日米韓首脳会談 3か国の安全保障協力 推進する方針で一致

スペインを訪れている岸田総理大臣はアメリカのバイデン大統領、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領との日米韓3か国による首脳会談を行い、核実験など北朝鮮によるさらなる挑発行為が懸念されるとして3か国の安全保障協力を推進していく方針で一致しました。

NATO首脳会議に出席するためスペインのマドリードを訪れている岸田総理大臣は日本時間の29日夜9時半すぎからおよそ20分間、アメリカのバイデン大統領、韓国のユン大統領とおよそ5年ぶりとなる日米韓3か国の首脳会談を行いました。

この中で岸田総理大臣は「核実験を含め北朝鮮によるさらなる挑発行為の可能性が深刻に懸念される。日米同盟、米韓同盟の抑止力を高めることを含め日米韓の連携強化は不可欠だ」と述べました。

そして先に行われた3か国の防衛担当の閣僚による会談で弾道ミサイル発射に対処するための自衛隊とアメリカ軍、韓国軍による共同訓練を再開することで一致したことを歓迎し、核実験が行われた場合にも日米韓で対応していきたいという意向を示しました。

そのうえで地域の抑止力を一層強化することが重要だとして、3か国の安全保障協力を推進していく方針で一致しました。

一方、北朝鮮による拉致問題について岸田総理大臣は即時解決に向けたバイデン大統領とユン大統領の支持に感謝を伝え今後の協力を要請しました。

米バイデン大統領「3か国の協力は不可欠だ」

アメリカのバイデン大統領は首脳会談の冒頭「われわれ3か国の協力は朝鮮半島の完全な非核化と自由で開かれたインド太平洋の実現という共通の目標を達成するために不可欠だ。今後もこの形式での対話を行うことを楽しみにしている」と述べて、日米韓3か国の連携をさらに強化していきたいという考えを示しました。

会談のあとホワイトハウスは声明を発表し「歴史的な3者会談だ。3か国の首脳はインド太平洋、特に増大する北朝鮮の脅威への対応をめぐり3か国の協力を深めていくことについて意見を交わした」と意義を強調しました。

またバイデン大統領は会談の中で「日韓両国の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎない」と強調したということです。

バイデン大統領は核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応などで地域の同盟国である日本と韓国との連携を重視していて、3か国の首脳会談を通じて関係が冷え込んだ日韓関係の改善につなげたいねらいがあるとみられます。

韓国ユン大統領「協力の重要性はさらに大きくなった」

韓国のユン・ソンニョル大統領は首脳会談の冒頭「北の核・ミサイルの脅威が高度化し国際情勢がより不安定になる中、3か国の協力の重要性はさらに大きくなった」と指摘しました。

そのうえで「およそ5年ぶりとなる会談は地域やグローバルな問題を解決するため3か国の協力を強化しようという意志を示すものだ。きょうの会談をきっかけに3か国の協力が世界の平和と安定のための重要な中心軸と位置づけられることを期待している」と述べました。

また韓国大統領府の発表によりますと、会談の中でユン大統領は北朝鮮の挑発には強力に対応していくという考えを示す一方で、北朝鮮を対話のテーブルに戻すために協力していくことを呼びかけたということです。

さらにアメリカが核戦力などで日本や韓国を守る「拡大抑止」の強化や、日米韓の安全保障協力の水準を高めていく方法について3か国で緊密に協議していくことにしたと明らかにしました。