小惑星「ディモルフォス」に時速およそ2万2000キロで衝突したと発表しました。

探査機のカメラから送られてきた画像には、小惑星の姿が徐々に大きくなる様子や、衝突の直前のゴツゴツとした小惑星の表面の様子が捉えられていました。

ターゲットとなった小惑星が実際に地球に衝突するおそれはなく、研究チームは今後、小惑星の軌道がどう変わったか詳しい分析を行うことにしています。

NASAなどによりますと、今後100年以内に地球に大きな被害をもたらすおそれがあるとされる大きさの小惑星は、今のところ見つかっていないということですが、NASAは将来に向けて小惑星などの天体の衝突を未然に防ぐ技術の開発を目指しています。

実験に参加したジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所のラルフ・セメル所長は会見で「天体の衝突から地球を防衛するための革新的な技術を初めて実証することができた」と話していました。