美術や音楽などの賞 “審査員の77%余が男性 格差是正を”

表現活動の現場におけるジェンダーによる不平等を解消しようと活動する団体の調査で、過去10年間の美術や音楽などの分野における賞の審査員は、77%余りが男性で占められていたことが分かりました。
調査に関わった団体の識者は「いびつな構造」だとして、ジェンダーによる格差の是正を求めています。

調査は、芸術家や識者などによる団体が行ったもので、美術、文芸それに音楽や建築など9つの分野で、過去10年間に行われた国内の主要な賞の審査員は、77.1%で男性が占めていたことが分かりました。

また、大賞の受賞者についても65.8%が男性で占められていました。

分野別でみると、審査員では建築が86.2%、デザインが85.8%などとなり、大賞の受賞者では映画が84.2%、建築が82.4%などとなっています。

さらに、国内の62の芸術系の教育機関では昨年度、学長の93.5%が男性だったということです。
調査に関わった評論家の荻上チキさんは「教育を受けている女性が多いにもかかわらず、実際には男性が評価して男性が評価されるといういびつな構造が存在している。数字で可視化することで、こうした状況を退けることもできる」と話していました。

分野別のジェンダーバランス

9つの分野における国内の主な賞の審査員と大賞の受賞者の男性比率は以下のようになっています。

(並び順は審査員の男性比率が高い順)

分野別

1.建築
審査員が86.2%
受賞者が82.4%

2.デザイン
審査員が85.8%
受賞者が48.3%

3.音楽
審査員が85.5%
受賞者が58.5%

4.写真
審査員が79%
受賞者が69.3%

5.演劇
審査員が76%
受賞者が64%

6.映画
審査員が74.3%
受賞者が84.2%

7.文芸
審査員が71.3%
受賞者が66.3%

8.美術
審査員が71.2%
受賞者が75.9%

9.漫画
審査員が64.5%
受賞者が43.1%

※9分野の平均値※
審査員が77.1%
受賞者が65.8%