ジェンダー平等 日本は146か国中で116位 男女間に大きな格差

世界各国の男女間の平等について調べた調査で、日本は政治参加や経済の分野で依然として大きな格差があるとして、調査対象となった146か国中116位でした。

この「ジェンダーの格差に関する調査」は、政財界のリーダーが集まるダボス会議の主催者・世界経済フォーラムが毎年、「政治参加」、「経済」、「教育」、それに「医療へのアクセス」の4つの分野で、各国における男女間の格差を調べています。

最新の状況について調べた報告書が13日、発表され、調査対象の146か国のうち、ジェンダーの平等が最も達成できているとして▽1位になったのはアイスランドで、13年連続でした。

続いて▽2位がフィンランド、▽3位がノルウェーで、例年同様、北欧の国々が上位を占めました。

一方、日本は「教育」と「医療へのアクセス」では評価が高かったものの、「政治参加」と「経済」の分野で評価が極めて低く、116位でした。

日本は、衆議院議員や閣僚に女性が占める割合が低いほか、管理職など企業で意思決定を担う女性の割合も依然として低いと指摘されています。

また、報告書では、新型コロナウイルスの影響で保育施設や学校が閉鎖される中、育児の大部分を女性が負担したことや、女性の失業率が高止まりしたことなどが、ジェンダーの平等を妨げていると指摘しています。

世界経済フォーラムは、世界全体でジェンダーの平等を実現するにはまだ132年かかるとして、各国に取り組みを強化するよう求めています。

専門家「人材確保のうえでも重要」

コンサルティング大手、デロイトのシャロン・ソーン会長は「取締役会の顔ぶれは、従業員を代表するものだ。組織における男女平等は若い世代がキャリア選択の際に重視する価値観であり、取締役に多様性がないと見なされた組織は、今後、入社先として選ばれないだろう」と述べて、女性の取締役への登用を増やすことは人材確保のうえでも重要だと指摘しています。

さらに「経営層が多様になればより賢明な意思決定ができ、組織の利益に貢献する。また、イノベーションを促進し、より効果的なリスク管理や、顧客や従業員とのよりよい連携が可能になる」として企業経営へのメリットが大きいと強調しています。

欧米の女性取締役増やす動き 罰則の対象にも

「ジェンダーの平等」を目標に掲げるEU=ヨーロッパ連合は6月、域内の上場企業に対し、女性を一定以上の比率で取締役に登用するよう事実上、義務づけることで大筋合意しました。

基準を達成できなかった企業には理由や対策の報告が求められ、十分な説明ができない場合、罰則の対象になりうるということです。

また、ことし4月、イギリスの金融行為監督機構は、上場企業に対して、取締役の少なくとも40%を女性にするよう求める新たなルールを発表しました。

機構の報告書によりますと、おととし、ロンドン証券取引所に上場する主要350社の取締役に占める女性は34.3%で、比率をさらに引き上げるねらいです。

アメリカの証券取引所ナスダックもおととし12月、上場するおよそ3000社すべてに▽女性1人と▽黒人やヒスパニック、人種的・性的マイノリティーから1人の少なくとも合わせて2人を取締役に選任するよう義務づける方針を発表しています。

官房長官「政府全体で取り組んでいく」

松野官房長官は午後の記者会見で、「今回の結果は、わが国の現状が諸外国と比べて遅れを取っていることを示しており、謙虚に受け止める必要がある。先月決定した『女性版骨太の方針2022』に基づき、政府全体で女性の経済的自立や女性の登用目標の達成などに取り組んでいく」と述べました。

そのうえで、「政治分野では、ハラスメント防止の研修教材の活用や全国の議会の取り組みの見える化などを通じて、自主的な取り組みを後押ししていくほか、経済分野では、男女間の賃金格差に関する情報の開示の義務づけや女性のデジタル人材の育成などに取り組んでいく」と述べました。