ミャンマーで拘束の久保田さんが帰国 “支援者や政府に感謝”

軍が実権を握るミャンマーでことし7月に治安当局に拘束され17日に解放されたジャーナリストの久保田徹さんが、18日朝、羽田空港に到着しました。
久保田さんは記者団に対し「これまで支えてくれた日本の支援者や政府に感謝したい」と述べました。

久保田さんは午前6時すぎ、羽田空港に姿を見せました。

空港には支援者や友人などおよそ30人が集まり、花束を渡してともに喜んでいました。

このあと久保田さんは記者団の取材に応じ「これまで支えてくれた日本の支援者や政府に感謝したい。ことばでは言い表せない」と今の心境を明らかにしました。

そのうえで、現地での状況について「刑務所にいる間は独房で暮らしていた。10年という刑期は重くのしかかっていた」と話しました。

また、「ミャンマーでは現地で生きなければならない人々がいて目に見えづらいが不自由を抱えている。私も逮捕されて悔しかったが彼らは何世代にもわたって悔しさを感じている」と話していました。

久保田さんはことし7月、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで軍に対する抗議デモが行われていた現場にいたところを治安当局に拘束されました。

久保田さんはその後、観光ビザで入国して抗議デモを撮影したとして、10月入国管理法違反などの罪で有罪判決を受け、合わせて10年の刑期が言い渡されていました。

現地の日本大使館によりますと、軍は17日、久保田さんを恩赦で解放すると連絡してきたということで、久保田さんはヤンゴン市内の刑務所から空港に移送され、17日夜、ミャンマーを出国していました。

ジャーナリスト北角さん “解決ではない 悪化する現状に関心を”

久保田徹さんの友人で自身も去年、ヤンゴンで治安当局におよそ1か月間拘束されたジャーナリストの北角裕樹さんは「元気で帰ってきてくれて安心しました」と話していました。

そのうえで「日本をはじめ世界中でミャンマーへの関心が薄れているからこそ、久保田さんのようにミャンマーを長年取材している人間が現地に足を運ばざるを得なかったという面があると思います。彼が解放されたからといって問題が解決されたわけではありません。政治犯はまだ1万人以上も拘束されていて、空爆でたくさんの人が殺されているなど状況は悪化しています。そういった現状にも関心をもってもらいたいです」と話していました。

松野官房長官「邦人の安全確保は政府の最も重要な責務の1つ」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「久保田氏の健康状態に特に問題がないことを確認している」と述べました。

そのうえで「ミャンマー当局に対し、久保田氏の早期解放を累次にわたり強く求めるとともに、久保田氏に対する領事面会や家族への連絡などの支援を続けてきた。海外への渡航などをする邦人の安全確保は政府の最も重要な責務の1つであり、引き続き万全を期すとともに、ミャンマー側に事態の改善に向けて強く働きかけていく」と述べました。