auなどの通信障害【まとめ】“全面的な復旧判断は5日夕方に”

携帯大手のKDDIは、2日未明に発生したauの携帯電話などの大規模な通信障害について、発生から62時間以上がたった4日午後4時時点で全国でほぼ回復したと発表しました。
KDDIは4日午後8時から技術担当の専務がオンラインで記者会見を開き、全面的な復旧の判断は5日の夕方になるという見通しを示しました。

吉村専務 障害長引いた原因「何らかの原因で負荷減らず」

KDDIの技術担当の吉村和幸専務は、音声通話やデータ通信がほぼ回復したと発表するまでに62時間以上かかるなど、通信障害が長引いた原因について「当初はきのう行った復旧作業の結果、システムへの負荷が減ると見込んでいたが、何らかの原因で実際には負荷が減らず、調査を行っていた」と述べました。

そのうえで、吉村専務は、4日の午前中になってシステムの負荷の原因が明らかになったため、昼すぎに必要な措置をとったところ、負荷が下がり、音声通話やデータ通信がほぼ使える状況に回復したと説明しました。

吉村専務「全面的な復旧はあす夕方」

KDDIは技術担当の吉村和幸専務がオンラインで記者会見を開き「現時点において音声通話とデータ通信はほぼ復旧している。今後は個人、法人の利用者のサービスの利用状況を確認したうえで、最終的な復旧の判断としたい。めどは、あすの夕刻になる」と述べ、全面的な復旧は5日の夕方になるという見通しを示しました。

吉村専務「多大なご迷惑 深くおわび申し上げます」

KDDIは技術担当の吉村和幸専務がオンラインで記者会見を開き、2日未明から60時間以上にわたって大規模な通信障害が続いたことについて「全国のお客様において当社の通信サービスがご利用しづらい事象が発生していました。本日、音声通話、データ通信含め全国的にほぼ回復しました。お客様には長期にわたり、多大なご迷惑をおかけしていることを深くおわび申し上げます」と陳謝しました。

そのうえで「通信事業者として、平日の月曜日を含めて3日間というのはあってはならないことであり、お客様にご迷惑をかけたので、しっかりと振り返りを行い、二度とこのようなことを起こさないよう、会社全体で再発防止策の策定を進めていきたい」と述べました。

KDDI 音声通話含め全国でほぼ回復と発表

2日午前1時半すぎに発生したKDDIの大規模な通信障害では全国でauのほか、同じ回線を使っているUQモバイルと、povoの通話やデータ通信がつながりにくい状況になりました。auの回線を利用している事業者のサービスにも影響が出て、物流面など暮らしの広い範囲に影響が及びました。
会社では4日朝7時時点で全国的にデータ通信はおおむね回復したと発表し、さらに発生から62時間以上たった午後4時時点で音声通話を含めて全国でほぼ回復したと発表しました。全面的な復旧時間は改めて公表するとしています。KDDIでは今回の通信障害は最大で3915万の利用者に影響した可能性があるとしています。

総務省は電気通信事業法上の「重大な事故」に該当するとして、今後会社から正式な報告を受けたうえで行政指導など必要な対応を取るとしています。今回の通信障害では携帯電話の通話だけでなく、気温などを観測するアメダスや貨物列車の運行など幅広い分野に影響が広がっていて、KDDIにはデジタル化に不可欠なインフラの担い手として再発防止の徹底が求められます。

利用しづらい場合は?

大規模な通信障害が全国でほぼ回復したと発表したのに合わせてKDDIは、利用者に対して音声通話やデータ通信がなお利用しづらい場合には携帯電話やスマートフォンの電源をいったん切ったうえで再度、電源を入れてほしいと呼びかけています。

【通信障害復旧に向けた状況 4日午後6時時点】

会社側は「音声通話・データ通信含め全国的にほぼ回復している」としたうえで「現在ネットワーク試験の検証を行っており、本格再開時間は別途ご案内いたします」としています。

