ウクライナ侵攻 小学生たちの疑問・質問の内容は?

ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、NHKが専門家の協力を得ながら小学校4年生から6年生の質問を集めたところ、1000人近くの子どもたちから回答が寄せられました。

「どうして戦争しているの?」
「いつ終わるの?」

寄せられた質問の内容をご紹介します。

回答を寄せてくれたのは静岡、長野、岐阜、愛知の4つの県の10校の小学校です。4年生から6年生までの児童に「ウクライナとロシアのニュースを見て疑問に思うこと、わからないこと、気になっていること」をたずね、合わせて980人から回答が寄せられました。

質問のうち最も多かったのは「ロシアがウクライナを軍事侵攻している理由」をたずねる内容のもので、397人の子どもたちから寄せられました。

また「なぜ無関係の市民が巻き込まれているのか」「この戦争はいつ終わるのか」といった内容の質問も多く寄せられました。

小学生たちのさまざまな疑問・質問の一部を紹介します。
「どうして関係のない子どもや、関係のない人、罪なき人を傷つけ、しまいには命まで奪う、おかしくないですか?見直してみてほしいです」

「ウクライナは、わるいこともしていないのに、なんで攻撃をするんだろう。おねがいだからせんそうをやめてくださいおねがいします」

「なんでロシアは、世界大戦を経験しているはずなのに、戦争を起こしているのかよく分かりません」

「戦争は多くの人が亡くなる。いいことなに1つもないと思います」

「プーチン大統領とゼレンスキー大統領で直接話して解決すればいいと思う」

「ロシアの兵士はウクライナの人々がなくなるのを見て、どう思っているのでしょうか」

「なんで今の時代になっても戦争が起きているのか、なぜ「やめて」と言ってもやめないのか、とても疑問に思います」

「私たちより小さい子がなくなってしまいこの世界の楽しさをもっと知ってほしかったな」

「私たちと同じ、小学生等の学生の人は今、学校はどうしているのですか」

「ウクライナの子どもたちがたくさん亡くなっているのを見てすごくかなしんでいます。ロシアとの戦争が終わって家族と仲よくすごしてもらうとうれしいです」

「日本にも被害が起こるのかな?日本も戦争になっちゃうのかな?」

「なぜウクライナを、自分たちの国にしたいのか?子どもが悲しんだりするのが楽しいんですか?」

「ロシアのことを味方するわけではないけど、ウクライナの言っていることも、私は、自分の目で、確かめたいです。(本当にニュースで映っていることが本当なのかということ)」

「ニュースで見てるウクライナの光景が5年生のときの授業で原爆の話の戦争の光景とほぼ同じだったことが、少し見てて悲しかったです」
今回のアンケート調査は、信州大学教育学部 佐藤和紀准教授の協力のもとで行われました。

寄せられた子どもたちの質問に目を通した佐藤准教授は「質問は『なぜウクライナとロシアが戦争しているのか』という素朴な疑問に集約されている。また「詳しい子」と「知らない子」に大きく分かれていて、詳しい子は少数派という印象を受けた。ニュースを見たり新聞を読んだりというのは、大人が考えているほど子どもたちはしておらず、断片的にしか理解できていないということではないか」と話していました。

また、東北大学大学院情報科学研究科 堀田龍也教授は「子どもたちの質問が素朴なものになるのは2つの理由がある。1つは前提知識がないこと。小学4年生の終わりにようやく都道府県をやり、国々の関係について学ぶのは小学6年生なので、ウクライナがどこにあるかも知らない。2つめは、体験していないことなので想像しにくい。体験から想像できる話と今回のウクライナでのことにだいぶ距離がある」と指摘しました。

その上で、子どもたちがウクライナのニュースに触れる際の大人が注意することとして「ニュース映像をただ見せるだけでは、怖がってしまったり事実を決めつけてしまうリスクがある。大人と子どもで対話をしながら見るようにすれば子どもの不安も解消される」と話していました。

また、インターネットの動画を見る場合には「動画サイトはいろいろな立場の人が発信しているため、時には不安を感じたり、つらくなってしまうおそれがある。フィルタリングをかけた上で『嫌な気持ちになることがあったら必ず大人に言うように』と伝えることが大切」と話していました。

そして、子どもたちに向けては「テレビなどのニュースは視聴者に向けて短く説明しているので、報道されていることがすべてではない。周辺の情報や知識を自分で調べてニュースを判断するようになってもらいたい」と話していました。