台風14号 あすにかけ沖縄 奄美 18日は九州接近 暴風など警戒を

大型で非常に強い台風14号は勢力を維持したまま、17日にかけて沖縄・奄美に接近し、18日の日曜日には九州にかなり近づく見込みです。
気象庁は暴風や高波、土砂災害などに警戒するとともに、特に沖縄・奄美や九州、四国では雨や風が強まる前に備えを終えるよう呼びかけています。
3連休の期間を中心に東日本と北日本を含む広い範囲に影響が出るおそれがあり、そのほかの地域でも早めの備えを進めてください。

台風は沖縄・奄美接近後 18日には九州接近へ

気象庁によりますと、大型で非常に強い台風14号は、午後10時には沖縄県の南大東島の東、350キロの海上を1時間に15キロの速さで北西へ進んでいるとみられます。

▽中心の気圧は925ヘクトパスカル、
▽中心付近の最大風速は50メートル、
▽最大瞬間風速は70メートルで
中心から半径185キロ以内では風速25メートル以上の暴風が吹いています。

台風は、このあとさらに発達しながら北上し、
非常に強い勢力を保ったまま、
▽17日には沖縄県の大東島地方や鹿児島県の奄美地方に近づき、
▽18日には九州にかなり近づく見込みです。

その後、来週20日の火曜日ごろにかけて東日本や北日本に進み、広い範囲で影響が出るおそれがあります。

沖縄・奄美で猛烈な風海上は猛烈なしけも

沖縄県と奄美地方では次第に風が強まっていて、沖縄県では17日の明け方から、奄美地方と九州南部では17日朝からは猛烈な風が吹く見込みです。

17日にかけての最大風速は
▽奄美地方と九州南部で30メートル
▽沖縄県で25メートル、最大瞬間風速は▽奄美地方と九州南部で45メートル
▽沖縄県で35メートルに達すると予想されています。

18日の日曜日にはさらに風が強まり、最大瞬間風速は
▽九州南部、奄美地方で55メートルから70メートル
▽九州北部で40メートルから60メートル
▽四国で35メートルから45メートル
▽沖縄県と中国地方、それに近畿で25メートルから35メートルと予想されています。

台風14号は強風域の半径が500キロを超える「大型」で、中心から離れた場所でも風が強まるおそれがあります。

九州南部と沖縄・奄美の海上は波が高くなり、17日は九州南部では12メートル、沖縄・奄美では10メートルの猛烈なしけが予想されています。

また、九州北部や中国地方、それに四国では、18日ごろから潮位が高くなり、警報級の高潮となるところもある見込みで、海岸や河口付近の低地では高潮や高波が重なり合って浸水するおそれがあります。

台風接近前から大雨に

台風周辺の湿った空気が流れ込むため、西日本の太平洋側では接近前から雨が強まる見込みです。

特に九州南部では16日夜以降、大気の状態が非常に不安定になり、局地的に雷を伴って非常に激しい雨が降り大雨になるおそれがあります。

17日夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで
▽九州南部と東海で200ミリ
▽沖縄県で180ミリ
▽奄美地方と四国、近畿で150ミリと予想されています。

その後も台風の接近に伴って西日本を中心に広い範囲で雨量が増え、九州南部では平年の9月1か月分を上回る記録的な大雨となるおそれがあります。

18日夕方までの24時間にいずれも多いところで
▽九州南部では400ミリから600ミリ
▽九州北部で300ミリから400ミリ
▽奄美地方と四国、近畿、東海で200ミリから300ミリ
▽関東甲信で100ミリから200ミリと予想されています。

気象庁は西日本や沖縄・奄美を中心に暴風や高波、高潮のほか、大雨による土砂災害、低い土地の浸水、川の増水に警戒するよう呼びかけています。

3連休の交通機関などに影響のおそれも

台風の接近が3連休の期間と重なるなか、広い範囲で暴風や大雨となり、交通機関などに影響が出るおそれもあります。

台風が接近する地域では不要不急の外出はなるべく控え、どうしても出かける場合には余裕を持って安全な場所に移動できるよう、スケジュールの見直しも視野に最新の気象情報を確認することが大切です。

