対馬の寺から盗まれた仏像 住職が韓国での裁判で早期返還訴え

10年前に長崎県対馬市の寺から盗まれたあと、韓国で見つかった仏像をめぐり、韓国の寺が所有権を主張して引き渡しを求めている裁判で、対馬市の寺の住職が裁判に初めて参加して、早期の返還を訴えました。

10年前に長崎県対馬市の観音寺から盗まれたあと、韓国で見つかった仏像について、韓国中部にあるプソク(浮石)寺が「中世の時代に倭寇に略奪されたものだ」として所有権を主張し、仏像を保管する韓国政府に引き渡しを求めて裁判を起こしています。

中部・テジョン(大田)の裁判所は1審でプソク寺への引き渡しを命じる判決を言い渡しましたが、韓国政府が控訴し、15日に行われた2審の裁判に観音寺の田中節竜住職が初めて参加しました。

法廷で田中住職は「観音寺は平穏かつ公然と仏像を占有してきており、日本の民法でも韓国の民法でも所有権はわれわれにある。盗難に遭い、不法に韓国に持ち込まれたという事件の本質を踏まえて、1日も早く戻ってくることを強く願う」と訴えました。

また、田中住職は仏像は16世紀に朝鮮半島で譲り受けたものだと言い伝えられているとも述べ、これに対してプソク寺側は、正当に仏像が渡ったとする証拠があるのであれば示すように求めました。

裁判のあと田中住職は記者団に対して「言いたいことはすべて申し上げた。すでに10年という月日が流れているので、早期の返還を重ねて求める」と話しました。

次の裁判は8月17日に開かれます。