専門家「代替手段でWi-Fiやデータ通信の併用も重要」

情報通信に詳しい東京大学大学院の中尾彰宏教授は、今回の大規模な通信障害について「新型コロナウイルスによって社会活動の中で情報通信が一層活用されるようになっている。あらゆるものがネットワークにつながってライフラインとして機能し、人々の生活が大きく依存している分、影響も甚大だった」と分析しています。そしてこうした事態を防ぐ対策として「海外ではAIなどを使って通信障害を事前に検知する仕組みへの投資が始まっていて、日本でも検討していくべきだ」と指摘しています。
また中尾教授は基本的には事業者が通信基盤を整備することが前提で、利用者が対策を取るのは難しいとしたうえで「代替手段としてWi-Fiやデータ通信を併用することも重要だ。通信が遮断されてどうしても困るのであれば、お金はかかるものの複数の事業者の回線を使うことによってほかの通信手段を確保する方法もある。品質を踏まえて事業者を選択することも必要だ」としています。

<4日午後4時半ごろ>気象庁アメダスデータ“ほぼすべてが配信”

気象庁の気温や降水量などを観測しているアメダスのデータの一部が2日未明から配信できなくなっていましたが、午後4時半ごろほぼすべてのデータが配信されるようになりました。天気予報などに大きな影響はなく、気象庁は今後観測データを確認し2週間程度かけてデータの復旧を進めることにしています。
気象庁によりますと、KDDIの通信障害に伴い2日未明から気温や降水量などを観測しているアメダスのデータの一部が配信できなくなりました。全国におよそ1300ある気象庁のアメダス観測点のうち、KDDIの通信回線を利用している898か所の多くで通信が不安定になり、データの配信が断続的に止まるなどしてホームページで表示できなくなったほか、気象会社などへのデータの提供ができなくなりました。
KDDIの通信障害の復旧に伴って4日午後4時半ごろにほぼすべての観測点で配信できるようになったということです。気象庁は天気予報や台風の気象予報などに大きな影響はなかったとしていて、今後配信が止まっていた期間や観測データを確認し2週間程度かけて復旧を進めることにしています。

物流・交通機関に影響

物流や交通機関の一部では影響が続いています。

1. 宅配大手ヤマト「PUDO」利用の発送 受け取り 一部でできず

このうち宅配大手のヤマトホールディングスによりますと、KDDIなどの通信が不安定になっている影響で4日午後3時半現在、全国の駅やスーパーなどに設置しているオープン型宅配便ロッカー「PUDO」を利用した荷物の発送や受け取りが一部の地域でできない状況が続いているということです。また配送のドライバーから連絡できなかったり、コールセンターに電話がつながらなかったりするなどの影響も一部の地域で残っているとしています。

2. バス 走行位置・到着時間 予測システム使用できず

一方、交通機関でも影響が出ていて、小田急バスや京成バスなど一部のバス会社では運行に支障はないものの午後3時現在、バス停の案内板やインターネット上で走行している位置や到着時間の予測を伝えるシステムが使用できなくなっているということです。

海難事故に影響

海上保安庁が各管区本部を通じてまとめたところ、通報が5時間遅れたケースなど全国で8件の海難事故に影響があったことがわかりました。

1. プレジャーボート事故 通報5時間遅れる 鳥取

このうち鳥取県米子市の皆生漁港では3日午前0時ごろにプレジャーボートが波消しブロックに乗りあげて油が流出する事故が起きましたが、通信障害の影響で通報が寄せられたのは午前5時すぎでした。プレジャーボートに乗っていた人は事故の衝撃で海に投げ出され顔と足にけがをしましたが、周囲に人がいなかったため助けを求めることもできずおよそ5時間後、漁に出るため漁港に来た漁師に声をかけて携帯電話を借りて通報し病院に搬送されたということです。

2. 海保 救助協力を求めるも電話つながらず 福井

また福井県の沖合では2日の昼すぎ、2人乗りのプレジャーボートからエンジンが故障したという通報があったため海上保安庁が民間で救助に当たる関係者に協力を求める連絡をしましたが、電話がつながらなかったということです。その後、巡視船が現場に到着し救助を行いました。
このほか漁船が浮遊物に接触したものの通報できずに、港に入ってから通報を行うなど海難事故への影響は8件に上りましたが、いずれも救助が必要な人たちの命に別状はなかったということです。海上保安庁は緊急通報ができる端末を確保したうえで、マリンレジャーなどに出かけるようホームページで呼びかけています。

訪問診療クリニック “患者の急変 察知できないのでは…”

