サッカーW杯審判員の山下良美さん 女性初選出の意気込み語る

ことし11月に開幕するサッカーワールドカップの審判員に女性で初めて選ばれた山下良美さんが20日取材に応じ、「日本人としての誇りと責任を胸に自分ができる最大限の準備をしたい」と意気込みを話しました。

FIFAは19日、ことし11月に開幕するワールドカップカタール大会を担当する審判員、合わせて129人を発表し、このうち、主審の候補として女性で初めて山下良美さんが入りました。

これを受けて山下さんは20日、オンラインで取材に応じ、「ワールドカップは夢のまた夢と思っていたので正直なところ驚いたというのが最初の気持ちです。そこからうれしさがあふれてきて幸せや感謝の気持ちがわき上がってきた」と受け止めを話しました。

山下さんは36歳。女子の試合では去年の東京オリンピックで主審をしたほか、男子の試合では先月のアジアチャンピオンズリーグで女性として初めて主審を務めました。

山下さんは半年後に迫ったワールドカップに向けて「最高峰の大会なのでスピードや展開力に対応しないといけないがいつもどおりのパフォーマンスが出せるように日々、努力したい。日本人としての誇りと責任を胸に自分ができる最大限の準備をしたい」と意気込みを話しました。

また、日本サッカー協会の扇谷健司審判委員長は「スピードがあり、芯の強さがあるのが山下さんのすばらしいところ。山下さんの活躍によって日本サッカーの中で審判員を目指す女性が増えていけばいい」と話していました。

国際審判員は狭き門

日本サッカー協会によりますと、試合で審判を務めるためには資格が必要でことし4月の時点で26万7000人あまりが登録されています。

レベルに応じて4級から1級まであり、このうち、Jリーグの試合で主審を担当できる「1級審判員」は全国でわずか212人にとどまります。

競技規則の理解に加え、スピードや持久力を体力テストなどの厳しい審査があり、山下さんはこうした審査を経て2019年12月に1級審判員に登録され、去年5月からはJリーグの試合で主審を務めています。

そして、この中でもさらに優れていると判断された人が国際試合を担当できる国際審判員になることができるということです。

山下さんはふだん、スポーツ施設でアルバイトとして働いていて、仕事が終わったあとにほぼ毎日、1時間から2時間程度、トレーニングをしているということです。

山下さんは「インターバル走やステップのトレーニングをしたり長い距離を走ってスタミナをつけたりしている。筋力トレーニングもしていろんな力をつけられるようにしている」と話していました。

また、男子の試合を担当するときに心がけている点について「予測がすごく大事だと思う。選手と同じ距離を同じタイミングで走り出したらとても追いつかない。予測して先に走ったり選手よりも短い距離を走ったりして差を埋めている」と話していました。