【詳報】トルコで大地震 死者計5000人超 非常事態を宣言

6日にトルコ南部で発生した一連の地震では、トルコ政府によりますと、これまでに国内で3419人が死亡したほか、隣国シリアでは保健省などによりますと少なくとも1600人が死亡し、両国の死者はあわせて5000人以上となりました。

トルコのエルドアン大統領は7日、今回の地震で大きな被害を受けた10の県を対象に救助や支援活動を迅速に行うため3か月間の非常事態を宣言しました。

現地の状況や、各国の救援の動きなど最新情報を時系列にまとめています。
(※日本とトルコとの時差は6時間 原則日本時間で表記します)

国外から救助隊約1400人到着も移動の車両不足

OCHA=国連人道問題調整事務所は7日、これまでにトルコ国外から12の救助隊、およそ1400人がトルコに到着し、8日までにさらに27チームが到着する見通しを明らかにしました。

ただ、相次ぐ地震による被害で陸路による被災地へのアクセスが限られるほか、救助隊が活動する場所まで移動するための車両も不足していて、ヘリコプターやほかの地域からの車両の手配を試みているということです。

また、同じく大きな被害がでているシリア北西部の被災地に人道支援物資を運び入れる活動も進めているとしています。

WHO「被災者最大2300万人に上る可能性」

トルコ南部のシリア国境近くで起きた地震について、WHO=世界保健機関はトルコとシリア両国の被災者の数は、最大で2300万人に上る可能性があるという見方を示しました。

これはスイスのジュネーブにあるWHOで開かれた会議で7日、緊急事態に対応する担当者が明らかにしたものです。

この担当者は「地震の被害状況からすると、2300万人が被災者になる可能性がある」とした上で「被災地では民間のインフラ設備や医療施設などが被害を受けた可能性がある」と指摘し、国際社会からの長期的な支援の必要性を訴えました。

また会議ではテドロス事務局長が「もはや時間との戦いだ」と述べ、国連の関連機関が被災地への緊急支援を実施していると明らかにしました。

「極めてまれな”双子地震”発生か」 専門家

筑波大学の八木勇治教授は世界各地で観測された地震計のデータをもとに、トルコ南東部の大地震の断層の動きを解析しました。

八木教授によりますと今回の地震の震源域にはアルファベットのVを横に倒したように交わる2つの断層があります。

このうち、最初に地震が起きたのは南西から北東にのびる東アナトリア断層帯です。日本時間の6日午前10時すぎに、マグニチュード7.8の大地震が起きました。このとき1分ほどかけて北東の方向へと地下の岩盤の破壊が広がり、長さおよそ50キロ、およそ10メートルにわたって大きくずれ動いたとみられることが解析の結果から明らかになりました。

そのおよそ9時間後には最初の大地震の震源から100キロほど北に離れた東西に走る断層でマグニチュード7.5の地震が発生しました。この断層も長さ40キロほどおよそ10メートルにわたってずれ動いたとみられています。2つの断層の交わる角度はおよそ30度です。八木教授はこうした鋭角に並ぶ断層帯で短期間に規模の大きな地震が相次ぐことは珍しいと指摘しています。

筑波大学 八木勇治教授

「断層の延長線上で別の地震が起こることはよくあるが、鋭角に交わった断層で短い間に地震が続くのは極めてまれだ。トルコ南東部はほかにも断層が複雑に並んでいて、一回の地震でエネルギーをすべて解放しきれていない可能性がある。今後の活動に注意が必要だ」。

がれきの下から少年少女 救出

トルコ南部のシリア国境近くで起きた地震では、トルコとシリアの両国で多くの建物が倒壊するなどの被害が出ています。こうした中、シリアの北西部の反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体はシリア北部で、6日、倒壊した建物のがれきの中から子どもたちが救助隊員に救出される映像を配信しました。

このうち下半身ががれきに埋まってしまった女の子は、救助隊員に「怖くないよ」などと、励まされながら、助け出されていました。また、がれきなどの間にできたわずかな隙間に取り残された男の子も救助隊員に救出されていました。

国境なき医師団「戦争で疲弊のシリアにさらなる困難」

国際NGO「国境なき医師団」は、地震を受けてシリア北西部ですでに医療支援を始めています。現地の医療施設は患者の対応でひっ迫していて、地震発生後の数時間でおよそ200人のけが人を治療するなど、対応にあたっているということです。