訪問診療を行う都内のクリニックでは患者との連絡が取りづらい状態が続いていて、患者の急変を察知できないのではないかと不安を抱えています。
東京 品川区の「ひなた在宅クリニック山王」は大田区や品川区を中心に500人近くの患者への訪問診療を行っていますが、2日未明から業務で使用しているUQモバイルの携帯電話がつながらなくなりました。患者からかかってくる緊急の電話は昼間は固定電話につながるため問題はありませんが、夜間と休日は携帯電話に転送されるため一時つながらない状態になりました。現在は転送先を別のキャリアの携帯電話に切り替えて対応していますが、患者側がauなどの携帯電話を使っている場合、引き続き連絡が取りづらい状態が続いています。
このためクリニックでは急きょ3日、連絡の取れない一人暮らしの高齢者など11人の自宅を訪問して体調確認を行うなど対応に当たりました。このうち一人暮らしで肺がんを抱える70代の男性は週末に体調が悪化したもののクリニックと連絡が取れなかったということで、診察が遅ければ体調がさらに悪化するおそれもあったということです。
クリニックではこのまま通信障害が続くと、ほかにも新型コロナウイルスの患者の健康観察ができなかったり、熱中症の患者の発生に気付けなかったりするおそれがあるとして不安を抱えています。
クリニックの田代和馬院長は「私たちが担当する患者は医療への依存度が高いので何かあったときにSOSを出せない、連絡してもつながらないと命を預かる者として非常に心配です。本当に一日も早く復旧してほしい」と話しています。

保健所 “au携帯電話を持つ患者と連絡取れず”

新型コロナの患者の健康状態を確認したり感染状況を把握したりする保健所の業務にも影響が出ています。
東京 葛飾区の保健所は自宅療養者の健康観察をする際、患者の携帯電話にショートメールを送っていますが、KDDIの大規模な通信障害の影響でauの携帯電話を持っている患者と連絡が取れないことがあり医療機関に患者の固定電話の番号を確認する作業に追われたということです。中には入院が必要な患者と途中でやりとりが途絶え、健康状態の確認や入院の調整のため職員が直接自宅を訪問したケースもあったということです。また保健所が感染者との対応に使う携帯電話もauのものだったためほかの部署から借りたり、ふだんは回線を確保するため使用を控える固定電話も使ったりしたということです。
さらに感染者の情報を一元的に管理するシステム「HER-SYS」にも影響が出ました。このシステムでは携帯電話で認証する必要があるため、auの携帯電話を使っている医療機関と保健所の間でFAXを使う必要が出たということです。
葛飾区保健所の小島絵里保健予防課長は「保健所としては患者さんになるべく早くコンタクト取る方法を模索し、区民の命を第一優先に考えて対応していきたい」と話していました。

東京都 “自宅療養者120人~130人 携帯電話で連絡取れず”

東京都によりますと、新型コロナウイルスに感染し自宅療養中で都が対応している人のうち、一日当たりおよそ携帯電話で連絡が取れず、健康観察に影響が出ているということです。23区などの保健所の一部でも業務に影響が出ていて、都は情報収集を進めるとしています。
都によりますと、携帯大手のKDDIの大規模な通信障害が起きて以降、都内で自宅療養をしている人のうち50歳以上や基礎疾患のある患者など都のフォローアップセンターで対応している一部の人と連絡が取れなくなっているということです。人数は一日当たりおよそ120人から130人だということです。通常、連絡が取れない自宅療養者は多い時で20人程度で、通信障害が起きて以降、増えているということです。
一方、都内の保健所では比較的症状が重く入院の可能性がある人の健康観察を行っていますが、23区などの保健所の一部では業務に影響が出ているということで、都は引き続き情報収集を進めるとしています。自宅療養者に対してはふだんは保健所がショートメールで基礎疾患の有無や健康状態などを確認しますが、連絡の取れない人とは固定電話で通話するか、保健師が自宅を訪問するなどして対応することになるということです。
都によりますと、都内では3日時点で1万5000人余りの自宅療養者がいて、都の担当者は「適切な治療につなげられなかったなどの大きなトラブルは今のところ聞いていない」と話しています。

