“留学生を鎖で拘束” 日本語学校の告示抹消 出入国在留管理庁

福岡市にある日本語学校について、外国人留学生を金属製の鎖で拘束するなど、人権を侵害する行為があったとして、出入国在留管理庁は、日本語学校として認める告示を抹消する処分を行いました。

処分を受けたのは、福岡市南区にある日本語学校「西日本国際教育学院」です。

出入国在留管理庁によりますと去年10月、この学校の職員室で、20代のベトナム人の男性留学生に対して、職員が金属製の鎖と南京錠を使い、ズボンのベルト同士を結ぶ形で数時間にわたって拘束し、その翌日も、複数の職員の監視のもとに置くなど、人権を侵害する行為が認められたということです。

当時、この留学生と学校側は、転校をめぐってトラブルになっていて、学校側は、入管庁の調査に対し、拘束した事実を認めたうえで「職員の判断でやった。悪ふざけだった」と説明しているということです。

入管庁は、事案の悪質性や重大性を踏まえ、日本語学校として認める告示を抹消する処分を行いました。こうした処分は、平成28年に「抹消」の基準を定めて以降、初めてだということです。

入管庁によりますと、この学校には現在、留学生およそ600人が在籍していますが、今回の処分で留学生の受け入れができなくなり、在校生は転校させるよう学校側に指導するとしています。

学校側「職員がやったことで学校が処分されることは不服」

一方、「西日本国際教育学院」の代理人の弁護士は「事実関係はそのとおりで、学校としても再発防止に努めている。一方、学校が組織として拘束を指示しておらず、職員がやったことで学校が処分されることは不服だ。近く処分の取り消しを求めて福岡地裁に申し立てたい」とコメントしています。

松野官房長官「適正な受け入れに努める」

松野官房長官は、午後の記者会見で「留学生に対する人権侵害行為は決してあってはならない。留学生の受け入れを行わせることが適当でない日本語教育機関があった場合には事実関係を確認したうえで、引き続き厳正に対処していく」と述べました。

一方で「外国人留学生の受け入れは公益性が高いと考えており、情報発信の強化や支援などに取り組んでいる。今後、関係省庁が連携し、適正な受け入れに努めていきたい」と述べました。