「国境なき医師団」の現地活動責任者のセバスチャン・ゲイ氏は「今回の地震は、長年の戦争で疲弊しているシリア北西部の人々にさらなる困難を突きつけています。この大災害の規模に見あった国際的な援助が必要です」とコメントしています。

また、「国境なき医師団」では、シリア北西部イドリブにいたスタッフ1人が自宅のがれきの下で亡くなっているのが見つかったということです。

震源近くにいた日本人「経験したことない揺れ 早く支援を」

シリア難民の支援にあたる国際NGO「難民を助ける会」のトルコ事務所に駐在している樋口正康さんは地震が起きたとき、トルコ南部の震源に近い地域にいました。

NHKの取材に応じた樋口さんは地震当時の様子について「ポーンという音があって揺れが始まり、人が叫んだり、ものが倒れたりした。経験したことのない揺れが30秒から1分ほど続いた」と振り返りました。

そして、1日たった現地の様子について揺れを感じる地震がいまも続き、雪も積もっているとした上で「建物によっては崩落の危険性があるから入ってはいけないと言われ、車の中や公園のベンチで寝た人が多かったと聞いている。寒さで大変だったのではないか」と話しました。

また「私が把握しているかぎり、きのう、水のほか缶詰など保存できるものは売れてしまい、ほとんど店に残っていない。個人商店ではすぐに営業を再開するのは難しいのではないか」と話し、物資の不足が懸念されると指摘しました。

そして、樋口さんは毛布などの防寒具や子ども向けのおむつなどが必要だとして、国際社会に支援を呼びかけました。また、被災した地域にはシリアの難民も多く暮らしていて樋口さんは「シリア難民はより生活が苦しくあまり長くは待てない状況なので、早く支援が届くことが重要だ」と話していました。

17:30ごろ トルコとシリア両国で計5000人以上死亡

トルコ政府によりますとこれまでに3419人が死亡し、2万人以上がけがをしたということです。また、倒壊した建物は5700棟を超えるということです。

一方、シリアでは、保健省が北西部を中心にこれまでに812人が死亡したと発表しているほか、北西部の反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体は少なくとも790人が死亡したとしています。

これらの発表によりますと、一連の地震による死者はトルコとシリアの両国であわせて5000人以上にのぼっています。

日本在住のクルド人「現地で雪 少しでも早く支援を」

東京・北区でレストランを経営するクルド人のチョーラク・ワッカスさんは現地時間の6日早朝に起きたマグニチュード7.8の地震の震源とされるトルコ南部のガジアンテプ付近から北に40キロほど離れたカフラマンマラシュに家族や親類が住んでいます。

7日、チョーラクさんは親類に通信アプリで連絡をとり、現地の家族や親類が無事であることを確認しました。ただ、現地の親類は雪が降る中、自宅が倒壊して中に入れなくなり車の荷台に暖房器具をのせ過ごしているということです。

現地の親戚の男性は、「いまは雪が降りとても寒いです。自宅が倒壊して住む家がありません。寒さがとても困ります」と話していました。チョーラクさんは、「無事を確認できてほっとしましたが現地ではまだ支援の手が届いていない状況のようです。少しでも早く支援が届いてほしいです」と話していました。

トルコ南部の日本人女性「東日本大震災の横浜より大きな揺れ」

神奈川県出身でトルコ南部のメルシンに住む日本人の女性の落合リザさん(34)に当時の状況を聞きました。落合さんが暮らすメルシンは、現地時間の6日早朝に起きたマグニチュード7.8の地震の震源とされるガジアンテプ付近から西におよそ200キロ離れています。

落合さんは地震が起きた時、自宅のアパートの部屋で寝ていましたが徐々に揺れが大きくなり、バルコニーから外を見るとほかの人たちが避難していたため急いで外に出たということです。

落合さんは、「真っ暗で大雨の中、靴も履かずに逃げました。東日本大震災の時は横浜市にいましたが、その時よりも大きな揺れを感じました。トルコは耐震性のあるビルが少ないので自宅が崩れると思い不安になり避難しました」と振り返りました。