個室ブース運営企業 一部で営業できず

テレワーク用の個室ブースを運営する企業でも、通信が不安定なため一部のブースで営業できない状態が続いています。
全国の駅や商業施設などにおよそ230台の個室ブースを設置している「テレキューブサービス」ではブースのカギを開ける際にKDDIの通信網を使って遠隔で管理しています。会社によりますと、通信障害の影響でブースのカギを開けることができなくなり3日までの2日間、営業の休止を余儀なくされたということです。
4日は部分的に営業を再開したものの一部のブースでは通信が不安定なままで、正午時点で首都圏を中心におよそ3割のブースで営業できない状態が続いています。
会社ではすでに予約済みの利用者には個別に連絡してキャンセルを依頼したり、利用できる近隣のブースを案内したりしているということです。

<4日午前10時>au携帯販売店に利用者の列

都内の販売店では客への対応に追われています。新宿区にあるauの携帯販売店では開店時間の午前10時前から電話が通じず、復旧の状況などを確認しようとする利用者が列を作っていました。そして店が開くと、待っていた利用者が店員に駆け寄って復旧の見通しなどについてたずねていました。
店を訪れた50代の男性利用者は「まだ電話が利用できず母親が施設に入っているのでそこから連絡が来た場合、つながらない状況なのでとても不便です。もし影響が長引くようであれば他社への乗り換えも検討したい」と話していました。また別の50代の男性利用者は「母親と連絡取りたいが高齢でメールができないので電話しか連絡手段がない。おとといからつながらず店員にはもうしばらくかかると言われていて、影響が長く困っています」と話していました。

“仕事に影響” “連絡できない” SNS上は困惑の声…

通信障害が始まって3日目のきょう4日は月曜日ということもあって、SNS上には困惑する声があふれています。
「業者と連絡とれないから困った」とか「お客さんとのやり取りとか基本電話だから困る」などと仕事に影響が出ているという声が多くなっています。また「子どものことで小児科に電話したいのにつながらない」とか「明後日から入院なのに、いまだに電波無し。病院はWi-Fiないから本当に困る」などと医療機関に連絡できないと困惑する声もありました。
会社が「けさ7時時点で全国的にデータ通信はおおむね回復した」と発表したことに対しても「未だに全然つながらない」とか「通話はまだしづらいってのはどこ?しづらいのではなくて不通なんですが?」などと通信障害が続いていることを訴える声も上がっています。
一方「固定電話に営業担当者宛の電話が殺到して大忙し」とか「家の近所の公園に公衆電話利用の行列が」などと携帯電話が使えないことで生じている状況を説明する投稿も見られました。

官房副長官「大変遺憾なことだ」

木原官房副長官は記者会見で「まさに今回の事案は国民生活や社会経済の重要なインフラである携帯電話のサービスが長時間、利用困難になっているということであり、大変遺憾なことだ」と述べました。そのうえで「現在KDDIで引き続き正常化に向けて取り組みを進めていると承知している。政府としても事態を深刻に受け止めるとともに、KDDIに対し国民・利用者への丁寧な説明を求めている。今後はKDDIからの正式な報告を踏まえ総務省で適切に対応していきたい」と述べました。
また通信障害で影響を受けた顧客に対する補償について「KDDIで適切に対応されるものと認識している」と述べました。

遭難も通信障害で電話かけられず LINEで救助要請を依頼 北海道

警察によりますと、3日午後3時ごろ、北海道島牧村の黒松内岳を登山していた43歳と52歳の男性登山客2人が道に迷って遭難しました。2人は携帯電話を持っていましたが1台は電池が切れていて、もう1台はKDDIで大規模な通信障害が起きた影響で消防や警察に電話をかけられない状態だったということです。
しかしLINEの通話機能は使用できる状態だったということで、知人に緯度と経度など居場所の情報を伝え、救助要請を依頼しました。連絡を受けた知人が地元の消防に救助を要請し、警察のヘリコプターが遭難した2人を救助しました。2人にけがはありませんでした。
警察は登山をする際は連絡手段を確保するよう呼びかけています。

<3日18時>au回線使用の店舗外の銀行ATM 大部分復旧 岐阜

岐阜県大垣市に本店を置く大垣共立銀行では、今回の通信障害の影響で愛知県、岐阜県、三重県、それに滋賀県の店舗外に設置している合わせて221台のATMのうちau回線を使用している190台のATMが2日から使用できなくなっていました。
銀行によりますと、KDDIの復旧作業に伴い3日午後6時時点でまだ使用できないのは14台で大部分のATMは復旧しているということです。また4日朝のATMの稼働開始をもってすべて復旧する予定だということです。

