100年前 日本の商船が戦火の住民救出 ギリシャでたたえる催し

100年前、ギリシャとトルコの戦火に巻き込まれたエーゲ海沿岸の町から住民たちを救出したとされる、日本の商船の功績をたたえようと、23日、ギリシャの首都アテネで記念の催しが開かれました。

第1次世界大戦後の1922年9月、日本の商船「東慶丸」は、ギリシャとトルコの戦争に巻き込まれたエーゲ海沿岸の港町から、住民数百人を救出したとされています。

こうした功績をたたえようと、救出からことしで100年となるのに合わせて、ギリシャの日本大使館や地元の美術館が、23日、アテネで記念の催しを開き、およそ250人が参加しました。

はじめに日本大使館の中山泰則大使があいさつし「日本船の英雄的な行為に対して感謝の気持ちを伝えたいという人々と出会い、大使としてこの出来事を広く知らしめていくという使命を感じている」と述べ、功績をたたえました。

またギリシャのメンドーニ文化・スポーツ相は「遠く離れた国から危険を冒して私たちを助けてくれた日本船の話を伝えるのは私たちの義務だ」と述べて、謝意を示しました。

この中では、近現代ギリシャ史が専門の東洋大学の村田奈々子教授が登壇し「当時の船長は日比左三という人物だと判明した」という研究結果を紹介したうえで、全体像の解明には、なお裏付けが不可欠だという認識を示しました。

父親がこの日本船に乗り難を逃れたという78歳のギリシャ人の男性は「父がどう助かったのか詳しく知ることができて感動している。この救出劇がなければ、私も家族もここにいることはなく感謝しています」と話していました。