月探査の新たな宇宙ステーション 日本人宇宙飛行士1人参加へ

アメリカが進めている国際的な月探査計画で今後、月の周辺に建設される新たな宇宙ステーション「ゲートウェイ」での活動に、日本人宇宙飛行士が少なくとも1人参加する方向で最終調整が行われていることが分かりました。

正式に決まれば、新たな局面に入る宇宙開発で日本が存在感を示す第一歩につながると期待されます。

アメリカは、人類の宇宙への進出の足がかりとして月を探査する「アルテミス計画」を進めていて日本やヨーロッパなども参加しています。

計画では月を周回する新たな宇宙ステーション「ゲートウェイ」の建設を2024年ごろから始め、宇宙飛行士が月面に降り立つ際にも活用される予定です。

この「ゲートウェイ」での活動について、ヨーロッパやカナダに加え、日本人宇宙飛行士が少なくとも1人は参加し、2人目以降についても引き続き日米間で協議する方向で最終調整が行われていることが関係者への取材で分かりました。

「ゲートウェイ」は、地球の高度400キロ付近を回る国際宇宙ステーションよりはるかに遠い、およそ38万キロ離れた月を周回する拠点で、宇宙飛行士が滞在できる日数は、年間10日から30日ほどと限られています。

日本人宇宙飛行士が活動に参加する具体的な道筋がつけば、新たな局面に入る宇宙開発で日本が存在感を示す第一歩につながると期待されます。

「アルテミス計画」とは

アメリカは、人類の宇宙への進出の足がかりとして国際協力のもとで月を探査する「アルテミス計画」を進めています。

NASA=アメリカ航空宇宙局は今月中旬に計画の第1段階として大型ロケット「SLS」で無人の宇宙船を打ち上げ、月を周回させて地球に戻す試験飛行を行う予定です。

その後、第2段階として2024年を目標に実際に宇宙飛行士を乗せて月を周回する試験飛行を行い、第3段階として2025年を目標に宇宙飛行士が月面に降り立つ計画です。

「ゲートウェイ」とは

この「アルテミス計画」では、2024年ごろから各国の協力を得て「ゲートウェイ」と呼ばれる新たな宇宙ステーションの建設が予定されています。

「ゲートウェイ」は地球の高度400キロ付近を回る国際宇宙ステーションよりはるかに遠い、およそ38万キロ離れた月を周回する拠点で、宇宙飛行士が月面に降り立つ際に活用されるほか火星などへ向かう中継場所としての役割も担う可能性があります。

「ゲートウェイ」では、科学実験などを行う計画ですが、活動できる宇宙飛行士は1度のミッションで2人から4人で、滞在期間は年間10日から30日ほどと限られています。

「ゲートウェイ」で活動できる宇宙飛行士はこれまでの発表で少なくともヨーロッパが3人、カナダが1人としていて、ヨーロッパは宇宙飛行士の居住棟や通信システムなど、カナダはロボットアームなどを提供し、計画に協力します。

日本も無人の宇宙輸送船で「ゲートウェイ」に物資を補給するほか、生命維持のための機器などを提供する予定で、日本人宇宙飛行士の活躍の機会を確保するためアメリカ側との調整が進められています。