雨や風が強まる前に
▽物が飛ばされないように建物の中に入れたり、
▽ハザードマップで身の回りの災害のリスクや避難場所を確認したりするほか
▽側溝や排水溝を掃除、
▽土のうや水のうを用意するなど早めの対策を進めるようにしてください。

政府 午後3時に情報連絡室を設置

台風14号の接近に伴い、政府は午後3時に総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置して、情報収集と警戒にあたっています。

関係省庁が会議 自治体の避難の判断の支援など確認

台風14号の接近に伴って広い範囲で大雨や暴風となるおそれがあることから、政府は関係省庁による会議を開き自治体の避難の判断の支援など緊密に連携する方針を確認しました。

内閣府で開かれた会合では、気象庁の担当者が今後の見通しについて、台風14号は非常に強い勢力を維持したまま、17日に大東島地方や奄美地方、九州南部に接近し、その後、進路を東寄りに変えて日本列島を縦断すると見込まれ、大雨などが19日にかけて続くおそれがあることから土砂災害や低い土地の浸水などに警戒が必要だと説明しました。

続いて警察庁と消防庁、それに防衛省と海上保安庁が災害が発生した場合に速やかにな救助にむかえるよう態勢の確認をしたことなどを報告しました。

会議の中で谷防災担当大臣は「あすから3連休を迎えるが、台風の影響は広い範囲で続くことが予想されています。国民の皆さんは台風が接近した場合には、不要不急の外出を控えて海岸や河川、用水路、土砂崩れのおそれのあるなど危険な場所には絶対に近づかず、最新の気象情報や自治体からの避難情報に注意し早め早めの安全確保をお願いします」と呼びかけました。

気象庁「非常に危険な台風」

台風14号の見通しや警戒点について気象庁は「大型で非常に強い勢力を維持したまま沖縄・奄美や九州などに近づく見込みで、非常に危険な台風だ」として暴風や高波、大雨による土砂災害や川の氾濫などに警戒が必要だと説明しました。

沖縄・奄美や九州、四国では16日の明るいうちに台風への備えを終えるほか、3連休の時期と重なるため、台風が近づく地域では最新の情報を確認し、不要不急の外出は控えたり余裕を持った行動を心がけたりするよう呼びかけました。

気象庁予報課の岸本賢司主任予報官は16日午前11時から台風14号の見通しや防災上の警戒点について述べました。

このなかで岸本主任予報官は「台風は大型で非常に強い勢力を維持したまま、18日には九州に接近する見通しだ。九州や沖縄では猛烈な風が吹くほか、九州南部や四国の太平洋側を中心に大雨も予想されるなど非常に危険な台風だ。暴風や高波、土砂災害、川の氾濫、高潮などに警戒が必要だ」と説明しました。

また「台風は大型のため、離れた地域でも雨や風が強まり、影響が長引くおそれがある。非常に強い勢力で九州に近づき日本列島を縦断すると見込まれ、全国どこでも警戒すべき状況だ」と呼びかけました。

そのうえで岸本主任予報官は沖縄・奄美や九州、四国では16日の明るいうちに台風への備えを終えるほか、3連休の時期と重なるため、台風が近づく地域では最新の情報を確認し、不要不急の外出は控えたり余裕を持った行動を心がけたりするよう呼びかけました。

一方、国土交通省河川環境課の大野良徳流水管理室長は16日午前8時の時点で大雨が予想される九州南部や四国、中国地方の25のダムで容量を確保するための「事前放流」を行っていると説明しました。

そのうえで「事前放流している地域ではすでに大雨の可能性があると考えられるが、今後の雨の降り方などによって事前放流するダムが増える可能性もある。台風が近づいている状況なので地域のハザードマップを確認したり、雨に関する情報に注意したりするほか、川には近づかないようにしてほしい」と呼びかけました。

