行楽中の水の事故 全国で相次ぐ 本格的な夏に向け注意を

今月に入って全国で行楽中の水の事故が相次いでいます。
本格的な夏に向け水辺に行く人が増えることが予想されるなか、実際に事故にあった場合どのように対応すればよいか、水難事故に詳しい専門家に聞きました。

首都圏でも、今月に入って水難事故が相次いでいます。

今月1日、千葉県船橋市の海岸で潮干狩りに来ていたとみられる女性2人が溺れ、その後、死亡しました。

今月19日には、東京 日野市の多摩川で遊んでいた子ども2人が溺れて死亡しました。

また、同じ日に神奈川県相模原市では、相模川の河原でバーベキューをしていた30代の男性が川で溺れ、その後、死亡しました。

水難学会の理事を務める東京海洋大学の田村祐司准教授は、海や川など、水辺に近づく際には、ライフジャケットを着用するよう呼びかけています。
そのうえで、岸から離れた場所に落ちたり、溺れたりした場合には、足を抱えて体を縮める「ヘルプ姿勢」で救助を待つことが大切だとしています。

顔が水面よりも上で保てるほか、体温が下がるのを防ぐ効果もあるということです。
もし、ライフジャケットを身につけていない場合には、騒いだり無理に泳いだりせず、あおむけのまま力を抜いて浮く「背浮き」の状態で救助を待つことが好ましいとしています。

また、服や靴を身に着けた状態で水に落ちた場合は、浮力を得ることができるため、脱がずに浮いて待つことが重要だということです。
一方、周りにいる人は、消防に救助を要請するとともに、サッカーボールやクーラーボックスなど、身の回りにある水に浮くものを、救助を待つ人に向けて投げ渡すことが有効だとしています。

衣服やタオルを詰めたゴミ袋でもいいということです。

田村さんは「これまで新型コロナウイルスで外出を控えていた人も、自粛ムードが緩和され、暑くなると水遊びに行くことが予想される。いざという時に対応できるよう、あらかじめ身の回りで水に浮くものは何かを考えておいてほしい」と話していました。

アウトドア用品店では

東京 渋谷区のアウトドア用品店では、去年の3倍以上の数のライフジャケットを店頭に並べています。

新型コロナの行動制限の緩和もあり、去年、おととしと比べて、売り上げが好調だということです。
店では、大人用から子供用のものまで、さまざまなサイズが販売されていて、自分の体にあったライフジャケットを選ぶことが大切だとしています。

最近は、ガスのボンベが付いたライフジャケットもあり、センサーが水に反応すると自動的に膨らむ仕組みで、持ち運びに便利で動きやすいことからニーズが高いということです。

サンスイ渋谷店の加藤賢司店長は「水遊びをする際は、危険と隣り合わせだということを意識しながら楽しんでほしい。1件でも水難事故を減らせるよう、これからも、店ではライフジャケットの着用を呼びかけていく」と話していました。

水の事故 防ぐための注意点

政府や国も、水の事故を防ぐための注意点をホームページなどで紹介しています。

水の事故を防ぐためのポイントです。

■出かける前に 目的地の天気や情報をチェック!

行く前に、目的地の川や海の情報や天気をチェックすることが大切です。

悪天候が予想されている時は、無理をせず中止または、延期しましょう。

■「危険を示す掲示板」ある場所は避ける

川の地形は複雑で、同じ川でも、場所によって流れが速くなっていたり、急に深くなったりする場所があります。

「危険を示す掲示板」がある場所では、遊ばないようにしてください。

海でも同様です。

危険な場所には「危険」「遊泳禁止」などと案内されていることが多いので、海岸や海水浴場の掲示や、標識などを確認してください。

■子どもだけで遊ばせない

水深が浅い場所でも、転倒して溺れたり流されたりすることがあります。

特に、子どもだけでの水遊びは大変危険なので、注意してください。