日米首脳共同記者会見 両国の抑止力と対処力の早急強化を確認

岸田総理大臣は、バイデン大統領との日米首脳会談のあと、そろって記者会見し、覇権主義的行動を強める中国などを念頭に、日米両国の抑止力と対処力を早急に強化することを確認し、日本の防衛力を抜本的に強化する決意を示しました。
また、来年、日本が議長国を務めるG7サミット=主要7か国首脳会議について、被爆地で岸田総理大臣の地元の広島市で開催する方針を明らかにしました。

岸田総理大臣は、東京 港区の迎賓館で、バイデン大統領と日米首脳会談を行ったあと、そろって記者会見に臨みました。

岸田首相「今ほど同盟国や同志国の結束求められている時はない」

この中で岸田総理大臣は「ウクライナ侵略という国際秩序の根幹を揺るがす危機に直面しており、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を断固として守るべく、今ほど同盟国や同志国の結束が求められている時はない」と述べました。

そのうえで、ウクライナ情勢をめぐり、力による一方的な現状変更の試みはいかなる場所であれ断じて許容できないとして、G7=主要7か国をはじめ、国際社会とともに引き続き、きぜんと対応し、ウクライナ政府と国民を全力で支えていくことを改めて確認したと説明しました。

さらに、ウクライナ情勢がインド太平洋地域に及ぼす影響も議論し、中国の東シナ海や南シナ海での力を背景とした現状変更の試みに強く反対するとともに、人権問題を含めた中国をめぐる諸課題への対応に引き続き日米で緊密に連携していくことで一致したと明らかにしました。

また、台湾をめぐっては「両国の基本的な立場に変更はないことを確認し、 国際社会の平和と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促した」と述べました。

そして、覇権主義的行動を強める中国などを念頭に、日米両国の抑止力と対処力を早急に強化することを確認しました。

また、北朝鮮をめぐって「ICBM=大陸間弾道ミサイル級の弾道ミサイル発射をはじめ、核・ミサイル問題について深刻な懸念を共有したうえで、日米、日米韓で一層緊密に連携していくことを確認した」と述べました。

そのうえで、日本の防衛力を抜本的に強化する決意を示し、防衛費を増額するとともに、いわゆる『反撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除しないという方針を伝え、バイデン大統領から強い支持を得たと明らかにしました。
さらに「バイデン大統領から、日本の防衛へのコミットメントが改めて表明され、今後も『拡大抑止』が揺るぎないものであり続けることを確保するため、閣僚レベルも含め、日米の間で一層緊密な意思疎通を行っていくことで一致した」と説明しました。

IPEF(アイペフ)=インド太平洋経済枠組みをめぐっては「歓迎し、日本は参加し協力していく。そのうえで日本としては、戦略的な観点から、アメリカがTPP=環太平洋パートナーシップ協定に復帰することを期待している」と述べました。

また、最先端の半導体の開発を含む経済安全保障分野や、宇宙などに関する具体的な協力で一致したほか、ウクライナ情勢の影響でエネルギーや食料をめぐる状況が悪化していることを踏まえ、G7や国際機関で連携して対処していく方針を確認したと明らかにしました。

一方、来年、日本が議長国を務めるG7サミット=主要7か国首脳会議について、被爆地で岸田総理大臣の地元の広島市で開催する方針をバイデン大統領に伝え、成功に向けてともに取り組んでいくことを確認したと明らかにしました。

このほか岸田総理大臣は「私から安全保障理事会を含めた国連の改革と強化の必要性を述べ、バイデン大統領から改革された安保理において、日本が常任理事国となることを支持するとの表明があった」と述べました。

バイデン大統領 「台湾海峡の平和と安定の維持を支持」

日米首脳会談のあとの共同記者会見で、バイデン大統領は「アメリカは日本の防衛について揺らぐことはない。安全保障環境が厳しさが増す中で、さらに協力を深めることを歓迎する」と述べ、日米同盟をさらに発展させていく考えを示しました。

そのうえで中国を念頭に「台湾海峡の平和と安定を維持することを支持し、東シナ海と南シナ海での航行の自由を促進し、北朝鮮を抑止することを望む」と述べました。

また、24日に行われる日米豪印の4か国でつくる枠組み、クアッドの首脳会合については「オーストラリア、インドとともに、民主主義の国どうしの連携によって大きな成果を上げることを世界に示す。インド太平洋地域の未来に向けた前向きなビジョンを前進させるための機会に感謝する」と述べ、期待感を示しました。

また、みずからが提唱する新たな経済連携IPEF=インド太平洋経済枠組みについては「この枠組みはデジタル経済の安全性と信頼性の改善、労働者の保護、サプライチェーンの強化、そして国民に奉仕する能力を奪う汚職問題の取り組みによって21世紀における経済的競争力を確保するための最も重要な課題に地域のパートナーとともに取り組むものだ」と意気込みを述べました。
さらに、ウクライナへの軍事侵攻で力による現状変更への試みが行われていることについては「日米は民主主義国家として、経済大国として、力強さを示している。われわれの協力は、特に、プーチンの残酷なウクライナでの戦争の責任を追及するために不可欠だ。ウクライナの人々を支援することは、ルールに基づく国際秩序を守るというわれわれの意思について、強いメッセージを送っている」と述べました。

また来年、日本で開催されるG7サミット=主要7か国首脳会議については「広島で開催するという岸田総理大臣による発表を歓迎する」と述べました。

一方、中国の輸入品に課している関税について、記者から一部を撤廃する考えはあるのか質問されたのに対し「前政権によって課された関税であり、現在、対応を検討中だ」と述べました。