知床 観光船沈没 「知床遊覧船」事務所を捜索 海上保安庁

北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、海上保安庁は業務上過失致死の疑いで観光船の運航会社の事務所の捜索を始めました。
天候が荒れることを認識しながら出航を決めたことや、電波が届かないエリアがあるにもかかわらず船の通信設備として携帯電話を申請するなどした会社の安全管理体制について捜査することにしています。

北海道斜里町にある観光船の運航会社「知床遊覧船」の事務所には午前10時ごろ、第1管区海上保安本部の捜査員が入り、業務上過失致死の疑いで捜索を行っています。

また会社の桂田精一社長の自宅や、観光船「KAZU 1」(19トン)の豊田徳幸船長の自宅でも捜索が行われています。

4月23日に北海道の知床半島の沖合で26人が乗った観光船「KAZU 1」が沈没した事故では、これまでに14人が死亡、12人がいまも行方不明となっています。
これまでの海上保安庁の調べで事故当日の朝、会社の桂田精一社長と豊田船長が午後に天気が荒れる可能性があると認識しながら、港の周辺の波や風は出航を取りやめる会社の基準を超えていないとして出航を決めたことがわかっています。

そのうえで社長と船長は海が荒れた場合は引き返す「条件付きの運航」を申し合わせたということで、海上保安庁はこうした判断が問題がなかったか捜査することにしています。

さらに会社側が船への搭載が義務づけられている陸上との通信設備として、電波が届かないエリアがあるにもかかわらず携帯電話を申請したことなども明らかになっていて、安全管理体制について詳しく調べることにしています。

豊田船長の自宅も捜索

午前10時45分ごろ、斜里町にある豊田徳幸船長の自宅があるアパートに海上保安庁の捜査員4、5人が家宅捜索に入りました。捜査員は2つの部屋を出入りしていました。

その後、午前11時10分ごろ、捜査員が書類のようなものが入った箱を持って部屋から出ていくのが確認できました。

桂田社長の自宅も捜索

正午すぎには、斜里町にある運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長の自宅にも海上保安庁の捜査員2人が捜索に入りました。

桂田社長 報道陣の呼びかけには応じず

海上保安庁による捜索が行われている斜里町の運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長は午後3時45分ごろ、事務所を出ました。

そして報道陣の呼びかけには応じず、車に乗って事務所を離れました。

午後8時ごろ捜索は終了

観光船の運航会社「知床遊覧船」への捜索は、開始から10時間以上がたった2日午後8時ごろに終わり、海上保安庁の捜査員は、押収した資料が入っているとみられる段ボール箱を次々と運び出していました。