千葉 八街 児童5人死傷事故から1年 現場では献花も

千葉県八街市で、下校中の児童5人が飲酒運転のトラックにはねられて死傷した事故から28日で1年になります。
現場では亡くなった児童を悼んで花を手向ける人たちの姿が見られました。

去年6月28日、千葉県八街市で飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み児童2人が死亡、3人が大けがをしました。

事故から1年となる28日、現場では朝から花を手向けたり、手を合わせたりする人たちの姿が見られました。

子どものころ亡くなった児童と同じ小学校に通っていたという30代の女性は「今もショックでご両親の気持ちを考えると悲しく、きょうは花を手向けにきました。子どもを持つ親として飲酒運転だけはやめてもらいたいです」と話していました。

八街市内では事故のあと通学路の見守り活動が強化されていて、28日朝も警察や学校、それに地域の人たちが交通量の多い交差点などで登校を見守っていました。

この事故では危険運転致死傷の罪に問われたトラックの運転手にことし3月、懲役14年の判決が言い渡され、その後、確定しています。

遺族や被害者家族「現場で速度違反する車が今も ルール守って」

事故の遺族や被害者の家族は28日、コメントを発表し「1年という時間が長いのか短いのか、われわれにはわかりません。ただ、今回の現場でさえ速度違反をする車を見かけます。本当につらく、怒りさえ湧いてきてしまいます。今回のようなことは二度と起きてはならないことです。そのために、当たり前のことですが、交通ルールを守ってほしい」としています。

警察などが飲酒運転防止呼びかけ

八街市では28日、警察などがドライバーにチラシを配って飲酒運転の防止を呼びかけました。

28日は、午後3時から八街市を管轄する佐倉警察署の警察官や、市役所の職員など15人が、小学校の通学路になっている交差点で、信号待ちをしている車の運転手に声をかけて飲酒運転の撲滅を呼びかけるチラシなどを配りました。

千葉県警察本部の田中俊恵本部長も参加し、みずから飲酒運転をしないよう強く呼びかけました。

田中本部長は「事故から1年がたちますが、これだけ悲惨な事故が起きても飲酒運転がなくならないことに憤りを覚えます。県警としては飲酒運転がいかに悪質で危険なことであるかを訴え、しっかりと取り締まっていきたい」と話しました。

危険な通学路 全国7万6000か所 対策講じたのは6割

千葉県八街市の事故から1年となる28日、文部科学省と国土交通省、警察庁が公立小学校の通学路の安全対策の進捗(しんちょく)を公表しました。
全国の通学路の点検で対策が必要とされた危険な箇所7万6000か所のうち、対策が講じられたのは6割となっています。

それによりますと、事故を受けた通学路の全国点検で対策が必要とされた危険な箇所7万6404か所のうち、ことし3月までに対策が講じられたのは59%でした。

具体的には、
▽見守り活動や安全教育など学校や教育委員会によるソフト対策が必要なおよそ4万か所については89%で、
▽信号機の設置や速度規制など警察による対策が必要なおよそ1万7000か所については67%で、
対策が講じられています。

一方、歩道の整備や防護柵の設置など道路管理者によるハード対策が必要なおよそ4万か所については、土地の取得など調整に時間がかかっているなどの理由から42%となっています。

都道府県別にみると、徳島県では85%、北海道が79%となった一方、富山県では25%、佐賀県が31%となっています。
事故が起きた千葉県は67%でした。

国は来年度末までに対策がおおむね完了するよう引き続き取り組みを進めることにしています。