400ミリ~600ミリの雨とは…

台風14号では九州南部の多いところで17日の夜から18日の夜までの24時間の雨量が400ミリから600ミリに達すると予想されています。

わずか1日~数日でひと月の雨量を大きく超える記録的豪雨となるおそれがあり、災害の危険性が高まる可能性があります。

400ミリから600ミリの雨とは九州にとってどのような雨量なのか、過去の災害を参考に見てみます。

まずは土砂災害です。

おととし(2020年)9月の台風10号では宮崎県椎葉村で降り始めからの雨量が400ミリ近くにのぼり、崖崩れが発生して4人が死亡しました。

1997年には鹿児島県の出水市針原地区で400ミリ近い雨が降ったあとに大規模な土石流が発生し、21人が犠牲になりました。

また、おととし(2020年)7月の熊本の豪雨では、熊本県南部で24時間の雨量が多いところで500ミリを超え、球磨川が氾濫して広い範囲が浸水し、死者・行方不明者が69人にのぼりました。

24時間に400ミリから600ミリに達する雨は比較的雨が多い九州でも大規模な土砂災害や大きな河川の氾濫が起こるような危険な雨量です。

自治体のハザードマップなどで自宅周辺にどんな災害のリスクがあるか確認し、ふだんよりも強い危機感を持って雨や風が強まる前の安全なうちに避難が出来るよう備えを進めて下さい。

「全国ハザードマップ」も活用を

川の氾濫による洪水や、土砂災害のリスクについては「NHK全国ハザードマップ」も参考になります。

全国を見渡せるハザードマップとしては現状で最も多いおよそ6000の川の洪水リスクが確認できます。

パソコンやスマートフォンなどで確認しながら、早めの避難や対策に役立ててください。

ただし、色が塗られていない地域でもリスクはあります。

避難場所も含め、地元自治体のハザードマップなどと合わせてご確認ください。

鹿児島 日置 屋根補強作業の男性が転落 死亡

警察によりますと、16日午後5時前、鹿児島県日置市の石材店で、台風14号の接近に備えて屋根の補強作業を行っていた76歳の男性が転落しました。

男性は、病院に運ばれて手当てを受けましたが、およそ1時間後に死亡が確認されました。

警察によりますと、男性はこの石材店の経営者で、息子と2人で作業を行っていたところ、突然、屋根が抜け落ち、およそ5メートル下の地面に転落したということです。

各地で事前の対策進む

南大東島では暴風警報が発表された際、島内に2か所の避難所を設けます。
このうち、在所地区にある「多目的交流センター」では、けさから役場の職員が避難所の開設に向けて準備を進めていました。
この避難所では合わせて20世帯60人を受け入れることができるということで、家族で過ごせるように間仕切りが設置され、段ボールのベッドも用意されています。
また、新型コロナの感染対策として、受付で検温し熱があった場合は、専用の部屋に案内するということです。
役場の職員は「避難者が想定より多ければ間仕切りを増やすなどして対応していきたい」と話していました。

大分 日田 梨農家が収穫を前倒し

大分県日田市では、80軒余りの農家が梨の栽培をしていて、九州有数の産地として知られています。
梨農家でつくる「JAおおいた日田梨部会」は海外にも輸出される主力品種の「新高」を来週から収穫する予定でしたが、台風による強風で実が落ちたりこすれたりして傷がつき、出荷できなくなるおそれがあるため、収穫の前倒しを決めました。
このうち日田市友田地区にある判田淳平さんの梨園では、16日朝から家族3人で収穫作業に追われています。判田さんたちは、実が十分な大きさに育っているか丁寧に確かめながらカゴのなかに手際よく入れていました。
判田さんは「台風の予想進路を毎日見てできれば来ないでほしいと願っていますが、九州を直撃しそうな嫌なコースなので心配です。少しでも多く収穫しておきたいのであせっています」と話していました。