新型コロナウイルス感染者との連絡に支障が出ている自治体も

沖縄県によりますと、KDDIの大規模な通信障害の影響で県のコロナ対策本部や保健所が行っている感染者への連絡に支障が出るなどの影響があったということです。

また神奈川県相模原市でも新型コロナウイルスに感染し自宅で療養している人に行っている健康観察に影響が出ているということです。連絡先として登録されている携帯電話がつながらない人が複数出ているということで、相模原市では緊急時には固定電話から119番するようホームページ上で呼びかけています。

SNS いったん復旧も「またアンテナ消えた」の投稿も

SNS上ではauなど通信障害が起きている携帯電話の利用者とみられる人たちの声が数多く投稿されています。
時間が経過するにしたがって「電波が回復した」という投稿も増えてきているようですが、午後3時半ごろの段階でも「いまだにつながらない」とか「一時的に復旧してアンテナが立ち通話できましたがまたアンテナが消えて電話ができなくなった」また「『圏外です。通信できません』と『圏内です。通信できます』を繰り返してる」などという投稿も見られました。

<3日15時時点>気象庁アメダスデータ「102か所で配信できず」

気象庁によりますと、KDDIの通信が不安定になっている影響で気温や降水量などを観測しているアメダスのデータについて、午後3時時点ではこのうち102か所で配信できない状態となっているということです。気象庁は今のところ天気予報や台風の気象予報などに大きな影響はないとしています。

通信障害の原因「機器交換を行っていた際に不具合が起きたため」

また記者会見の中で通信障害の原因について言及がありました。
2日未明、通信ネットワークの保守・管理のため機器の交換を行っていたところ不具合が起き、15分間にわたって音声通話ができなくなるトラブルが発生しました。このためもとの機器にデータを戻す作業を行いましたが、音声通話を管理する交換設備にアクセスが急増し「ふくそう(輻輳)」と呼ばれる状態になりました。
アクセスの集中により完全にネットワークが使えなくなることを防ぐため通話やデータ通信を制限せざるをえなくなり、通じにくい状態が全国に広がったということです。さらに通話や通信に必要なデータ処理が追いつかなくなったことも、障害が長引いた要因だとしています。
高橋社長は記者会見で「今回は定期メンテナンスでの機器の交換だったが、それがこのような大きな事故につながることを想定できなかったことはわれわれの甘さだと捉えている」と述べました。

記者会見は開始から2時間余りが経過した午後1時すぎに終了しました。

「障害の内容をもう少しみたうえで補償について検討」

高橋社長は通信障害の補償について問われたのに対し「カスタマーサービスにもたくさん意見をいただいているが、いま一律に補償するということは回答を持ち合わせていない」と述べました。そのうえで「今回の障害の内容をもう少しみたうえで補償について検討していく。個人、法人問わずご迷惑おかけした。お客様はそれぞれの契約で、サービスを提供しているのでその辺も配慮したい」と述べました。
通信障害が起きてからのみずからの対応について「障害が起こりきのう午前2時ごろに障害の情報が届いたが、今回私の端末自体も届きにくかったので連絡を取り合ったのが大体午前4時から5時の間だった。そこから急きょ本社にかけつけ午前7時前には着いてそこからずっと対応に当たっている」と述べました。
また会社側は通信障害のあと3日までの時点で、コールセンターにおよそ4万9000人から問い合わせや苦情などの電話があったことを明らかにしました。また販売店にも多くの利用者が訪れ、通信障害に対して苦情などが寄せられているとしています。

「最大3915万の利用者に影響可能性」

さらに法律上の「重大事故」に当たるという認識を示したうえで「まずは収束を第一にするがしっかり対応をしたい」と述べました。今回の通信障害ではauやUQモバイル、povoの利用者のほか、KDDIの回線を利用している格安スマホ事業者の利用者なども含め最大で3915万の利用者に影響した可能性があるとしています。
みずからの経営責任については「これだけ大きな事故を起こし非常に申し訳なかったと思っていて、経営者として大きな責任があると思う。ただ今は一刻も早くネットワークを元の状況に戻さないといけないので、今回起きたことを真摯(しんし)に受け止めて一日も早く復旧を目指したい」と述べました。