その後、落合さんは知人の車の中で数時間過ごして自宅に戻りましたが、家のなかの家具が倒れ余震が頻繁に起きていたため、近くのホテルに避難したということです。落合さんによりますと、今のところ、滞在しているホテルの周りでは建物が壊れるなど大きな被害は見られないということです。

一方、現地で必要な支援については「ここから車で1時間ほど離れたアダナという地域では家が崩れて帰れない人が多いようです。いまは寒い時期なので毛布など防寒具が必要だと思います」と話していました。

韓国 緊急救護隊 約110人派遣へ

今回の地震で、韓国政府は、陸軍の部隊や外務省の職員、救助隊員などで構成する緊急救護隊を、トルコに派遣することを決めました。

救護隊は当初60人規模の予定でしたが、被害が拡大していることを受けてさらに人数を増やし、およそ110人を派遣するとしています。派遣時期についてトルコ側と協議をした上で、医薬品などの緊急支援物資とともに軍の輸送機で出発できるよう準備を進めています。

また、トルコに対して500万ドル、日本円でおよそ6億6000万円規模の人道支援を行うほか、大きな被害が出ている隣国のシリアに対しても、国際機関からの要請があれば支援を行う予定だとしています。

中国 約7億8000万円相当の支援へ

国営の中国中央テレビによりますと、中国政府は、今回の地震を受けてトルコに対して、あわせて4000万人民元、日本円でおよそ7億8000万円相当の支援を行うということです。

この額には、救援隊や医療隊の派遣のほか、救援物資の提供などにかかる費用が含まれているとしています。また、シリアとも救援物資の提供について調整を進めているとしています。

15:00ごろ トルコ・シリア両国の死者4900人以上に

トルコの防災当局によりますと、これまでに3381人が死亡し、2万人以上がけがをしたということです。また、倒壊した建物は5700棟を超えるということです。

一方、隣国のシリアでは保健省がシリア北西部を中心にこれまでに769人が死亡したと発表しているほか、北西部の反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体は少なくとも790人が死亡したとしています。

14:00ごろ 避難所のテントに多くの市民「寒く 支援が必要」

トルコ南部のアダナ市内にある市場や隣接する公園には、避難所が設けられています。避難所には災害対応にあたる当局のテントがいくつも設置され、多くの市民が身を寄せていました。

50代の女性は「息子家族5人が住む住宅が倒壊して、今も助けが来ない。政府には救助を急いでほしい。テントは寒く、支援が必要です」と泣きながら訴えていました。

また、避難していた20代の女性は「地震は本当に大きな揺れで恐ろしかった。家にいるのが怖いのでここに避難しています。助けが必要です」と話していました。

13:00ごろ 建物倒壊 たき火で暖をとる市民の姿も

トルコ南部のアダナでは複数の建物が倒壊し、地震の発生から24時間余りがたった7日午前(現地時間)も救助活動が続けられていました。高層住宅が倒壊した現場では大型の重機を使ってがれきを取り除き、取り残されている人がいないか、慎重に確認しながら作業を進めていました。

通りでは、寒さをしのごうとたき火で暖をとる市民の姿もあちらこちらで見られました。

日本で働くトルコ人男性 “親族と連絡取とれず”

愛媛県内で働くトルコ人の男性はいまも現地で連絡のとれない親族がいるということで、不安な心境を語りました。トルコ人のムラット・ダスキランさんは、17年前に来日し、松山市で英語教育を行うインターナショナルプリスクールを経営しています。

両親は被災地から離れたイスタンブールに住んでいて、地震のあとすぐに連絡がつながりましたが、被災地に近い地域に住む叔父やいとこは、メッセージを送っても返信が来ないといいます。インターネットなどで現地のニュースを常に確認しているというムラットさんは「叔父たちが心配で、このようなことが起きてとても悲しいです。現地はいまの時期とても寒く、被災した人たちが早く助かってほしいです」と話していました。

7日は、園に通う子どもたちと地震で犠牲になった人への哀悼の意を込めて、トルコの国旗やハートをあしらったクラフト作品を作ったということで、「私にはいまこれぐらいしかできません。とにかく被害が広がらないよう心から祈っています」と話していました。

11:00ごろ トルコ・シリア両国の死者4300人以上に

トルコの防災当局によりますとこれまでに2921人が死亡しました。また、倒壊した建物は4700棟を超えるということです。

一方、隣国のシリアでは保健省がシリア北西部を中心にこれまでに711人が死亡したと発表しているほか、北西部の反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体は少なくとも700人が死亡したとしています。

