福島県双葉町 午前0時に一部の避難指示解除 約11年半ぶり

東京電力福島第一原子力発電所が立地し、すべての住民の避難が続いてきた福島県双葉町で、30日午前0時に帰還困難区域の一部の避難指示が解除されました。
本格的な帰還に向けた避難指示の解除は双葉町では初めてで、原発事故に伴って避難指示が出された自治体のなかでは最後になりました。

福島第一原発が立地する双葉町は、2011年の原発事故のあと町の全域に避難指示が出され、すべての住民の避難が続いてきました。

双葉町は、面積と事故前の居住人口ともに、全体の95%を放射線量が比較的高い帰還困難区域が占め、役場や中心市街地なども含まれていました。

このため町は、JR双葉駅周辺の市街地を含む帰還困難区域5.5平方キロメートルについて特定復興再生拠点区域として国の認定を受け、インフラ整備とともに除染が進められてきました。

そして30日午前0時に避難指示が解除され、およそ11年半ぶりに住民が居住できるようになりました。

本格的な帰還に向けた避難指示の解除は双葉町では初めてで、原発事故に伴って避難指示が出された12の自治体のなかでは最後になりました。

双葉町ではすでに先行して避難指示が解除されている一部の地域も含めて、住民が居住できるようになった地域には、先月末時点で町の人口の64%に相当する1449世帯3574人が住民登録しています。

ただ、避難の長期化で町に帰還する住民は一部にとどまるとみられ、今後どのように町の復興を進めていくかが課題となります。

双葉町ではふるさとの復興の前進を祝うイベント

このイベントは双葉町の住民などでつくる団体が企画し、JR双葉駅前の会場に住民や役場の担当者たちが集まりました。

そして震災と原発事故で亡くなった人を悼み、復興の願いを込めて並べられたおよそ2000本のキャンドルに火をともし、辺りは温かな光に包まれました。

このあと避難指示が解除された午前0時に合わせて、住民の代表がイベントのために用意された扉を開けて「ただいま」と言うと、会場に集まった大勢の人たちが「おかえり」と応え、ふるさとの復興の前進を祝いました。

イベントを企画した住民の1人でいわき市で避難を続ける福田一治さんは「避難指示の解除は目に見える町の第一歩だと思います。これからも町のためにというよりも、自分のために町を盛り上げていきたいと思っています」と話していました。

伊澤史朗町長は「町に戻る住民は少ないですが、ここが底辺でこれから毎日少しずつ住民が増えると確信しています。最後に住民が帰還する自治体だからこそできることもあると思うので、おもしろい町になると思います」と話していました。