マグサイサイ賞に眼科医 服部匡志さん ベトナムで無償手術

アジアの平和や発展に尽くした個人や団体をたたえ、「アジアのノーベル賞」とも呼ばれるマグサイサイ賞に、ベトナムで長年、白内障などの手術を無償で行ってきた日本の眼科医、服部匡志さんが選ばれました。

マグサイサイ賞は毎年、アジアの平和や発展に尽くした個人や団体に贈られ、「アジアのノーベル賞」とも呼ばれています。

過去には、貧困や飢餓に苦しむ人たちの救済に生涯をささげたマザー・テレサや、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世などが受賞しています。

フィリピンの首都マニラにある財団は31日、ことしの受賞者4人を発表し、日本からはベトナムで白内障などの手術を無償で行ってきた眼科医で、「アジア失明予防の会」代表の服部匡志さん(58)が選ばれました。

服部さんは、ベトナムで貧しさから白内障などの治療が受けられず、失明する人たちを救おうと、私財も投じておよそ20年にわたって手術や治療を無償で行い、高度な手術ができる眼科医の育成にも力を尽くしてきました。

服部さんの取り組みで、これまでに治療を受けた患者は2万人以上に上るということです。

財団は、服部さんを「個人の社会的責任というものを最高の形で行動で示した専門家だ」とたたえています。

服部さんの活動は、2019年に「ベトナムのひかり」と題したNHKのテレビドラマにもなっています。

授賞式はことし11月にマニラで行われます。

服部さん「貧困からの脱出の手助けになれば」

服部匡志さんは、NHKのオンラインインタビューに応じ、受賞について「びっくりしました。こつこつとこの活動を続けてきたので、よく見つけてくださったと感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びを語りました。

これまでのベトナムでの医療活動について、服部さんは「“アホちゃうか”って、よう言われました。自分がしたいから続くのであって、人の目を気にしない、誰が何を言おうと僕はこれをやるんだという強い意志があったから、20年続けてこられたんだと思います」と振り返りました。

そのうえで、活動のやりがいについて「自分が手術をすることによって光を取り戻してもらう、その患者さんの笑顔が僕にとっては最高のハピネスで、それはなかなかお金で買えるものじゃない。目が見えるということは、その人だけでなく家族全体が変わっていく。それが貧困からの脱出の手助けになればと思っている」と述べました。

ベトナムで眼科医の育成にも力を入れてきた服部さんは、今後について「アジアの先生方が自由に出はいりして、研修を受けて帰っていけるような病院を作りたい」と抱負を述べました。