アフガニスタンで地震1000人以上死亡 家屋倒壊多数で被害拡大

アフガニスタン東部で発生したマグニチュード5.9の地震では、これまでに1000人以上が死亡しました。現地では多くの家屋が倒壊して閉じ込められている人たちがいるとみられ、被害のさらなる拡大が懸念されています。

日本時間の22日午前6時前、アフガニスタン東部のホスト州を震源とするマグニチュード5.9の地震が発生しました。

ホスト州の隣のパクティカ州の当局者はNHKの取材に対し、これまでに1000人が死亡し、1500人がけがをしたことを明らかにしたほか、ホスト州の当局者も少なくとも30人が死亡、100人以上がけがをしたとしています。

またUNAMA=国連アフガニスタン支援団の担当者は記者会見で「2000棟近くの家屋が倒壊しているとみられる。アフガニスタンの家族は少なくとも7人から8人で、複数の家族が一緒に住んでいることもある」と述べて被害のさらなる拡大に懸念を示しました。

この地域では、ひぼしレンガを積み上げた家屋が多く、地震は現地時間の午前2時前に発生していることから、多くの人が倒壊した家屋の下に閉じ込められているとみられ、救援隊による捜索活動が行われています。

地震の後イスラム主義勢力タリバンの最高指導者アクンザダ師は声明を発表し、国際社会に対し、地震で被害を受けた人たちへの支援を求めました。

アフガニスタンでは2015年にも北部で発生したマグニチュード7.5の地震で、隣国のパキスタンと合わせて300人が死亡しています。

多くの人が犠牲になったパクティカ州で22日撮影された映像では、壁に亀裂が入り、一部が崩れてなくなった住宅やその周りにがれきが散乱している様子が確認できます。

また、救助にきたとみられるヘリコプターが到着すると、住民などが協力してけが人を運び込もうとしている様子もとらえられています。

国連防災機関「アクセスしにくいことが課題」

アフガニスタン東部で発生した地震の救助活動について、国連のUNDRR=国連防災機関の担当者は、今回の地震の震源が、パキスタンとの国境に近い、遠隔地で発生したことに触れ「現場の道路は整備されていないため、人道的な活動において、地域へのアクセスがしにくいことが最も大きな課題の一つになるだろう」と述べて、現場にたどりつくことすら容易ではないと説明しました。

国連は22日、現場で大雨と強風が続いたことで救助ヘリコプターの着陸も妨げられたと報告していて、担当者は「アフガニスタンでは森林が喪失している深刻な問題があり、地震によって地滑りの危険性が高まります。これは特に大雨のあとにあてはまり、この地域の天気予報は大雨となっています」と述べ、地滑りなどの2次災害のおそれがあると指摘しました。

国連事務総長「国際社会の協力を 今こそ連帯の時だ」

アフガニスタン東部で発生した地震をうけて国連のグテーレス事務総長が声明を発表し、「地震で悲劇的に多くの命が失われたと聞き、悲痛な思いでいっぱいだ。長年にわたる紛争、経済的苦難、飢餓の影響から立ち直りつつあるアフガニスタンの人々に心を寄せている」と犠牲者やその家族に哀悼の意を示しました。

そして「アフガニスタンに駐在する国連のチームはすでに現地で支援にあたっているが、 今回の災害で被害にあった数百におよぶ世帯を支援するため、国際社会の協力を仰いでいく。今こそ連帯の時だ」と述べ、アフガニスタンへの支援を呼びかけました。

アメリカ 人道的支援を検討する方針

アメリカのホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は22日、声明を発表し「少なくとも1000人の命を奪った破壊的な地震を受けてアメリカは深い悲しみに包まれている。バイデン大統領は事態を注視し、どういった支援ができるのか検討するよう関係機関に指示した」と述べて、被災地への人道的な支援を検討する方針を示しました。