<3日午前11時>KDDI社長会見始まる 冒頭陳謝

KDDIの高橋誠社長は午前11時から記者会見を開き、2日未明からの大規模な通信障害について「社会インフラを支える、また安定したサ-ビスを提供する立場である通信事業者として深く反省しています。お客様には多大なご迷惑をおかけし深くおわび申し上げます。申し訳ございませんでした」と陳謝しました。また通信障害の復旧の見通しについて「全国で徐々に復旧しているが完全復旧に向けて全力をあげて対応をすすめている」と述べました。
復旧作業は▽西日本エリアは午前11時ごろに▽東日本エリアは午後5時半ごろに終える見込みだとしています。ただしネットワークの試験を検証したうえで、本格的な再開時間を決めるとしています。

<3日午前11時時点>気象庁アメダスデータ「204か所配信できず」

気象庁によりますと、KDDIの通信が不安定になっている影響で気温や降水量などを観測しているアメダスのデータについて、午前11時時点ではこのうち204か所で配信できない状態となっているということです。気象庁は今のところ天気予報や台風の気象予報などに大きな影響はないとしています。

<3日午前10時時点>気象庁アメダスデータ「257か所配信できず」

気象庁によりますと、KDDIの通信が不安定になっている影響で気温や降水量などを観測しているアメダスのデータが2日午前1時40分から一部で配信できない状態が続いています。全国およそ1300か所の観測点のうち今回の通信障害の影響を受ける可能性があるのは898か所で、3日午前10時時点では257か所で配信できない状態となっているということです。気象庁は今のところ天気予報や台風の気象予報などに大きな影響はないとしています。

<3日午前10時>総務相緊急会見「法律上の重大事故と認識」

KDDIの大規模な通信障害を受けて午前10時から金子総務大臣が緊急の記者会見を開き「国民生活や社会経済の重要インフラである携帯電話サービスについて極めて多くのかたがたが長時間、利用困難な状態になっていることは大変遺憾だ。特にコロナや熱中症のリスクが高まっており、かつ台風4号が沖縄県や鹿児島県奄美地方に接近しつつあるタイミングにもかかわらず、国民の生命・財産を守るための消防、救急などの緊急通報に支障を生じさせたことは深刻に受け止めている」と述べました。そして「会社からの報告を踏まえれば電気通信事業法上の重大な事故に該当すると認識している。今回の障害は去年のNTTドコモの障害と比べても影響が大きいと思われる。正式な報告を受けたうえで、しかるべき必要な対応をしっかりと取っていく」と述べました。

これまでの「法律上の重大事故」の事例は

携帯電話会社の通信障害については、電気通信事業法に基づき110番や119番などの緊急通報が可能な携帯電話のサービスに影響が出ている場合などは「重大事故」に当たり総務省への報告が義務づけられます。具体的には1時間以上にわたって3万人以上の利用者に影響が出た場合などには「重大事故」に当たると定められていて、これまでもたびたび起きています。
去年10月にNTTドコモで起きた大規模な通信障害では、利用者が最も多い4Gなどでおよそ半日にわたって影響が続いたほか「ガラケー」と呼ばれる携帯電話に使われる3Gの通信では完全に回復するまで29時間かかりました。この時は通話やデータ通信が利用しづらくなるなどの影響が延べ1290万人に及び、総務省は再発防止などを指示する行政指導を行いました。
また2018年12月のソフトバンクの通信障害では、4時間半にわたっておよそ3060万人が通話とデータ通信を利用できなくなりました。総務省はソフトバンクがこの年に合わせて3回通信障害を発生させたことを重くみて、再発防止の徹底を求める行政指導を行いました。
また今回、通信障害を起こしたKDDIも2013年4月に最大288万人がメールを送受信できなくなる通信障害を起こしています。

<3日午前8時すぎ>復旧見込み時間 当初より遅れる見通し

会社では復旧作業を進め全国的にデータ通信を中心に徐々に回復しているとして、3日未明の時点では西日本では午前7時15分、東日本では午前9時半にそれぞれ復旧を目指すと発表していました。
しかし午前8時すぎになって、復旧の見込みについて西日本では午前11時ごろとしたほか東日本についても改めて伝えるとしています。
原因は音声通話に必要な機器に不具合が発生し通話などが集中しないよう通信量を絞ったためだということで、会社では3日午前11時から記者会見を開き、高橋誠社長が状況を説明するとしています。