熱中症リスク高いのに自覚症状がない “かくれ脱水”に注意を

厳しい暑さが続く中、特に注意が必要なのが熱中症です。

専門家は、体の水分の量が減り熱中症のリスクが高まっているのに、自覚症状がない「かくれ脱水」と呼ばれる状態に、注意するよう呼びかけています。

熱中症に詳しい兵庫医科大学の服部益治特別招聘教授によりますと、ふだんの体内の水分の量は成人で60%ほど、65歳以上の高齢者で50%から55%ほどだということです。

こうした体内の水分の量が減っても、脱水症の症状がはっきり出ず、自覚症状がない状態が「かくれ脱水」と呼ばれ、脱水症の一歩手前の段階で、熱中症のリスクが高まるとしています。

特に体内の水分量が成人より少なく、のどの渇きなどを感じにくくなっている高齢者は注意が必要です。

さらに、コロナ禍では運動をする機会が減り、水分を体に蓄える役割を担う筋肉が衰えたり、マスクをつけることで口の中の渇きを感じにくくなったりしていることから「かくれ脱水」のリスクが高まっているということです。

服部特別招聘教授は、こうした「かくれ脱水」にいち早く気付くには、手の甲をつまんでみることが有効で、戻りが悪いときは水分が不足している可能性があるとしています。

そして「かくれ脱水」の対策として挙げたのが「こまめな水分補給」と「食事」で、のどが渇いていなくても1時間にコップ1杯を目安に水分を補給するとともに、食事でも水分を補給できるため、できるだけ3食とることが大切だとしています。

また、運動不足で筋肉の量が減らないように、エアコンをつけた室内で無理のない範囲で、しゃがんだり立ち上がったりして体を動かすことも重要だとしています。

服部特別招聘教授は「新型コロナで自粛生活が続き、筋肉が衰えることで、体が水分を欲しがっていてもすぐに脱水症状になってしまう状態になる。とにかくこまめな水分補給を意識して、“熱中症予備軍”ともいえる『かくれ脱水』に気をつけてほしい」と呼びかけています。