これらの発表によりますと、トルコとシリアの両国での死者はこれまでに4300人以上に上っています。現地ではその後も地震がたびたび起きていて、被害の拡大も懸念されています。

警視庁 救助隊派遣へ 救助犬も

トルコ南部のシリア国境近くで発生した地震で警視庁は7日、現地での救助活動などに当たる警察官や救助犬を派遣することになりました。

派遣されるのは、特殊救助隊などに所属する警視庁の警察官13人と救助犬4頭です。部隊は、7日夜、日本を出発し、すでに派遣されている国際緊急援助隊と現地で合流した上で、捜索や救助などに当たるということです。

9:50ごろ 松野官房長官「現時点までに邦人の被害情報なし」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「現時点までに在留邦人の生命や身体に被害が及んでいるとの情報には接していない。地震発生直後に注意を呼び掛けるメールを発出しており、今後も情報収集や在留邦人の安全確保に万全を期すとともに、被害を受けた地域への必要な支援を検討していく」と述べました。

8:00ごろ トルコ・シリア両国の死者3790人に

トルコの防災当局によりますとこれまでに2379人が死亡し、1万4000人あまりがけがをしたということです。一方、隣国のシリアでは保健省がシリア北西部を中心にこれまでに711人が死亡したと発表しているほか、北西部の反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体は少なくとも700人が死亡したとしています。トルコとシリアの両国の死者はあわせて3790人となっています。

シリアでも救出活動続く(シリア北部アレッポ)

国連総会では冒頭に1分間の黙とう

現地時間の6日に開かれた国連総会の会合では冒頭、1分間の黙とうがささげられました。このあとグテーレス事務総長は演説で、国連として緊急支援を行うと表明した上で、各国に対しても「被害を受けたすべての人たちを支援するため連帯して協力しよう」と呼びかけました。

一方、シリアのサッバーグ国連大使は6日、ニューヨークの国連本部で急きょ記者会見を開き「地震によってシリアは壊滅的な状況にあり、支援のために国連のあらゆる努力を結集するよう要請している」と述べ、シリア政府として国連とすべての国連加盟国に対し、医療サービスや避難所、それに食料などといった支援を要請したことを明らかにしました。また「支援はシリア政府と調整することができ、その準備ができている」と述べ、支援はあくまでもアサド政権を通じて行われるべきだという考えを示しました。

6:45ごろ トルコとシリアの両国の死者3700人超に

トルコの防災当局によりますとこれまでに2316人が死亡したということです。一方、隣国のシリアでは保健省がシリア北西部を中心にこれまでに711人が死亡したと発表しているほか、北西部の反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体は少なくとも700人が死亡したとしています。トルコとシリアの両国の死者はあわせて3727人となっています。

6:30 南部都市のマンション倒壊現場で捜索続く

地震で被害を受けたトルコ南部の都市アダナにあるマンションの倒壊現場では、現地時間7日未明、救助隊が重機を使って建物のがれきを取り除きながら、行方がわからない人の捜索にあたっていました。

周辺では、未明にも関わらず、倒壊したマンションの住民らが心配そうな様子で捜索の様子を見守っていました。

いとこがこのマンションに暮らしているという男子大学生は「いとことは兄弟のように育った仲です。とにかく現場にかけつけましたが、まだ起きていることが受けとめられません。いとこやその妻、それに3歳の息子の行方がわかっておらず、無事でいてくれることを願うばかりです」と話していました。

国際赤十字・赤新月社連盟 募金を呼びかけ

スイスのジュネーブにある国際赤十字・赤新月社連盟は6日緊急の声明を発表し、被害が出ているトルコとシリアの人たちを支援するため、国際社会に対し、募金を呼びかけました。声明では「被災地での支援の必要性は、分刻みで高まっていて、救助隊はがれきの下に閉じ込められた生存者の救出を急いでいる」としています。その上であわせて7000万スイス・フラン、日本円にして、およそ99億1900万円を集めたいとしています。団体では「人道支援を行うための世界的な連帯を強化していくことが、この先、数週間から数か月にわたる復旧には不可欠だ」と訴えています。

