原付きや自転車が高速道路に アプリが誘導?「誤進入」相次ぐ

原付きバイクや自転車などが高速道路に誤って進入するケースが相次いでいます。今回、大阪府警が集計したところ去年1月から先月までに430件余りにのぼっていたことがわかりました。このうちおよそ3分の1がスマートフォンのアプリの道案内に従って進入していたということで、警察は原付きバイクなどに乗る際、アプリは高速道路を利用しない設定にするよう呼びかけています。

大阪府内では原付きバイクや自転車などが高速道路に誤って進入するケースが相次ぎ、大阪府警は去年から新たに集計を始めました。

それによりますと、去年1月から先月末までの1年9か月の間に、高速道路の通行が禁止されている原付きバイクのほか自転車や歩行者などが誤って進入したという通報が436件にのぼっていたことがわかりました。
このうちおよそ3分の1の161件はスマートフォンのアプリの道案内に従ってそのまま進入していたということで、警察は原付きバイクなどに乗る際はアプリを高速道路を利用しない設定にするよう呼びかけています。

大阪府警高速道路交通警察隊の宮原秀昭補佐は「誤って高速道路に入ると死亡事故などの重大な事故につながるおそれがある。高速道路の入り口には標識や看板で表示があるので自分の目で確認してほしい」と話しています。

まさか原付きバイクが

ことし4月、千葉県の高速道路で原付きバイクが走行する様子がドライブレコーダーに記録されていました。車を運転していた30代の男性は千葉県市川市から東京方面に向かう途中、高速道路で左側の車線を走る原付きバイクに遭遇したということです。

(車を運転していた30代の男性)
「高齢の男性が運転されていて、まさか原付きバイクが走ってると思わなかったです。危ないと思ったので距離をとって右側に大きくそれて抜かしました。車と原付きとでは相当な速度差があるので怖かったです」
(車を運転していた30代の男性)
「原付きバイクが入ってきたインターチェンジには料金所がなくて、一般道からそのまま合流できてしまうので構造に問題があると思います。今回は事故にならなかったのでよかったですが、一瞬の判断を誤ってしまうと後ろや横を走っている車にぶつかってしまって多重事故につながってしまいます。原付きバイクなどを物理的に入れないようにする方法もあるとは思いますが、ひとりひとりの運転の意識を改めるのが第1だと思います」

「ナビ通りに進んでいたら…」

なぜ、高速道路を原付きバイクや自転車が走るケースが相次ぐのか。

実際に、原付きバイクで誤って高速道路を走行したという22歳の男子大学生に話を聞きました。

この男子大学生は、去年5月ごろ、旅行先の愛媛県を原付きバイクでアプリに従って走っていたところ、気がついたら高速道路に入っていたということです。当時の様子を次のように振り返ります。
(男子大学生)
「当時は夜間で視界も悪く、ナビ通りに進んでいたら、原付きは入れないという標識が目に入って、誤って入ったことに気がつきました。周りの車のスピードも速く、冷や汗をかきました。原付きバイクは軽いので風にあおられて怖かったです」

男性はその後、安全な場所まで走りそのまま警察に連絡したということです。男性はふだんからアプリを利用し、高速道路には入らないよう原付きバイクの設定にして注意していましたが、このときは設定を間違えていたとみられるということです。

(男子大学生)
「アプリの案内を信頼していたので、自分が誤進入するとは全然予想できませんでした。事故にならなくてよかったと思っています。今は、出発前に自動車専用道路や有料道路に入らないか、道順を見て確認するようになりました。看板も、より注意して見るようになりました」

“誤進入” 若い世代が目立つ

首都高速道路では、男子大学生のように、若い世代が誤って進入するケースが目立っているということです。

首都高速道路によりますと、ここ数年、毎年400件程度の誤進入が起きていて、昨年度はおよそ40%が道案内のアプリを使用して進入していました。高速道路が案内される自動車モードのまま利用しているケースが目立ったということです。

また、86%は原付きバイクが占めたということで、これを年代別にみると、
▽10代から20代が58%と半数あまりを占め、
▽30代から40代が28%
▽50代から60代が6%
▽70代以上が6%などとなっています。

道路の構造も影響か

道路の構造も背景にあります。

大阪府内では、ことしに入って9月末までに、原付きバイクや自転車などが高速道路に誤って進入したケースは174件ありました。

このうち最も多かったのは、名神高速道路の豊中インターで19件、次いで、近畿自動車道の八尾インターで12件などとなっています。
豊中インターチェンジでは、3車線のうち、左側にそれる道が一般道、直進する道が高速道路となっていて、土地勘が無い人には分かりづらい構造でした。

警察も誤進入が発生しやすいのは、一般道から高速道路に入る分岐が入り組んでいたり、料金所までの距離が長かったりする入り口だとしていて、料金所のスタッフが気づいて通報するケースが多いということです。

対策進める高速道路会社

高速道路会社では対策を進めています。
阪神高速道路では、運転手が目で見てわかるように
▽出入り口の道路を緑色に塗装したり、
▽「有料」と大きく書かれた赤色の看板を設置したりしています。

また、入り口に映像を分析できるAIカメラを設置し、原付きバイクなどの進入を検知すると「危険です。ご注意ください」と音声で警告するシステムを導入しています。
また、首都高速道路では「首都高」、「入口」、「立入禁止」と書かれたポールを複数設置しているほか、カメラで誤進入を見つけるとブザーが鳴り、交通管制室で監視しているスタッフが「ここは首都高入口です」と直接、警告します。

アプリの設定確認して

今回、道案内のアプリを使う中で、誤って高速道路に進入してしまうケースがあることが見えてきました。

アプリは便利なものですが、使い方を間違えると危険な状況につながりかねませんので、注意が必要です。

アプリを使う場合は「高速道路を使わない」という設定にすれば、一般道だけの道案内になります。設定をきちんとした上で、実際に走行する際には入り口の標識をしっかり確認することが大切です。

それでも、誤進入してしまった時は、まずは安全な場所まで移動した上で、警察や高速道路会社に通報してください。急に止まったり、Uターンして戻るのは危険なので絶対にやめてください。警察などの誘導で安全に出口まで向かうようにしてください。