鹿児島 カンパチ養殖業者が備え

鹿児島県は養殖カンパチの生産量が日本一で、鹿児島湾では養殖が盛んに行われていますが、台風14号の接近に備えて対応に追われています。
このうち、南大隅町の沖合で20余りの生けすでカンパチなどを育てている大手の養殖業者は、午後から、生けすを浮かべるためのフロートのバルブを開けて空気を抜き、生けすごと次々に海中に沈めていました。
生けすは、海面からおよそ10メートルの深さまで沈み、高波で揺れて壊れるのを防ぐことができるということです。
カンパチの養殖業者、小浜水産グループの小濱洋志副社長は「波の影響を受けるのは海面から3、4メートルほどなので、海中に沈めれば生けすは揺れずにじっとしていることができます。台風が来るたびに不安になりますが、対策はしたのであとは祈るだけです」と話していました。

佐賀 漁船を陸に引き上げ

佐賀市の戸ヶ里漁港では台風14号の接近に備えて16日、漁業者およそ30人が漁船を陸に引き上げる作業を行いました。
作業は17日も行われ、地元の漁協によりますとこの地域では、小型のものも含めると100隻ほどを陸揚げする予定だということです。
陸揚げされたのはいずれも、今月から支柱を立てる作業が始まっているのりの養殖用の船だということです。
のり漁師の男性は「今月初めの台風はそれていったので、今回も直撃しなければ大丈夫だと思います」と話していました。

鹿児島 奄美大島 一部食料品が品薄に

鹿児島県の奄美大島では台風14号の影響で本土からのフェリーが欠航しているため、一部の食料品が品薄となっています。
このうち、奄美市名瀬にあるスーパーマーケットでは、16日午後、食料品を買い求める客が訪れていましたが、乳製品や卵、それに一部の野菜が品薄となっていて、牛乳は売り切れていました。
このうち卵は、島の業者から仕入れることができましたが、数が限られているため、1人2パックまでの販売に限定しているということです。
店によりますと、次の入荷は来週の月曜日の予定ですが、フェリーが運航できるかめどが立っておらず、できるかぎり島内の業者から調達したいとしています。
買い物に訪れた60代の男性は「居酒屋をやっているので牛乳と卵がないのが困ります」と話していました。
グリーンストア入舟店の奥田由美さんは「生鮮食品は入荷してもすぐに売り切れてしまう状態です。お店として在庫を確保できないのは心苦しく、早く元の状態に戻ってほしいです」と話していました。

宮崎 きゅうり農家がハウスを補強

宮崎市南方町で20年以上、きゅうりを栽培している福田和彦さん(54)は、強風が中に吹き込むと倒壊するおそれがあるため、ハウスを固定しているロープを締め直したりしていました。
福田さんは「農業用ハウスが飛んでしまって破損すると収入が落ち込み生活が大変になります。事前に準備しておかないといざという時に風が強くて作業できないので対策だけは前もってしておこうと思っています」と話していました。

沖縄 南大東島 漁港で備え

沖縄県南大東島の漁港では16日、台風14号の接近に備えて、漁船を陸に上げたりロープで固定したりする対策が取られていました。
地元の漁業者によりますと、立て続けに台風が接近し波が高い状態が続いている影響で、今月出漁できたのは2、3日しかないということです。
漁師の30代の男性は「僕たちの収入源は海に出ないと得られないので、こんなに頻繁に台風が来ると大変です」と話していました。

南大東島のJAも対策

南大東島のJAでは16日午後、風による被害を防ごうと、事務所の前にトラックを横付けする作業が行われました。
南大東島池之沢の「JAおきなわ南大東支店」ではクレーン付きの4トンのトラックが事務所の前に横付けされました。
台風の強い風や飛来物によって事務所のガラスが割れるのを防ぐための対策です。
また事務所のシャッターが壊れるのを防ぐため、鉄製の棒を立ててシャッターを固定する作業も行われていました。
「JAおきなわ南大東支店」の仲田裕二課長は、「被害が出ないように昔から建物の前にトラックを止める対策を行っている。できるだけ早く台風が抜けていってほしい」と話していました。