ファンも選手もONE TEAM ラグビー日本代表の新ジャージ

4年に1度開かれ、世界で40億人が熱狂するとも言われるラグビーワールドカップ。次回は来年・2023年にフランスで開催されることになっています。

世界の大舞台でさらなる飛躍を目指す日本代表の選手たちが着用するのが、特製の“桜ジャージ”です。今回、その“桜ジャージ”の製作にある工夫が凝らされることになりました。

ファンの思いにも、地球環境にも配慮したその工夫とはどんなものなのでしょうか?

ファンと選手をつなぐ証に

東京に本社があるスポーツアパレルメーカー、「ゴールドウイン」
1997年から20年以上、ラグビー日本代表の桜ジャージの開発を手がけてきました。
会社では、2023年のワールドカップに向けた「新生桜ジャージ」について、生地の素材の一部にファンから寄せられた古着を活用すると発表しました。

開発の責任者を務める石塚正行さんは、
▽世界的に関心が高まるSDGsへの配慮と、
▽フランスで試合に臨む選手と日本で応援するファンをつなぐ役割の双方を実現できるとして、長年、温めてきた構想だと説明しました。
ゴールドウイン 石塚正行さん
「環境問題に配慮した製品を作っていくことは、今の時代においてスポーツアパレルブランドの使命だと思っています。また、今大会はフランスで開催されるため、時差もあるほか、現地応援も簡単ではありません。そのような状況で、ファンから募った古着が代表のジャージの一部となることで、ファンと選手をつなぐ証になると考えたのです。選手も奮起し、応援する側も力が入る。まさに“ONE TEAM”となれる。そんなストーリーを描きました」

いったいどうやって作るの?

では、古着がどうやって桜ジャージに生まれ変わるのか?
そこには、リサイクル事業などを手がける「JEPLAN」の技術力が欠かせないといいます。
古着は、素材がポリエステル100%のものを活用します。

集めた古着を特殊な液に浸し、熱と圧力を加えるとポリエステルが化学反応で分子レベルに分解され、新品と変わらない品質の樹脂をつくることができます。
この樹脂が再生繊維の原料として糸となり、桜ジャージの生地の一部に仕立てられていくことになります。
ここで気になるのが「強度」。ラグビーは漢字で「闘球」と表現されるように激しくぶつかりあうのが特徴のスポーツです。

古着から再生した桜ジャージに十分な強度はあるのでしょうか?
石塚さん
「耐久性を再生素材を使いながら担保することは、非常にハードルが高いです。ただ、多くの方に技術面で協力いただき、現状では前のウエアを超えられる形で進められていて期待できると思います」
最後に気になる形やデザイン。

現時点ではまだ開発中ということで極秘の部分が多いですが、前回・2019年大会の機能やインパクトを上回るべく、製品の開発に取り組んでいると意気込みを話してくれました。
石塚さん
「2019年の大会後は、コロナの影響であらゆる活動が自粛され、ラグビーも自粛の日々が続きました。そんななかで、2023年のフランスワールドカップでは、日本代表と桜ジャージを1つのきっかけとして、またみんなが“ONE TEAM”となって楽しめて元気になる、そのようなジャージを作り上げたいと思います」

古着の回収場所は?

古着の回収は、
▽7月1日から24日までで、ゴールドウインが展開するラグビーブランドの直営店など28か所に専用の回収ボックスが設置されるほか、
▽9日に東京・国立競技場で開催される日本代表とフランス代表の試合会場にも専用ブースを設けることにしています。

どんな特製ジャージができるのか期待したいところです。