4:30ごろ トルコ・シリア両国の死者3000人超に

トルコの防災当局によりますとこれまでに1762人が死亡し、1万2000人あまりがけがをしたということです。また、倒壊した建物は5600棟を超えるということです。一方、隣国のシリアでは保健省がシリア北西部を中心にこれまでに593人が死亡したと発表しているほか、北西部の反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体は少なくとも700人が死亡したとしています。トルコとシリアの両国の死者はあわせて3055人となっています。

4:00すぎ 南部の都市アダナの空港には救助隊が続々と

トルコ南部の都市アダナの空港には、現地時間6日夜遅く、日本時間の早朝、レバノンやルーマニアなど被災地で救助にあたる各国の部隊が資機材を持って続々と到着していました。このうち、レバノン軍の男性は「被害が大きいようなので、しっかり任務を果たしたい。長い滞在になりそうだ」と話していました。また、空港には親族と連絡が取れずに急きょ帰国した人の姿もあり、南部アンタキヤに住むトラック運転手の男性は「親戚から自宅が全壊したと連絡があったが妻と4人の子どもと連絡が取れない。どうか無事でいてほしい」と話していました。

集合住宅も多数倒壊(トルコ南部ハタイ県)

       □□7日□□

米 バイデン大統領がトルコにチーム派遣へ

アメリカのホワイトハウスによりますと、今回の地震を受けてアメリカのバイデン大統領は6日、トルコのエルドアン大統領と電話で会談し、犠牲者に哀悼の意を表すとともにトルコにすみやかにチームを派遣し、救助活動やけが人の対応などにあたると伝えたということです。また、バイデン大統領が発表した声明によりますと、シリアについてもアメリカ政府が支援する人道支援団体がすでに対応を進めているとしています。

OCHA=国連人道問題調整事務所が現状の報告書

この中で「今回の地震は、人道支援に頼っている410万人が暮らすシリア北西部の地域に大きな影響を与えた。人道支援を頼りにしている人の多くは女性と子どもだ。被害を受けた地域は、コレラの発生に加え、大雨や雪など、冬の厳しい天候による影響も同時に受けている」として、国際社会に支援の必要性を訴えています。

フランスやイタリアも救助隊などの派遣を発表

フランス政府は、被災地に136人の救助隊員と10頭の災害救助犬を派遣したと発表しました。一方イタリアの防災当局は現地時間の6日、NHKの取材に対し、緊急支援物資を積んだ航空機が、トルコの空軍基地に到着したとした上で、消防士などで構成された30人のチームが被災地で捜索や救助にあたると述べました。また今後、医薬品などの支援物資を被災地に送るほか、7日にはテントや食料などの緊急支援物資あわせて12トンを積んだ航空機がトルコに向けて出発するとしています。

ロシア シリアとトルコに救助隊派遣へ

ロシア大統領府は現地時間6日、今回の地震をうけてプーチン大統領がシリアのアサド大統領と電話会談を行い、犠牲者に哀悼の意を表すとともに必要な支援を行うことを申し出たということです。これに対しアサド大統領は謝意を示して申し出を受け入れたため、ロシア非常事態省の救助隊が数時間以内に派遣されることになったとしています。

さらに、ロシア国防省によりますと、ショイグ国防相がシリアに駐留するロシア軍に対して被災地の支援を指示し、300人以上のロシア兵が作業に参加しているということです。また、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領はトルコのエルドアン大統領とも電話会談して、支援を申し出たということでエルドアン大統領は謝意を示し、ロシアの救助隊を受け入れるようトルコの関係当局に指示したとしています。

台湾 130人の捜索救助隊派遣へ 最初の40人が出発

今回の地震を受けて台湾当局は総勢130人からなる捜索救助隊を編成し、このうち40人を6日夜遅く、桃園国際空港からトルコの被災地に派遣しました。残りの90人も7日に出発するということです。また、台湾当局は、被災者の救援にあてるための現金20万ドル、およそ2600万円をトルコ政府に贈ることも表明しました。

23:00ごろ トルコ・シリア両国の死者2300人

6日にトルコ南東部で発生した一連の地震では、現地の防災当局によりますと、これまでにトルコ国内で1498人が死亡したほか、隣国シリアでは保健省などによりますと815人が死亡し、両国の死者はあわせて2313人となりました。

