クマ 市街地周辺で「定着」進む 山間部より高密度 金沢市調査

近年、全国各地でクマの市街地への出没が相次いでいますが、金沢市の調査で、山間部よりも市街地周辺の方が高い密度でクマが生息していることがわかりました。
調査を行った専門家は、市街地周辺でクマの「定着」が進んでいるとして、餌となり得るゴミの管理などの対策が必要だとしています。

石川県立大学でクマの生態を研究している大井徹教授は、金沢市の委託を受けて、去年7月から11月にかけて、人里から離れた山間部と金沢市の市街地周辺の山林に、合わせて35台の定点カメラを設置し、カメラが捉えたクマの数などから「生息密度」を推定しました。

その結果、7月から8月にかけてのクマの「生息密度」は、山間部が1平方キロメートル当たり0.036頭だったのに対し、市街地周辺の山林では0.37頭と、市街地周辺の山林のほうが、およそ10倍高い結果になりました。

また、市街地周辺では、おととし、子グマを連れていたメスと同じとみられるクマが再び撮影されました。

こうしたことから、大井教授は、金沢市では市街地周辺でクマが「定着」し、繁殖が進んでいるとみられるとしています。

大井教授は「クマが生息範囲を広げ、市街地周辺に定着していることを前提に、クマの餌となるようなペットフードやゴミを放置しないことなど、対策に取り組むことが必要だ」と話しています。