昆虫など生物の高精細3Dデジタル標本をオンラインで公開 九大

昆虫や魚類などの生物のおよそ1400点の高精細な3Dのデジタル標本を、九州大学がオンライン上に公開しました。
誰でも自由に閲覧でき、制作した生態学の専門家は「リアルな姿に触れて生物が多様であることへの理解を深めてほしい」としています。

九州大学「持続可能な社会のための決断科学センター」の鹿野雄一特任准教授は、被写体をさまざまな角度から撮影して3Dモデルを構築する「フォトグラメトリ」と呼ばれる手法を使って、昆虫や魚類など700種以上の生物のおよそ1400点の高精細な「デジタル標本」を作成し、オンライン上で公開しました。
デジタル標本は、さまざまな角度から見たり、拡大したりすることが可能で、このうち、ひれに毒があることで知られる「ミノカサゴ」という魚は大きな胸びれの赤や黒、乳白色の鮮やかな縞模様が観察できます。

また「カブトムシ」は体の表面の細かな凹凸や光沢といった質感に加え、拡大することで体を覆っている微少な毛も確認することができます。

通常の生物標本は博物館などで保管され、すべてが自由に閲覧できるわけではなく、劣化のおそれなどもありますが、デジタル標本では、そうした課題はなく、今後、教育分野などでの活用も期待されているということです。

デジタル標本を公開した鹿野特任准教授は「リアルな姿に触れて生物が多様であることへの理解を深めてほしい」と話しています。