23:00ごろ 日本から国際消防救助隊第1陣18人出発

外務省によりますと、国際消防救助隊にはおよそ75人が派遣される予定で、このうち18人が第1陣として6日午後11時すぎに羽田空港からトルコのイスタンブールに向かいました。

派遣された隊員には消防や警察、それに海上保安庁のほか、JICA=国際協力機構の職員も含まれています。また7日以降、第2陣を派遣する方針で、関係機関と調整を進めているということです。

国際緊急援助隊は2017年に360人あまりが死亡したメキシコ中部の地震や、2011年にニュージーランド・クライストチャーチで起きた地震の際にも派遣され、倒壊した建物の下敷きになった人たちなどの救助にあたりました。

また、1万7000人以上が死亡した1999年のトルコ西部の都市、イズミットを震源とするマグニチュード7.4の地震でも現地で救助にあたったということです。

英政府 捜索・救助隊と医療チームを派遣

イギリス政府はトルコ政府の要請を受けて被災地に捜索・救助隊と医療チームを派遣することを決め、現地の6日夜に到着する予定だと発表しました。

捜索・救助隊は隊員76人と災害救助犬4頭からなり、がれきの中から人を捜す音響探知機や、コンクリートを切ったりがれきを持ち上げたりする特殊な器材を使って救助活動にあたるということです。

クレバリー外相は「必要に応じてさらなる支援をする用意がある」とコメントしています。また、シリアについては国連と連携して緊急の人道支援を行うとしています。

岸田首相がお見舞いのメッセージ

岸田総理大臣は6日夜、エルドアン大統領宛てにお見舞いのメッセージを発出しました。

この中では「地震により多くの死傷者が生じたことに大変心を痛めています。亡くなられた方々に心からの弔意を表するとともに被災された方々にお見舞い申し上げ、被害に遭われた方々の早期回復をお祈り致します。日本は現地のニーズを踏まえて、トルコが必要とする可能なかぎりの支援を行う用意があることをお伝えします」としています。

21:00 トルコ・シリア両国の死者は1600人超に

トルコの防災当局によりますとこれまでに1014人が死亡し、5300人あまりがけがをしたということです。また、倒壊した建物は2800棟を超えるとしています。隣国シリアでは、保健省がシリア北西部を中心にこれまでに403人が死亡したと発表しているほか、北西部の反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体は少なくとも221人が死亡したとしています。トルコとシリアの両国の死者はあわせて1638人となっています。

EU 加盟国から救助チームの派遣を発表

EU=ヨーロッパ連合は6日、加盟国のフランスやオランダ、ギリシャやブルガリアなどから救助チームをトルコに派遣したと発表しました。さらなる支援についてもトルコの当局と調整しているということです。また、シリアについても人道支援の用意があるとしています。

専門家「建物の耐震性低く新たな被害発生も」

トルコの地震に詳しい名古屋大学地震火山研究センターの田所敬一准教授は「トルコの東部にはアラビアプレートとアナトリアプレートがぶつかり合う東アナトリア断層という大きな断層があり、地震が多い地域だ。今回はプレートの境界付近で起きた『横ずれ』と呼ばれるタイプの地震と考えられる」と話しています。

田所准教授は、1999年にトルコ北西部で発生したマグニチュード7クラスの大地震の調査を踏まえ、「トルコなど中東ではレンガを積み重ねた構造の建物が多く、非常に崩れやすく耐震性の低い建物がほとんどなので被害も大きくなると思う」と指摘したうえで、現地からの映像では1999年の地震のようにレンガの建物が大きく崩れている印象があるとしています。

最初の大地震の震源付近で再びマグニチュード7クラスの大地震が発生するなど断層に沿うように地震が続いていて、今後も規模の大きな地震に注意が必要だと指摘しています。

19:30ごろ 再びの大地震で被害が拡大 建物の倒壊も

現地ではその後も地震が続いていて、トルコの防災当局によりますと日本時間の6日午後7時半ごろ同じカフラマンマラシュ県を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生したということです。

南東部のディヤルバクル県で撮影された映像には、重機などを使った救助活動が行われる中、近くの建物の一部が音をたてて崩れ落ちる瞬間がとらえられています。
(マグニチュードは後に修正されています)
また、同じ南東部にあるマラティヤ県で撮影された映像にも、建物が崩れ落ちる様子や、近くにいた人たちが土ぼこりから間一髪で逃れる様子が写っています。

仏 マクロン大統領「緊急支援提供の準備」

トルコで起きた地震を受けてフランスのマクロン大統領は6日、「フランスは、現地の人々に緊急支援を提供する準備ができている。私たちの思いは地震で亡くなった人たちの遺族の皆さんとともにある」とツイッターに投稿しました。

ロシア プーチン大統領「支援提供 準備できている」

ロシア大統領府によりますと、今回の地震をうけて、プーチン大統領は6日、トルコのエルドアン大統領とシリアのアサド大統領にそれぞれ弔電を送り、犠牲者に哀悼の意を表しました。そのうえで両首脳に対して「必要なすべての支援を提供する準備ができている」と伝えたということです。

ロシアは、内戦が続くシリアでアサド政権に軍事支援を行うためフメイミム空軍基地などに軍の部隊を駐留させていますが、ロシア国防省は6日発表した声明で、ロシア軍の施設や戦闘準備態勢に地震の影響はないとしています。

16:00すぎ 松野官房長官「在留邦人の被害情報なし」

松野官房長官は、記者会見で「亡くなられた方々やそのご家族に心からの哀悼の意を表するとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げる。被害状況は確認中であり、それを踏まえ必要な支援を検討していく」と述べました。

一方で「現時点までに、在留邦人の生命・身体に被害が及んでいるとの情報には接していない。現地当局と連携しつつ、現地大使館が情報収集に努めているところで、在留邦人には注意を呼びかける領事メールを発出した」と述べました。

日本のNPOもスタッフ現地派遣へ

トルコ南東部のシリア国境近くでマグニチュード7クラスの大地震があったことを受け、日本国内でもNPOが医師や看護師を現地に派遣することを決めるなど支援の動きが出ています。

現地にスタッフを派遣するのは広島県に本部があるNPO「ピースウィンズ・ジャパン」で災害救助の経験がある医師2人、看護師1人を含むスタッフ5人が6日夜、日本を出発するということです。

被災地では、現地の支援団体と協力してけが人の手当てや必要な支援物資の調査などを行う予定だということです。

トルコ 過去にも大きな地震

トルコでは、これまでも大きな被害が出る地震が起きています。

▽1999年8月には、トルコ西部の都市、イズミットを震源とするマグニチュード7.4の大地震が起き、1万7000人以上が死亡しました。
▽2011年10月には、イランとの国境に近い東部のワン県の周辺で地震が起きて、600人以上が犠牲になっています。
▽2020年10月には、トルコとギリシャの間のエーゲ海を震源とする地震が起き、100人以上が死亡しました。

トルコメディアは、今回の地震について、1999年以来の大地震とも伝えています。

アメリカが関係機関に支援検討を指示

アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は、現地時間の5日に声明を発表し「アメリカはトルコとシリアでの破壊的な地震を深く憂慮している。われわれは、あらゆる必要な支援を提供する用意をしている」と述べました。その上で、バイデン大統領が被災地への支援策を検討するようアメリカ国務省傘下のUSAID=アメリカ国際開発庁や関係機関に指示したことを明らかにしました。

14:00ごろ トルコ・シリア両国で死者100人超か

トルコの防災当局によりますと、この地震でこれまでに少なくとも76人が死亡、440人がけがをしたと言うことです。また、隣国シリアの国営メディアは、シリア国内でこれまでに42人が死亡したと伝え、トルコ国内とあわせて少なくとも100人以上が死亡したと見られます。

11:30すぎ トルコ大統領がSNSに投稿

トルコのエルドアン大統領は6日、「この災害を最小限の被害で抑え、一刻も早く共に乗りきれるよう願う」と自身のツイッターに投稿しました。エルドアン大統領は捜索・救助活動を行うチームを被災地にただちに派遣したとしています。

10:00すぎ M7.7の地震発生

トルコの防災当局によりますと、6日午前4時すぎ、日本時間の6日午前10時すぎに、南東部カフラマンマラシュ県を震源とするマグニチュード7.7の地震が発生しました。震源の深さは7キロと推定され、この地震で広い範囲で建物が倒壊するなどの被害が出ていて、現地では救助活動が続いています。
(マグニチュードは後に修正されています)